幽霊にまで母性を発揮する黒木瞳、映画『仄暗い水の底から』

     中田秀夫監督映画『仄暗い水の底から』(2002年公開)を観た。84分ごろまではまでは見る価値あり。その後はメロドラマになる。
     黒木瞳と娘の生活の中に挟み込まれる髪の長い幼女の映像。離婚調停中であることを示す裁判所内と思われるシーン。降り続く雨。引越し先の老朽化具合。管理人の無愛想さに比べ不動産屋の明るさ。と、導入部分からの映画全体の統一された雰囲気はうまい。
     天井に広がる水漏れのシミ、調停と子育てに対する不安による精神状態の変調が相互に膨れ上がっていく展開もうまい。音楽やSEも抑え気味で好感。
     この映画はDVDレンタル開始時に観たはず。こんなに黒木瞳が出突っ張りだとは思わなかった。残念ながらお色気シーンは全くないのだけど、透けた白いブラウスは大合格。もっと追い詰められる演出で恐怖表情が上手ければ代表作になっていたはずなのに残念。
     とまあ心理的にじわじわ追い詰めるストーリーが展開し、その原因が解明されそうになる84分頃にずどーん。
     お化けが登場するんですけど、これまでの得体のしれない何か感がまるでないそのまんまの姿で登場。音楽まで急にメロドラマ調の泣かせるストリングスに。
     最終的に貯水槽で決着をつける形にしないと、物語も尻切れトンボに見える。例えば、貯水槽の中の遺骨を発見する黒木。水漏れも、怪奇現象もなくなって安心していると第二の幼女殺人事件が発生。実は弁護士が犯人でそのことに気づいた黒木の命が狙われる。とかね。現実の方に引き戻してくれないと「黒木、幽霊にそこまで尽くす義理はねえだろう」と思ってしまう。
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