お涙頂戴シーン多し、映画『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』

     小沢茂弘監督映画『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』(1968年公開)を観た。見過ごされがちな歴史に光を当てているけど、メロドラマ風。見てもいいし見なくてもいい。
     山口県大津島の魚雷試射場跡地の映像。「戦後20年」とナレーションで説明が入る。タイトルどーん。オープニングロール。配役が長い。広島県の甲標的(特殊潜航艇)工場P基地。鶴田浩二が上司で松方弘樹が赴任。
     松方、急にベッドの上。どうも潜水艦の事故にあったらしい。だけど映像はなし。
     鶴田、回天のアイディアを上申するも却下。直談判で生産を取り付けるけど、生産シーンはあまりなし。まあ、物資不足など諸般の事情で3隻(艇か?)しか生産できないからなあ。涙。
     気になるのは松方の顔。黒いドーランのようなものを塗っているのか、顔の前だけが黒い。どういう意味があるのだろう。メイクが下手なだけなのか。
     回天の洋上訓練シーンはある。けど、海中からの映像はなし。映画後半、回天を搭載した潜水艦が出撃する。一応、潜水艦内部と思われる映像は押さえてある。戦闘シーンは歴史フィルムから借用。
     軍部批判ぽい発言を鶴田と松方にさせているけど、人命無視兵器を作れとせっついているわけだから、中間管理職がとち狂っているわけで、上層部はそれをなだめる役として描かれている。
     海軍で特攻の場合の慣習、短剣の授与シーンが描かれている。
     泣かせる部分が多くかなりメロドラマっぽい演出が多い。ベタベタしていて映画としてあまりおもしろくない。ただし、良い演出もある。
     松方が梅宮辰夫の実家を訪ねるシーン。梅宮は訓練中にすでに死んでいる。部外秘の作戦、兵器のために梅宮の死は伏せられている。梅宮の実家で梅宮は元気にやっていると報告する松方。松方の足元に犬が寄ってくる。梅宮の姉が老犬なので制服を着ている人が来ると梅宮だと思って近寄ってくるのだと話す。松方の目から涙が溢れる。
     事前に振っておいた犬の話。老犬だから制服に反応するとセリフで条件を狭めていて違和感を消しているし、犬の老いぼれた姿で時間経過も映像として示している。映画冒頭で松方の性格描写も済ませてあるので、お涙頂戴としてなかなかうまい。
     見過ごされがちな歴史に光を当てているといえば太平洋戦争の兵器つながりから映画『ゼロ(零)』(2015/3/19掲載)を思い出した。零戦が出てくるのかとおもいきや練習機の白菊がメイン。映画の出来はひどいので見てもいいし見なくてもいい。一応参考情報として。
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