乳を締め付ける肩パットがいい、映画『制服サバイガールⅠ』

     金子大志監督映画『制服サバイガールⅠ』(2008年公開)を観た。低予算で稚拙なんだけど、設定が面白い残念作。
     白衣の男二人。何かを撒いている。反対の立て札。会話の内容から植物を巨大化させる実験のよう。巨大化の映像的表現としてクワズイモの葉が茂っている。けどねえ、沖縄人からすると普通の風景。あっちこっちに生えているし。
     女子高生?7人が山道を歩いている。スケッチの課題?なのか。説明はあまりない。不真面目グループ3人と真面目?グループ4人に分かれている。不真面目三人がおじさんのやっている施設へ行くと言い出し山の中へ。何故か四人もついてくる。なぜついていくのか、ここ意味不明。
     サバイバルランドの看板のあるトンネル。かなりしょぼい。施設内部は日光江戸村のような町並み(ロケ地はワープステーション江戸か?)。八王子セミナーハウスを思わせる逆三角すいの建物がちらっと映る。けど、映るだけでその後全く出てこない。何なんでしょう?
     施設に入り開発者によるテーマパーク内部での遊び方の説明。侍、忍者、ガンマンの三人が敵キャラ。七人の女子高生にピストル形状の武器が配られ、敵キャラに当たると防具のような肩パットに埋め込まれたライトがチカチカと点滅する。
     でまあ全員が施設を出てゲーム開始なんだけど、何故か女子高生七人まで肩パットをつけている。女子高生は撃たれることはないはずなのに。説明がないので意味不明。
     なんだけど、この肩パット、思わぬ副作用が。肩パットの紐がバストを締め付けるので、胸の形が顕になっている。いやはや、金子、でかした。映画内ロジックまで曲げてサービスに務めるとは。映画監督としてあっぱれじゃ!
     で、追いかけっこが始まると、屋根の上の忍者の動き、ひどい。
     花を見ると斬りつける侍。たぶん、化物植物による誘導なんだろうけど、説明映像が下手糞で、かなり意味不明に見える。ちゃんと撮れば面白い映画になるのに、惜しい。
     施設にある監視モニターがしょぼい。2008年公開なのに、いくらなんでも。
     消火用水桶のようなものに隠れる女子高生。どう考えても走って逃げたほうがいいし、十分逃げられる場所なんだけど。非常に理解に苦しむ行動。実は映画ラストにこの女子高生出てくる。ただそのためだけのショット。うーん、前フリ下手くそだなあ。
     アクションシーン、下手くそ過ぎて微笑ましいレベル。何がしたいのかわかりづらい。人の動きとして変。更にそのために緊張感が全く無い。例えば、外で女子高生の首が切られているのに、引き戸をゆっくり閉める。いやいや目の前に敵がいるんだよう。遠くだったら気づかれないようにとかあるけどさあ、目の前なんだよう目の前。
     不真面目グループのリーダーと思われる女子高生が対決のために外に出ると、真面目グループのリーダーと思われる飛鳥凛とゆりがついてこない。なんと主人公っぽい飛鳥が裏切るとは。意外なキャラ設定で良い。
     ともえに除草剤をかけるシーンを撮らない。初めて除草剤が化物に効くかどうかの大切なシーンなのに。うーん、見せ方下手なんだよねえ。
     ドリンク剤の空瓶が置いてあるのはご愛嬌。蓋も捨ててない。準備良すぎ。
     植物に寄生されてゾンビ化。生き残った三人の女子高生はドリル、ネールガン、チェーンソーで武装。ここからゾンビ映画化。
     で、意外なことにここから盛り上がる。瓶に入れた除草剤の使い方が非常にうまい。ネールガンの釘にふりかける(制服を囮にするシーンは下着姿を撮って欲しかった。残念)。日本刀を瓶の口に入れてすくい上げ、日本刀に染み込ませる。
     ラスト、飛鳥の腕の傷口に赤い花が咲いているのは、かなり意味深でエロい。
     とまあ、見せ方、編集、演出、演技など、稚拙な部分が多々あるけど、設定はかなり面白く、最後まで見れる。予算がついて、じっくり撮れたら、話題の映画になっていたのになあ。非常に残念。
     ちなみに江戸村のような場所で女子高生がチェーンソーを振る舞わす男と対決する邦画は『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』(2014/7/22掲載)がある。

    時代設定、おかしくねえ?映画『愛の小さな歴史』

     中川龍太郎原作・脚本・監督映画『愛の小さな歴史』(2015年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
     映画冒頭に出てくるショートカットの女(中村朝佳)。で、映画を見ていると急にお弁当クラブで弁当の配達をしている中村映里子が登場する。
     実はここで時制が変化していて、中村映里子は中村朝佳の母親であり、中村映里子の映像は少なくとも20年以上昔を描写していることになる。
     うーん、中村朝佳は大学生風の描写があるから二十歳前後。その中村朝佳が生まれる前のことを描いているんだから1990年代前半の出来事ということになる。
     中村映里子と沖渡崇史の出てくる場面を見ていて1990年代に見える?映画ラストの効果を狙って、時制をわかりづらくしているのかもしれないけど、1990年代前半の世界観を描くのが大変だから逃げているようにも見える。
     中村朝佳、川の中で急にダンス?クラッシクバレーのようなしぐさ。なんか映画って急に踊り出すよねえ。普通の人は日常で踊らないと思うけど。
     池松壮亮の前で中村映里子が急に胸を見せるシーンがある。けど、胸は見せない、撮らない。なんか中途半端。
     優男がピアノのコンサート。だけど手元は撮らない。なんか映像的な技術はあるみたいだけど、映像的にごまかしているだけで手抜きしているショットが多い。
     その優男が中村映里子にカメラを渡す。なんで?理由がわからない。前後がつながっていない。
     意味不明な感じで、中村映里子と沖渡の生活が交互に描かれていく。で、その切り替えの間隔が短くなり、橋の上ですれ違ったりして、ついに団地の広場で出会うんだけど、ものすごーくむりくり。そこまでやるほどの効果もない。中村映里子と沖渡が中村朝佳の両親だったとわかる場面は、劇的に撮ったつもりなのかもしれないけど、見ている観客はかなり白ける。そのくらい設定がわざとすぎる。わざわざという感じ。
     映像は印象的なショットも多めだし、腕はあると思う。ストーリーの展開にこるけど、時代設定の美術は手抜きというのは、方向性として間違ってないかなあ。神は細部に宿る、というし。
     後、映画冒頭の親友はなんだったの?
     セルゲイ・ラフマニノフ、交響曲第2番ホ短調第3楽章、「アルプスの少女ハイジ」オープニングテーマ曲「おしえて」、DV。
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    グブリー川平(かびら)
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