2016年04月後半観たおすすめ邦画

2016年04月後半観たおすすめ邦画
 2016年04月後半観た邦画は30本。

【次点】

『必死剣鳥刺し』監督平山秀幸、2010年公開、2016/4/28掲載
 日本家屋の汚れ具合、着物の所作など、作りが丁寧。物語はラストに意外な展開があり、強引だけど剣術の意味もある。最後まで楽しめる。

『俺物語!!』監督河合勇人、2015年公開、2016/4/30掲載
 カメラ視線の永野芽郁、可愛すぎ。超人的な設定をガタイと演技でそれらしく見せる鈴木亮平。利他的ヒーロー像は邦画では珍しく清々しい。

【次点の次点】

『僕らのワンダフルデイズ』監督星田良子、2004年公開、2016/4/23掲載
 きも芸を封印した竹中直人がうまい。ガンの勘違いによるドタバタは笑える。バンド映画としては、メンバーに稲垣潤一がいるので演奏シーンは可もなく不可もなし。

『あゝ!一軒家プロレス』監督久保直樹、2004年公開、2016/4/24掲載
 たけし城の延長線のような内容にプロレス技が炸裂する感じ。鍛えられた肉体のアクションは確かに魅せる。原案テリー伊藤なだけに、非人間的なテレビプロデューサー役佐野史郎のキャラがテレビの本音を体現している。

【作りが雑、または駄作】

『ガマの油』役所広司、監督としては才能はなさそう。

『深海獣レイゴー』杉浦太陽が日本海軍の兵士。サラサラヘアーでひょろひょろ。ありえないビジュアル。CGも荒すぎ。低予算すぎ。

『青鬼 ver.2.0』たいして面白くもなかった前作よりもあらゆる部分が低下。続編を作る意味が全くない。

『フレフレ少女』 応援団OBが出てくると恐ろしくひどい。お話も映像も貧相すぎる。

『パラレル』お涙頂戴物にありがちな適当な作り。手抜きしまくり。『天国からのラブレター』もほぼ同じお涙頂戴手抜き映画だけど、殺人が起こる前の場面に腕を感じる。

カメラ目線の永野芽郁がめちゃかわいい、映画『俺物語!!』

 河合勇人監督映画『俺物語!!』(2015年公開)を観た。ヒーローもの、アイドル映画として純粋に楽しめる。おすすめ。
 卒業式、中学生の中に交じる鈴木亮平。年齢差がありすぎて若干ひく。これはダメかなと思ったけど、その後は鈴木の設定と演技力で見続けられる。
 高校生になった鈴木、超人的な能力があり私利私欲ではなく利他の精神で周りの人を助ける。鈴木の幼馴染、坂口健太郎。クールで男前、だけど女に興味がない。この二人の関係性が描かれる。
 川に落ちた小学生。鈴木が飛び込み助けるのだけど泳ぐというよりバサロ。超人的な能力に溺れている小学生も川の中で逃げ出してしまう。助けて陸に引き上げると母親や観衆は鈴木ではなく坂口にお礼。と、細かいエピソードの積み重ねで丹念に二人の関係と性格描写をしていく。このあたり作りが丁寧。な、上に、笑わせてくれるシーンが満載。
 永野芽郁の登場シーンもうまい。中尾明慶に絡まれている永野。鈴木が壁ドンで助けると、ビルのガラスウォールが波打つように揺れる。で、永野の顔のアップ。カメラ目線の瞳からつーっと一筋の涙。いやー、可愛い。このショットはすごい。アイドル映画としてもすごいし、鈴木が奥手になってしまう設定にも納得の可愛さ。後に出てくる制服と私服の印象の違いも青春あるあるとして抜かりなく映像に収められている。いやはや永野、綾瀬はるかの後釜は決まりだな。
 映画前半の天丼シーン。永野のカメラ目線の笑顔。からの鈴木が柔道で相手を投げ飛ばすショットへの場面転換。これが何度も繰り返されて、これが笑える。な上に、この天丼場面転換が映画中盤にある非常に重要なシーンでの鈴木の動機にもなっていて、細部まで考えられている脚本に感心した。
 柔道本戦での掛け声が「好きだ〜」になっていたり、大将対決ではこれまで見せた体力勝負ではなく、なんと顔芸。映画的な笑いも抜かりがない。
 33分。この作品でも屋上問題が発生。やっぱり使いやすいんだねえ屋上って。
 親指で写真の鈴木の顔が隠れているとか、鈴木はジェットコースターを怖がるとか、初めてのデートで歩幅を合わせるとか、細かいところをおろそかにしない丁寧なつくり。
 映画後半はずーっとすれ違いの鈴木と永野。鈴木がやっと永野の気持ちに気づく過程も、ちゃんと前フリを回収していく。
 青春映画、男の友情物語としても面白いし、素直に応援できる利他的ヒーロー映画としても面白い。
 それにしても『HK 変態仮面』(2014/8/5掲載)とか実写化が無理そうな超人的な人物像を肉体と演技力でねじ伏せてしまう鈴木には改めて驚く。

佐田啓二のおどおど演技、映画『血は渇いてる』

 吉田喜重脚本・監督映画『血は渇いてる』(1960年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 窓から外の雑踏。オフィスビル内と思われるトイレ。鏡の前に男、佐田啓二。顔から吹き出す汗。手にオートマチックの銃。と、謎な出だし。ここで、昔の映画だからしょうがないけど、ガランから滴る水の音がぴちょんとひょうきん。緊張感が高いシーンだけに今の目で見るとギャグに見える。
 リストラが行われようとする会社の集会でリストラ阻止を訴えるために拳銃自殺する佐田。同僚金井(織田政雄)の行動で軽傷ですみ、自殺未遂に終わる。
 けど、マスコミが持ち上げて、昭和生命がCMに佐田を起用。一躍、佐田と織田は時の人になる。
 好事魔多しは世の常。週刊日本の三上真一郎が佐田人気に目をつけ引きずりおろそうと記事をでっち上げる。三上と昭和生命の宣伝広報の芳村真理は古くからの友人だし、佐田は自我が肥大し始めて勝手な行動を始めるし、佐田の妻岩崎加根子は三上と寝るし、と社会に純粋(佐田)vsひねくれ者(三上)対決になる。
 邦画の中に出てくる芳村真理を見たのは初めて。若いし面構えもしっかりしている。やりて広告マンに見える。女優もやれたんだあ。
 ダンスホール内、「血を吐け、唾を吐け」と歌う女性歌手(ジェニー愛田?棚倉千栄子?歌手名俳優名特定できず)の撮り方は短いショットの連続で印象的。ダンスシーンも動きがあり、飽きさせない。
 佐田がマスコミに持ち上げられていく過程は面白いのだけど、引きずり降ろされた以降の姿が今ひとつ。不人気になったのはわかるけど、どん底には見えないし、ラストの行動まで起こすのはちょっとねえ。昭和生命幹部が言うように気狂いにも見えてしまう。それだと違う話になるし。佐田の描き方が消化不良気味。おどおど演技も若干浮いている。

オートマチック銃の描写が細かい、映画『BRIGHT AUDITION』

 遊佐和寿ガンエフェクト・VFX・編集・監督映画『BRIGHT AUDITION』(2014年公開)を観た。前半は先が読めず面白い。後半はそれなりの低予算。
 走っている男(佐々木喜英)、女とぶつかる。人もいない通りで、すごくわざとらしい。演出が下手なのか、演技が下手なのか。
 人のいないビルの中を見せておいての会議室。七人の登場人物が次々に現れる。会話は不自然だけど、性格設定はわかりやすい。
 後で二千人の中から選ばれたとあるけど、それにしてはねえ。ジャリタレにしかみえない。まあ、読者モデルだからそれでいいのかあ。
 議長席に座る佐藤貢三。味わい深い役柄と演技。変な役をうまくこなしている。初めて見る俳優だと思ったらすごいたくさんの作品に出ている。今後名脇役になるタイプなのかな。
 兄を探しに来たという佐々木。差し出すのが子供の頃の写真。うーん、そん写真、尋ね人に使えるかあ?それになんでそんな昔の写真しかないんだあ?そこのほうが問題じゃねえ?
 失格になるとすぐ射殺。突然でびっくりさせられる。この辺のキビキビした編集は良い。性病というのがわかったから射殺。性病患者差別がはっきりしていて映画として潔い。
 射殺後の血糊がカメラについたままという演出、効果。いらない。もうそういうのいらないから、普通に撮ろう。
 閉鎖空間の議場を抜けだしてから話はしょぼくなる。皮膚移植、オーディションの目的と話はかなり大きいけど、それを実行している組織が本の編集部。建物内部に誰もいないし、研究施設のようなものも一切映らない。と、セリフの内容に映像が全く追いついていない状態に。
 閉鎖空間の中の作り方や、オーディションの進め方などそれなりに面白いけど、話が外に出て行くと、いかにも邦画。なんか邦画の限界を見る感じで、萎える。
 この映画の見どころはガンエフェクトかな。短いショットで射殺する感じが非情でうまい。映画後半の佐々木が自殺するシーン。オートマチックで自分の胸を撃ちぬくのだけど、発射後の反動と薬莢の排出がスローで捉えられている。この監督、戦争映画とか銀行強盗映画とか、ガンアクションメインの映画を撮ったほうがいいのでは?
 ちなみにオーディションシーンが出てくる邦画は『オーディション』(2014/4/10掲載)。ホラーの名作で必見。『非女子図鑑』(2015/2/15)は片桐はいりの男役が笑える。『Make the Last Wish』(2016/4/15)は審査員がものすごく本物っぽい。

棒立ち看護婦二人が怖い、映画『パラレル』

 武藤数顕監督映画『パラレル』(2009年公開)を観た。テレビドラマレベル。作りもやっとけで絵空事。すぐ飽きる。
 映画冒頭に出てくるサッカーシーン、チアリーディングシーンが、吹き替えだったりちょっとしか見せなかったりで、雑。男女四人の会話もつまらなすぎてこれまた飽きる。「流れ星」だから何なんだ?
 畑野ひろ子、急に泣きだす。要潤のことが好きらしい。まだ二回しかあってないよねえ。泣くほどのことかあ。心理描写が適当。
 島谷ひとみの両親が泉谷しげると市毛良枝。二人の前で急にあらたまり嫁ぐ前の別れの言葉。島谷、胸の谷間が強調された服。なんでこんな時にこんなファッション?雑なのかセンスがないのか。適当な作り。
 手術室のシーン。田中実が執刀。「汗」をすごく強く言う。頑張っている演出が「汗!」。うーん、安直というのか、本当に飽き飽きする。島谷が来ると手術が終わる。タイミングいいねえ。そういうレベルの映画だから。
 結局、映画を最後まで見ても、要潤の事故が何だったのかわからない。事故シーンなし。セリフですら説明なし。サッカーでの怪我?交通事故?転落事故?物語上非常に大切で、主人公のキャラクター設定の重要な要素なのに、映像として描かない。説明もない。馬鹿なのかな?この映画関係者は。
 秋吉久美子、配役ばっちり。性格そのまんま出ている感じのめんどくさいことは嫌です的な母親役。
 手術後、一日しか経ってないのに検査に行くことに。アメリカの病院なのか。それも手荒く要を動かす看護婦二人(一人は町本絵里)。すごく冷たい態度。なんで?それにさあ、二人もいて看護、介護できないってお前たちの怠慢だよねえ。この辺の設定がよくわからない。
 病室、大部屋なのに要しか入院患者がいない。邦画にありがちな手抜き改め映画的省略。邦画病院あるある。映画冒頭から照明つけまくりの陰影の乏しい画作りだったのに、廊下で泣く島谷になると廊下真っ暗。そんな暗い廊下の病院ある?ホラー映画なのか。
 ホラー映画といえば、看護婦二人が棒立ちで冷たい演技が、逆に面白く見える。この作品が実はホラーだったら面白いかも。ということを考えてしまうほど、飽き飽きする作品。
 39分頃、要と秋吉が初めて会話。親子なのに。会話の内容が「え?」by Jun Kaname。爆笑。この二人、親子なんだよう。しゃべる内容が「え?」だけ。失笑。秋吉がごねたのかなあ。役柄も現実も演じきる、さすが大女優。
 サッカーチーム関係者もチアガールもその後一切出てこない。映画冒頭の設定は何だったんだあ?とにかくいろんなことが全然物語に絡んでこない。要は車椅子でサッカー選手として絶望的、島谷はなんの仕事しているのかわからない設定なのに、退院したらマンション暮らし。うーん、障害者を扱っている割に内容は絵空事。身体障害者の現実をなめているかな。
 車椅子バスケットに転向した要。決勝戦。要が転倒すると客席から島谷がコートに降りてくる。コーチの細川茂樹に「やらせてください」と一礼して帰る。うーん、なにしに降りてきた?一点差の試合なのに、緊張感がない。見せ方下手くそ。

悪女役の関めぐみがいい、映画『必死剣鳥刺し』

 平山秀幸監督映画『必死剣鳥刺し』(2010年公開)を観た。撮影丁寧、先を読ませない展開。おもしろい。
 映画冒頭、能。見ている侍たち。字幕で主要登場人物の説明。会場を引き上げる藩主と側室の関めぐみ。突然、豊川悦司が関めぐみをひと突き。あっという間で手際がいい。
 で、回想によってこの事件が起こる経緯と、一年間の閉門のお沙汰を受けた豊川の生活が交互に描かれる。
 で、閉門開け、豊川は中老岸部一徳の働きかけもあり藩主のおそばに控える近習頭取を拝命する。しかし、この取り立てには裏があり、、。とまあ、後は映画見てちょ。ちゃんと面白いから。
 まず、映画を見て日本家屋の寂れ具合がちゃんとしている。最近のテレビドラマレベルのきらきらすべしべしたどこの江戸村で撮ったんだよというがっかり感はない。ここだけでぐっと映画の中に入り込める。後、着物姿の所作もきちんと撮っている。映像がしまる。後、セリフ回しがかっこいい。現代語に無理に意訳していないので、会話に重みがある。
 後、配役がいい。まず、関めぐみ。高慢で恥ずかしい高飛車側室がドンピシャ。関を初めて役者だと認識した。吉川晃司も精悍で独立心のある剣士にちゃんと見える。後半に大柄俳優対決も準備されていて、配役がうまい。おどおどした藩主の村上淳も適材適所。岸部一徳の演技にもちゃんと意味がある。とまあ、よく出来ている。
 急に豊川と池脇千鶴の目合シーン。ヌード、おっぱいポロリはなし。残念無念。
 豊川と吉川の屋敷内での殺陣。豊川の剣術の意味がちゃんとある。狭い部屋での殺陣といえば『座頭市』(2014/4/3掲載)、『闇の狩人』(2015/10/31)。どちらも演出のアイディアが光る殺陣が見れる。現代劇だと『XX(エクスクロス)』(2015/1/23)の公衆便所内での対決はアイディアと見せ方が非常にうまい。
 出血大サービスの血糊。ラストはむちゃくちゃだけど読めなかった〜。悔しい。

北海道警批判映画?『THE LAUGHING POLICEMAN』

 角川春樹製作・監督映画『THE LAUGHING POLICEMAN(笑う警官)』(2009年公開)を観た。ツッコミどころ満載、すぐ飽きる。見てもいいし見なくてもいい。
 映画冒頭から女の声の英語の曲。邦画で英語の曲が流れると駄作という定説(グブリー川平提唱)があるけど、この作品はどうなのか。
 とにかくあちこちで立ち話が始まり説明、説明、説明。説明セリフのオンパレードに棒立ちシーン。すぐ飽きる。
 なぜか大森南朋の周りに主要登場人物が勢揃いしている。道警全体の問題のはずなのに、なんで大森の所轄にだけ後々の重要人物が所属しているのだろう?ものすごーく都合がいい。まあ、映画だからねえ。
 大森の所有するノキアの携帯電話NOKIA/NM706iが出てきて電話の会話が録音されている。携帯の録音は相手の声しか録音できないのでは?携帯画面には音声クリップ05と表示されている。音声メモを使っているよう。ノキアの携帯は両方の声を録音できるのか?
 二度目の捜索ですぐ液晶テレビの保証書が出てくる。わかりやすいところに置いてあるなあ。
 ブラックバードというバーのことを「こんなタブーな店」というセリフがあるけど、全然普通の店。刑事以外の客がいないので何で稼いでいるのか?店のマスター大友康平が殺し屋家業で稼いでいるので、店は趣味ということだろうか。この店が本当に付け足し。
 明日の朝に百条委員会への出席が迫っているのに、店の中でサックスの説明。あのー、捜査はどうなっているのかあ?別の部屋に逃げるとき捜査用のノートPC置きっぱなし。大森と松雪泰子、間抜けすぎ。
 車の撮影。多分走っていない。振動なし。車窓なし。手抜き改め映画的省略。
 射殺命令まで出ているのに外に出ても緊張感なし。作りが適当。
 何故か大森を消すことはしない悪の上層部。頭悪すぎる。まあ、基本的に話の内容が、すべて自分たちで話を広げていて大騒ぎしているだけ。射殺命令とか出したら、公に目立つだけで、事件がどんどん大事になるだけ。まあ、邦画の脚本にありがちなマッチポンプでとにかく飽きる。
 スタジアム。松雪と忍成修吾に真相の説明をする大森。また説明ゼリフと立ったり座ったり演技。映画最初から最後までこんなんばっかり。映画の才能はないねえ。
 百条委員会が設置されている施設前。大友の狙撃、SWAT風の警官たちが待ち構えているのに、百条委員は施設の奥に一人立っているだけ。
 病院と思われる個室。大森、サックスを持ちだす。あのー左肩狙撃されたよねえ。普通にしているけど、、強靭な回復力。
 中川礼二が大友に指示されたと言っていたよねえ。なんで、大友は野放しなの?
 「シルバーのアルファード」を連呼。トヨタの提供が入っているのかなあ。企業様さま、邦画も辛いねえ。
 急に札幌大通公園のショット。ここまで全然北海道らしい風景も町並みも自然も出てこなかった。もしかして、北海道ロケしてないなあ。本当にやるきのない適当映画。
 ブラックバード店内、中川が入ってくる。死んだ上層部がいる。大森や刑事たちがバンド演奏。それを聴いている松雪。意味不明で間抜けすぎるショット。だから何?結局、大森のサックスも物語になんにも絡んでこないし。
 北海道警の裏金問題を取り上げているテーマの重要性は認めるけど、映画としての出来は悲惨。うーん、駄作かな。

チーズケーキ食う人・中谷美紀、映画『繕い裁つ人』

 三島有紀子監督映画『繕い裁つ人』(2015年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 映画冒頭から映画内芸術問題が大発生。中谷美紀が裁縫店(南洋裁店)をやっている。祖母が起こした家業を孫の中谷が継いでいて、もっぱら祖母の頃の客が服の直しをお願いに来る。
 そんな店に三浦貴大が現れる。大丸の営業?のようで中谷にプライベートブランドを作らないかと持ちかける。けど、中谷、拒否。けど、三浦食い下がる。というのが話しの殆どを占める。
 まあ、話もつまらないんだけど、三浦の行動と動機がさっぱりわからない。まずさあ、中谷の服に着目したのは片桐はいりの店で見たからだよねえ。だけどさあ、中谷の服って、映画冒頭の写真三枚と片桐が着ている花がらのワンピースだけだよねえ。それだけでなんですごいってわかるの?三浦はわかったかも知れないけど、観客は理解できないよねえ。観客にもわからせてください、邦画関係者の皆さん。
 まあ、これがありがちな邦画の中の芸術問題ね。音楽、絵画、ビジネスマン、殺し屋、犯罪者、宗教家、人格者、いい人、悪い人、ほとんど全般に言えることだけど、映画の中の登場人物が「すごいすごい」と騒いでいるけど、映画を見ている観客には伝わらず蚊帳の外。ちゃんと凄さを描けよっていう話。
 昔話で恐縮だけど、アイドルが映画に出て主題歌を歌うと、その曲が現実世界のまちなかでヒットしてテレビやラジオでも頻繁に流れたわけだ。これは観客が少なくとも映画の中にすごいものを感じた結果の反応なわけ。今、そんなこと全く起こらないよねえ(最近だと松たか子のレデイ・ゴーぐらい。洋画だけど)。時代なのか、製作者の責任か、観客が期待すら抱かないからなのか。
 三浦、南洋裁店に通って団子を食べるだけ。それで仕事しているのか?飛ばされるのも当たり前だろう。身から出たサビ。中谷はストレスが貯まると喫茶店「サンパウロ」でチーズケーキのホール食い。こっちのほうがすごくて、繕い裁つ人ではなくてチーズケーキ食う人にしか見えない。
 南洋裁店の内部、足踏み式ミシンがあり暗めの照明で雰囲気は悪くない。
 後半になると映像がどんどんしょぼくなる。まず、夜会。豪華パーティー風だけど、座る椅子がプラスチック製のガーデンチェア。ものすごく貧相。
 黒木華の結婚式。野外パーティーシーンになると裸電球(LED?)がこれまた貧相。ウエディングドレスのレースに風船をつけて広げるシーンはしょぼすぎて泣きたくなるほど。ファッションが云々される映画のはずなのにこのみすぼらしさはなにか大切なことを勘違いしていると思う。
 夜会に死んだじいちゃんの服を展示。このショットが長いこと長いこと。周りの人じっーと服を見続ける。あのさあ、そんなに名残惜しいなら葬式出ておけ。そのために冠婚葬祭ってあるだろう。馬鹿なのか?

サル顔上っ鼻の藤澤恵麻がかわいい、映画『ラブ★コン』

 石川北二監督映画『ラブ★コン』(2006年公開)を観た。小学生向けのような映像効果が邪魔。見てもいいし見なくてもいい。
 とにかく映画冒頭から小学生を相手にしたような説明ゼリフ、映像効果、つまらないギャグ風会話が邪魔で仕方がない。この時点で見る気が半減。
 身長差カップルのドタバタを描く。高身長の藤澤恵麻、低身長の小池徹平。関西弁で夜間でもないのに私服の高校という珍しい設定。邦画で初めて見た。
 海坊主というラップ?歌手を寺島進。意外に似合っている。
 急に画面右隅に畑正憲が合成されて登場。人の生理現象を説明し始めるけど、場違いな感じで異様。ちょっとおもしろい。
 藤澤、スタイルがいいので多数のファッションがキマる。耳が目立ってサル顔、鼻も上につんと向いているけど、見慣れてくるとかわいい。この作品が真面目に悲恋を撮っていたなら、藤澤、いい配役だったかも知れない。
 「RADIO」「DIAMONDS」「愛のしるし」「夏祭り」「サスペンスM2」「今すぐKiss Me」などちょっと懐かしい曲がかかる。

人を見る目がないバカ娘役の黒木華、映画『草原の椅子』

 成島出監督映画『草原の椅子』(2013年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 外国、パキスタンと思われる風景。佐藤浩市、西村雅彦、吉瀬美智子、子役がいる。なんだ?と思う出だし。
 カメラメーカー(キヤノン?)で営業として働いている佐藤。大学生の娘がいて黒木華。佐藤はバツイチで娘と二人暮らし。街で中村靖日の車に乗る娘を見つけ車をつける佐藤。アパートで洗濯物を取り込む黒木と中村。で、話はどういうわけか中村の息子貞光奏風の面倒を佐藤が見ることになる。
 まあ、言ってみれば急に子供が家庭内に入り込んでくる家庭内異物混入物。子供の場合だと『うさぎドロップ』(2014/8/10掲載)とか『神様のくれた赤ん坊』(2015/9/28)がある。宇宙人だと洋画『E.T.』とか。その異物接触で起こるドタバタをいかに面白く見せるかがポイントなのだけど、一応、『草原の椅子』も最初の佐藤の右往左往する様子は面白い。癖のある周りの登場人物に振り回される感じも悪くない。
 だけどねえ、面白いのはここまで。貞光を佐藤が引き取らないといけないことになっていく過程はものすごく強引で、白ける。黒木がすごく馬鹿。結局、人を見る目がないし、貞光を自分で育てると言い出す始末。まず、原因作ったのはお前だろう。ちゃんとお前が解決しろ。そんなに中村に何も言わないということは、まさか寝たということなのか。ただの馬鹿女。
 小池栄子の話も強引だし、施設に入れる話になっていたり、お話はどんどん右肩下がりで飽きてくる。
 でまあ、いろんなことがあってパキスタン旅行。西村雅彦が砂漠を見て「空に飛鳥なく、地に走獣なし」と法顕伝の一節を諳んじる。なんか久しぶりの西域ブームを見た思い。昔は秘境だったんだけど、今は邦画のロケ地にまでなるんだねえ。
 砂漠(砂丘?)で貞光に佐藤が一人で山の頂上まで行って砂をビンに詰めてこいという。貞光、一人で進む。その後、西村走りだす。その後吉瀬走りだす。吉瀬、貞光を助けたりしている。うーん、一人で成し遂げるから丘の上に砂を取りに行かせたのでは?なんか本題から外れていると思うけど。
 現地の老人に瞳の中を見てほしいと急にお願いする佐藤。このあたり、全体的に演技がぎこちない。意外に現地の老人、大したこと言わない。「正しいやり方を繰り返しなさい」。うーん、商店街の占いでもいいのでは?
 キヤノンの協力があるからか佐藤がこれみよがしにCANON EOS 5D Mark Ⅲでばしばし写真を撮りまくる。日本人観光客丸出しで落ち着きがない。これまた本筋から外れているような気がする。

マトリックス新垣結衣、映画『フレフレ少女』

 渡辺謙作監督映画『フレフレ少女』(2008年公開)を観た。停滞するしやっとけ仕事。見てもいいし見なくてもいい。
 新垣結衣が女子高校生役で登場するショット。背が高くて美人。周りに背の低いふたりの同級生がいるもんだから更に目立つ。うーん、女子高生というのはちょっと無理かなあ。
 気を失うほど頭を強打した割に保健室に野球部の男子と二人っきり。この男子が新垣が憧れるほどの男ではない。だってこの場面がファーストコンタクトだよねえ。憧れる要素が画面から伝わってこない。見せ方が下手くそだということがこの時点でわかる。
 ウエイトリフティング部の金田哲はわかるけど、チアリーディングの加藤諒が不気味。ちっさいし綺麗でもない。誰も突っ込まないほっとかれている感じ。
 応援団の部室が屋上。出ました邦画の屋上問題(2016年3月12日土曜日放送TBSラジオ「JUNKバナナマンのバナナムーンGOLD」のコーナー「くらえ!ひむたんビーム!!」にてラジオネームみかんのみかんが指摘した邦画の大問題)。さらにこの映画のすごいのは屋上に手すりがない。すごすぎ。そんなところ絶対立入禁止だよねえ。転落したら誰が責任取るんだろう。
 新垣の強引な応援団入団勧誘が新興宗教の勧誘っぽく見えてくる。ここはちょっとおかしい。
 で、応援団OBの内藤剛史が出てきて合宿に入るわけだけど、ここからどんどんつまらなくなるし停滞しまくり。
 合宿風景が適当。トレーニング風景適当。水かけているだけ、夜練が加わるも練習風景無しで終わったことになっていたり、とまあやっつけショットが続く。
 この合宿で映像のつなぎがおかしい部分がある。
 夜、合宿場所の寺から抜け出す団員三人。OBに見つかり口論から鉄拳制裁へと発展。三人は寺の外へ逃げ出す。OBたちも諦めた様子で各々散っていく。で、一人のOBが寺の中に入り、その後を新垣がついていく。と、OB四人が酒盛りをしている。うーん、意味不明。今さっき、OBはあちこちに散っていったよねえ。時間経過はOBと新垣がふたりで寺の中を歩いている時間だけだよねえ。なんで宴会になっているの?いつ準備した?いつ戻った?
 夜の野外シーン、照明のチラツキが邪魔。田舎の海岸でそんなに点滅する光ってなんなんだあ?人家は映るのに人影が全くないのも異様。
 新垣のお風呂シーン。泣き真似にしか見えない。動作も意味不明。なんのための演出なのか意図がまったくわからない。当然だけど、ヌードもなければおっぱいポロリも無し。本当に無駄なショット。
 団旗行軍で砂浜まで出る。砂山にOBたち。頂上までは新垣が団旗を担ぐことに。画がみすぼらしい上に達成感まるでなし。OBが五人いる必要もない。新垣のエール(掛け声?)、地声と裏声が違いすぎてちょっと面白い。
 学ラン(長ラン)で登校する新垣。靴音を響かせてマトリックス風。男装の麗人のようでかっこいい。この映画で見るべき点はここだけ。
 新垣が応援すると他の部やクラブが成果を上げる場面があるけど、映像的には垂れ幕で済ますという観客に伝わりづらい手抜き。やっぱり見せ方下手。
 栃木県代表決定戦。野球部の応援をしている新垣。相手校の不知火高校がフライを打つと「入るな〜念力」と言って外野に向かって手をかざす。あのー、なんか応援団映画の趣旨から外れているような気がするけど。
 団旗を振り回すシーンで全体を見せない、気合水は柄杓で水をかけるだけ、四捨五入したら二はゼロとか、団員が一人ひとり告白まがいの宣言をするとか、しょぼいしょっぱい場面が続く。
 応援の曲はいい。なんかいろんなタイプの曲が演奏されてもいいなとは思わせる。両チームの高校が応援しているのに音が混ざることは一切ない。まあ、映画だからしょうがないよねえ。
 ちなみに応援団が出てくる邦画といえば『嗚呼!!花の応援団』(2015/2/25掲載)がある。

森下悠里がけばすぎる、映画『ふたりエッチ』

 横山一洋編集・監督映画『ふたりエッチ』(2011年公開)を観た。テレビドラマに毛が生えた程度。見てもいいし見なくてもいい。
 森下悠里、いいボディをお持ちなのは認めるけど化粧がけばすぎる。これで処女で他の男に目もくれないという役に適しているとは思えない。すっぴんだと別人になるタイプ、なのかな。
 部屋の照明明るすぎ。ヌードは背中のみ、おっぱいポロリはないし、目合シーンも首なめ問題が発生して消化不良。下着売り場でのファッションショーのようなサービスショットがあるけど、正直、こんなのはいらない。明るすぎるし、着替えるのは当たり前の場所に英語の曲。淫靡じゃない。だからエロくない。エロい見せ方については下手くそ気味。
 ただ、面白くしようとする努力は見える。目合シーンにドラムの音をかぶせたり、家の中の何気ない生活風景のショットを挟んだり、くすっとさせるところはある。セックス豆知識的な「射精まで一分未満1.5%」の字幕表示は邪魔ではない。ラブホテルでのデジタル表示のカウントダウン、バーカウンターでの妹役横山美雪とのキスシーン(実は妄想。BGMがESLでも使われているアップルのジングル素材が流れている。時代だねえ)など、面白く撮ろうという努力は感じる。
 予算がないのか手抜きもある。お見合い結婚の割に森下とお相手の三浦力の両親が全く出てこない。結婚式のシーンも無し。午前中見た『コトバのない冬』(2016/4/25掲載)も結婚式が省かれていた。邦画の予算では結婚式すら描くのが大変なんだねえ。邦画の衰退恐るべし。

渡辺えりのトーク力、映画『コトバのない冬』

 渡部篤郎監督映画『コトバのない冬』(2010年公開)を観た。挑戦的ではある。一応最後まで見れる。
 とにかく北海道ロケ、とにかく雪景色。これだけで南国生まれの人はづ〜っと画面を見続けてしまう。
 高岡早紀、競走馬を育てる牧場、厩舎で働いている。厩舎の中で働いているシーン多め。冬の牧場の様子が多め。主人公の設定を説明ゼリフではなく映像で見せる努力はされていて好感が持てる。ただ、高岡、体の線が細くて馬小屋で働いている人には見えない。それに美人すぎる。ちなみに北海道の牧場といえば『遥かなる山の呼び声』(2015/10/11掲載)を思い出す。牛小屋の中の臭いそうな臨場感はすごかった。
 しばらく見ていると、望遠レンズによるアップ。手持ちカメラ風の画面の揺れる映像が多いことに気がつく。望遠は覗き見しているようなプライベート空間に入り込んでいるような効果は確かにある。手持ちカメラ風は臨場感は出るけどやりすぎ使いすぎ。途中から気になって集中力が落ちる。自然光と思われる照明はGood。
 近所の食堂のおばちゃん役渡辺えりのトークが最高。ダイエットすると八頭身になるのか、洋画「シベールの日曜日」の話題、高岡の名前を呼び間違える、など、セリフなのかアドリブなのか判別つかないようなまくしたてる話術と演技でけむにまく。素晴らしい。
 一部、観客を突き放したような編集があるのですじを追えなくなる部分もある。例えば高岡が薬を届けに行くシーン。電車に乗るシーンがカットされているので届けたのか届けてないのかが電話の会話でしかわからない。なんでこんな些細な説明映像をカットしたのか意味不明。ここはかなり不親切。
 一真との結婚。結婚式などの準備が全く出てこないので、記憶喪失による幻覚かなにかが起こっているのかと勘違いしそうになった。予算削減のためかもしれないけど、ここもわかりにくいしミスリードにつながりそう。落馬シーンがないのもねえ。説得力にかけるなあ。
 メリーゴーランドが象徴的な場所になっている。メリーゴーランドといえば『スープ・オペラ』(2016/3/20掲載)に出てきていたなあ。映画関係者、メリゴー好きだねえ。
 赤いJEEPに乗っている高岡。実際に運転しているように見える(後部座席からのショットあり)。渡部篤郎は失語症、耳は聴こえる。遊園地の管理人なのかなあ、広田レオナはスノーモービル屋?。YAMAHA/BR250Tの文字が見える。
 ラスト、公衆電話の中の渡部のショットはいるのかあ?蛇足な気がするけど。観覧車を見る(ここはメリーゴーランドじゃあないんだあ)高岡の表情だけで、ちゃんと物語は閉じた気がするけど。

タンスの展示場なのか?映画『青鬼 ver.2.0』

 前川英章VFX・監督映画『青鬼 ver.2.0』(2015年公開)を観た。オリジナルよりパワーダウン、続編の意味なし。駄作。
 映画冒頭、登場人物六人の説明映像が入るんだけど、下手くそ。関係性がわかりづらい。
 ジェイルハウスという青鬼が出てくる建物に入る場面。勧修寺玲旺がワイヤーカッターを持っていて門扉の鎖を切るんだけど、門扉の高さが腰ぐらいまでしかないの。苦笑。この演出と俳優の動作に何も疑問を感じないのだろうか、製作者は。手抜きなのか感覚が鈍感なのか。まあ映画には向かないことだけは確か。
 『青鬼』(2015/4/24掲載)もひどかったけど、この作品も映画内設定がさらにひどい。
 まず、四人がビルに閉じ込められる。入ってきたドアをガチャガチャする。ここまではわかる。その後、スマホの動作を確認するんだけど、ニコニコ動画がどうとかアプリがどうとかしかセリフがない。あのー、他のドアを探すとか窓を探すとか、電話をかけてみるとかしないんですか?馬鹿なのかな四人は?建物に閉じ込められたら、脱出口を探すことと、外との通信を確保することだよねえ。小学生でもわかるよねえ。それすら描かない。この時点で閉鎖空間を描く映画として失格。そんな初歩の初歩すら理解できないで映画を作るとは、邦画はなめられてますねえ。
 その次にひどいのが、青鬼がでる建物(ジェルハウス)とゲームの関係性。自宅にいるタモト清嵐が作ったゲームとジェルハウスが連動していると言うんだけど、理由や原因、仕組みは一切説明されない。ただ、連動しているとパソコンの前のしょぼいゲームを見ながら委員長こと平祐奈にセリフで説明するだけ。少なくともさあ、映画内ロジックは考えろ。手抜きばかりするな。
 脱出口すら探さずにタンスの中に逃げこむ勧修寺玲旺。その建物、タンスの展示場なのかな。なんでそんなにタンスがあるんでしょうか?雑すぎて苦笑。
 久松郁実、青鬼に追いかけられるとドライバーで自分を刺す。行動が意味不明すぎて、画面の前で白目。何がしたいんだあ?何が描きたいんだあ?謎。
 ジェイルハウスとゲームがシンクロしていると気がついたのに、タモトと平、部屋の中で座っているだけ。緊張感まるでなし。PCからの操作を受け付けないと言っているのに座っているだけ。助ける気、まるでなし。ずっーとゲームの説明したり、泣いたり。暇だねえ。
 『青鬼』に比べ青鬼の動きが鈍重になっていて恐怖感が明らかに落ちている。さらに登場人物たちが怖がらない。部屋の中で大声出したりしている。あのさあ、食うか食われるか追いかけられている最中だよねえ。もう少し怖そう演技したら。登場人物の緊張感ゼロ。
 久松は見捨てたのに中川大志は助ける松島庄汰。動機と行動が意味不明。
 外観からすると三階建て(後に四階になる)で横に長い建物なのに、出てくる部屋がものすごく少ない。タンス展示場、傷の治療する部屋、階段、など。予算が少ないのかなあ。
 急に地下。取ってつけたような長いトンネル。ジェイルハウスはどういった施設なんですかねえ。地下に抜ける道があるんですかねえ。なんのために?邦画『アンフェア the movie』(2015/5/25掲載)もビルの下に地下道があったなあ。駄作は発想が似るんだねえ。
 中川、クレーンの操作を知っている。なんで?前フリぐらいしたら。雑で適当すぎ。
 急に中川と松島が友情を深め合う。なんで?そんなに二人、互いに役に立っているかあ。映画の登場人物は何でもすぐに理解できて、楽だねえ。
 タモトと平、やっと家を出る。遅いなあ。どう考えても、もっと早く部屋出るべきだよねえ。外から声が届くならタモトが脱出方法をもっと早く教えるべきだよねえ。そうすれば30分くらいで済む話だよねえ。
 四階まで来ているのにまた中川と松島、だべっているだけ。青鬼の股間をすり抜ける松島。青鬼が鈍重すぎて、怖いというより微笑ましい。
 ゲームがリセットされたはずなのに、松島だけ記憶が残っている。なんで?タモトと平も記憶が残っているぽい。なんで?映画内ロジックがいい加減すぎてただただ飽きる。

非人道的な佐野史郎が適役、映画『あゝ!一軒家プロレス』

 久保直樹監督映画『あゝ!一軒家プロレス』(2004年公開)を観た。ストーリーは別にして見せるアイディアが満載。最後まで見れる。
 紅白幕で囲まれた新築パーティー会場?。橋本真也、ソニン、佐野史郎、ニコラス・ペタスと主要登場人物勢揃い。新築一軒家の中で大乱闘が起こる。映画冒頭でこういう映画ですよという説明があるので安心して見続けられる。
 主人公が橋本なのだけど、童顔でずんぐりむっくり、滑舌も悪くセリフが聞き取りづらい。まあ、芝居というより身体で勝負する映画だから、それでいいんだけど、感情移入は難しい。
 二階で白いピアノを弾きながら小坂明子の「あなた」を歌う橋本の妻役粟田麗が新築一軒家の爆発(何故か時限爆弾が仕掛けられている)に巻き込まれ植物状態に。栗田、目覚めてから腕の傷のガーゼをはがすと傷口が開いている。皮を引っ張るシーンもあってなかなかグロいホラー調になる。急な展開で戸惑う。
 家を焼かれ妻が奇病になり借金を抱えた橋本にテレビディレクター?の佐野史郎がテレビ番組の企画(密着取材とデスマッチ)を持ちかける。最初は拒否するも密着のテープは破棄されず、デスマッチは参加するはめになる。
 で、たけし城の変形のような、ロールプレイングゲームのような、外国人プロレスラーを倒しながら進んでいくデスマッチをテレビが中継しているという形式で話は進む。
 まず驚かされるのはやはりアクション。これといって特別すごい技とかが出てくるわけではないけど、打撃を受けた時の肉体の反動とか、キックを受けた後に人体が移動しながら倒れる感じとか、鍛えた人たちが実際にアクションをするとこういうふうに見えるんだあ、という新鮮な映像が撮れている。技の受けのうまさは邦画『黒帯 Kuro-Obi』(2016/1/19掲載)に匹敵する。
 ソニン、とにかく服がぴちぴち。上着を脱ぐシーンあり。後ろ姿なんと逆三角形、おっぱいポロリなし。橋本に噛み付く。歯型が残る。痛そう。
 ソニンのアクションあり。ものすごくうまいわけではないけど、無難にこなしいる。ソニン、その後、このアクション路線を継承していないように見えるけど、どうしたのかな。
 この作品の中で最もキャラ立ちしているのはテレビディレクターの佐野。「人の心の闇で飯食っている」「俺達は数字で戦っている」など、原案にテリー伊藤がかんでいるだけに含蓄深い言葉がポンポン出てくる。さらに映像のためなら非人道的手段も厭わないダークぶり。粟田の奇病人魚病も佐野の指示、ビデオテープも廃棄せず、デスマッチで死ぬところも撮影、上司からの番組中止命令にスタンガンで応戦、撮影クルーが逃げ出すと自分でカメラを担ぎデスマッチが行われている城の中へ駆け込む。橋本のキックを受けてもカメラを離さず、瓦礫の中からでもカメラを回し続ける。最後は収録テープを副調整室に持ち込んで絶命する。いやはや、ヒール役もここまで徹底すると清々しい。

キモ芸を封印した竹中直人、映画『僕らのワンダフルデイズ』

 星田良子監督映画『僕らのワンダフルデイズ』(2009年公開)を観た。演奏シーンはそこそこだけど、撮影、脚本ともに丁寧。最後まで見れる。
 男の後ろ姿、廊下、足元、寝巻き姿、数を数えている。廊下、部屋の中から話し声。末期の胆嚢癌、53歳、手術成功、奥さんの要望、告知していない、半年、木曜退院。男の顔が映ると竹中直人、後ずさりしながら部屋から遠ざかる。うーん、ここの見せ方、非常にうまい。
 で、ここから竹中の大勘違い行動、家族の浅田美代子、貫地谷しほり、その弟、家族三人とのスレ違い生活が描かれるんだけど、ここもなかなかうまい。特に、竹中直人。意味不明な芸風を封印して余命幾ばくもない中年というシリアス演技に徹していて、あ、竹中って演技うまいんだあ、と思わせるし説得力はある。
 高校時代に結成したバンド、シーラカンズのカセットテープを再生する竹中。オーディオセットがあるのにソニー製ラジカセを取り出す。ここはオーディオセットが見たかった。
 宅麻伸、オートロックマンションと思われる家に住んでいるのに冷蔵庫から取り出した飲み物が金麦(第三のビール)。まあ、別に人の好みだから仕方ないけど。普通はありえない設定。スポンサー宣伝映像なのかなあ。
 意識を失っても五感の中で聴力は最後まで残る。という話は臨死体験の原因とも言われている話。一応、オーディオ的な説得力を示す上で差し挟む小ネタとしてはいい方。
 宅麻がバンド再結成を了承するシーンはちゃんと欲しい。きつい言葉で反対していたのにどうして焼肉屋に出てきたのか。わかりづらい。
 貫地谷の結婚の話を曲解して自分の死に結びつける竹中。この辺もなかなかうまい。脚本、設定がなかなか細かい。貫地谷の話を聞いて立ち上がる竹中。転びそう演技がうまい。竹中の配役がドンピシャ。
 稲垣潤一がドラム担当として登場。演技はひどいけど(一応変な人という設定)、ドラムはちゃんと打っていて、バンド映像が締まる。この辺はバンド映画の痛し痒しな部分。
 練習場所が寺の本堂。バンドが寺で練習とくれば邦画『青春デンデケデケデケ』(2015/8/4掲載)を思い出す。バンド映画の名作なので要チェック。
 竹中のガンの真相が明かされる。ここはちょっと予想できなかった。強引ではあるけど、面白い設定。バンドメンバーの四人から責められる竹中。ここも竹中うまい。
 おじさんバンドのコンテスト(全日本ナイスミドル音楽祭)に出るシーラカンズ。ホール、なかなかでかい。応募バンドもうまい。シーラカンズの演奏はそこそこ。稲垣は本当に演奏しているけど、他のメンバーは引きの映像ではわかりづらい。竹中のボーカルは可もなく不可もなし。ちなみにバンドの曲は奥田民生が作っているよう。
 貫地谷の結婚式。宅麻の代わりにギターを務めるのが宅麻の会社の部下。細かいことだけどちゃんと前フリが描かれていて、さかのぼって脚本を検討しているのがわかる。
 映画の中に出てくるキーボードはYAMAHA MOTIF XS6、Roland JUNO-Gなど。

ありがちな恋愛バカ映画『天国からのラブレター』

 山口円脚本・編集・監督映画『天国からのラブレター』(2007年公開)を観た。駄作ぎみ。見てもいいし見なくてもいい。
 須賀貴匡の気弱演技がわざとらしすぎる。中村ゆり、水の中に入って何している。若者を知能低目に設定。とまあ、ひどくなりそうなショットが続く。映画冒頭だけで「なし」だとわかる。
 とにかく手抜き改め映画的省略がひどすぎる。
 駅の前で待ち合わせの二人。大学合格、就職祝いとセリフで済ます。入試に向けた勉強シーンなし、大学受験シーンなし、合格シーンなし、で合格していることになっている。高校生活シーンなし、進路指導シーンなし、就職試験シーン、面接シーンなし、働いているシーン全く無し、で、就職したことになっている。馬鹿すぎる。手抜きしすぎ。
 下着売り場に彼氏を連れて行く中村。馬鹿女にしか見えない。
 引っ越しシーンなし、字幕で広島になっているだけ。部屋の中にいる須賀。もう大学生らしい。大学の風景一切無し。
 ベッドの上の二人。笑っているだけ。目合シーンを撮らない。一体、この映画は何を映像化したくて撮っているんだあ?根本的なところで何か大切なものを避けているとしか思えない。というよりただの手抜き。予算削減。
 急に、須賀が病気だったことになっている。それも人生観を変えるほどらしい。これもセリフだけ。病気の前フリしておいて、その後、薬を飲むシーンとベッドの上に座っているシーンがあるだけ。病名も出てこないし、病気で苦しんでいるシーンもない。病気が物語に絡んでくることすらない。この病気設定いる?
 もう妊娠している。作り、雑〜。
 須賀の就職先、製鉄所?溶鉱炉や巨大ナットを製造しているシーンがある。やっとまともな映画的表現。ここもセリフだけで済ますには流石に気が引けたのかな。
 子供も生まれて一緒に生活しているのに交換日記。意味不明。遠距離恋愛の時の手紙には意味も必要性もあるけど(メールが使える時代だと思うけど)、なんで結婚してまで交換日記の必要性があるの?手紙や交換日記が説明ゼリフの代わりになるからかな。
 事件(後の説明で殺人事件だとわかる)の発生する前のカメラワークは急にうまくなる。別人が撮っているよう。固定カメラによる画を見せないで音だけで想像させるショットはうまい。中村が手紙を書いていてチャイムがなるとか、須賀が家の中で焦っていて水の音が響く中、カメラがゆっくりとパンするとか、うまい。ここだけ別人が撮ったのかなあ?ただし、殺人事件自体を撮らないし、結果も見せない。またセリフで説明。何が起こっているか映像で見せないのは同じ。やっぱりおんなじ人か。
 葬式は、警察は、とにかく人が必要で、お金がかかりそうな映像は一切省く。とにかく手紙を書いたり読んだりしいるシーンのみに専念。まあ、予算がないと大変なんだろうなあ。
 海岸、映画冒頭と同じシーンになる。須賀が中村の残した手紙を読んでいる設定。なのにいつの間にか手紙じゃなくて、勝手に中村がずーっとしゃべり続けている。雑だねえ。
 エンドロール後に、字幕で殺人事件の説明。これ実話なの?それなのに殺人事件を描かないで、どうでもいいようなことをだらだらだらだら描き続けるわけ。草葉の陰で泣いている。

水兵なのにサラサラヘアーの杉浦太陽、映画『深海獣レイゴー』

 林家しん平原案・企画・監督映画『深海獣レイゴー』(2008年公開)を観た。劇場公開するにはものすごーくしょぼい。
 映画冒頭、螢雪次朗の妻が妊娠している姿が出てくる。これが詰物だと分かりすぎ。ここを見ただけで「これは、ない」と思った。
 戦時中、海軍少佐な杉浦太陽。髪がサラサラヘアー。ありえない。さらに和服も軍服も似合わない。着させられている感ばりばり。杉浦で軍人といえば邦画『ゼロ(零)』(2015/3/19掲載)にも出てたなあ。これもひどかった。杉浦に軍人役ができるとは到底思えないのだけど、なんで使うんだあ?邦画の謎。
 会話も雑。おばあちゃんに手旗信号教えるという話題だったのに、急にしんみりして戦争に行く話。あのー、手旗信号は?ちなみに手旗信号が出てくる邦画は『亡国のイージス』(2015/8/28掲載)と『オー!ファーザー』(2016/2/7掲載)。共通しているのは手旗信号シーンが恥ずかしい、ということ。
 戦艦大和?に入ってくる女。うーん、何人?観光客?キャラ設定も時代設定も意味不明。
 戦艦、むちゃくちゃ荒いCG。実写部分との差が激しすぎて、違う作品を鑑賞しているような気分。
 急にスカートめくり。これでサービスのつもりなのか?
 船の中の設定がひどい。大和なのに搭乗員少な。生活感まるでなし。水兵たちの寝起きとか、食事とか、艦内を移動する様子とか一切ない。出てくるのは、艦長室風、会議室風、な部屋だけ。それも広すぎる。なんで周りにそんなに余裕があるんでしょう。そりゃ、人いないし。
 戦闘中、出てくるのは砲塔内部と思われる部屋、甲板のみ。ものすごーく狭い艦首が映るけど、艦窓は絶対に撮らない。セットだとバレるからねえ。
 一番ひどいのは、船なのに揺れない。一ミリも揺れない。そのことに一言も触れない。甲板に出ても風も水しぶきもない。雑で適当すぎる。
 ソナー、耳を押さえつけている演技だけ。機械類、操作シーン、一切無し。
 ちえ(七海まい)からのはがき。もともと短い文だし、検閲で黒塗りになっているのに、ちえの声で読み上げるシーンになると長い長い。そんなに長い話、どこに書いてあるんだあ。
 55分、甲板でやっと水しぶき。主砲の中?と思われるシーンが何度も出てくるけど、螢、具体的な作業を一切しない。金属製?の丸い筒にしがみついているだけ。それが仕事なの?
 駄作にありがちな基本絶叫演技。ラスト、七海のお参りしている神社、階段の手すりがステンレス製に見えるけど。大丈夫?
 沖縄へ向かう大和。実写フィルムも出てくるけど、船員が顔に隈取。歌舞伎の見得を切るシーンまで出てきて、もう何がなんだか。何がしたいんだあ。
【2016/5/14追記】
 『BUNGO〜ささやかな欲望〜見つめられる淑女たち』の「乳房」を見ていたら「海軍は髪を伸ばしてもいいのよ」というセリフがあった。調べてみると海軍の准士官以上は長髪もオッケーだったらしい。杉浦太陽の髪型、ボロクソ貶したけど、杉浦の階級は少佐だから長髪でいいのか。いやはや、私が間違っておりました。だけど、杉浦はミスキャストだと思うよ。

藤竜也の笑い芸が絶品、映画『女番長野良猫ロック』

 長谷部安春監督映画『女番長野良猫ロック』(1970年公開)を観た。ものすごく雑だけどエネルギーはある。見てもいいし見なくてもいい。
 バイクがカメラに向かって進んできてストップ。ショットが変わり、バイク運転手の背中が映って、ドーン、で追突。バギーに乗っているサングラスの男。その後、何度も出てくるけど、笑い方に特徴がありすごく個性的。若い頃の藤竜也。いやはや芸風濃い。
 バイクの運転手、男に見えるけど実は和田アキ子。運転シーンはひどい。顔と全体部分は別撮りで多分吹き替え。バイクの左グリップをひねっているショットもある。昔の映画は雑というのかおおらかだねえ。
 ライブハウスのシーンになると鈴木ヒロミツが歌っている。配役にザ・モップスとある。いやはや懐かしー。その他に特別出演でオリーブ、アンドレ・カンドレ(現・井上陽水)、オックスが出てくる。
 梶芽衣子、ちゃんと目立つ。憂いのある表情で見つめる瞳が最高。和田以外の女たち。すべて60年代ファッション。それをリマスターされた高画質で見ているもんだから実に奇妙な気分になる。邦画『妹』(2014/1/27掲載)でも書いたけど、昔の映像なのに高画質なもんだから、ここではないどこか別な世界のお話を見ている感じ。ほとんどSFにすら感じる時がある。実に奇妙な気分。
 まあ、お話の筋は雑というか適当。あちこちで偶然出会うし、暴力団組事務所と思われるのに出入りが自由だったり、殴り合いの集団抗争中なのに急に静かになって帰るし、もう何がなんだか。
 笑ったのが、隠れ家で窓の外を見る和田。外のショット、何も異変なし。なのに「奴らだ」と和田。その後、藤たちが来る。うーん、和田は千里眼なのか?ショットの前後関係がおかしい。
 バイクとバギーの追跡シーンは面白い。バイクの倒れるシーンなどのアクションは非常に稚拙。だけど、都内の地下鉄の階段、地下道、地上に出て公園、歩道橋、トンネル内、駐車場、とバイクとバギーが走り回る。今の邦画では絶対見られない野外ロケ。多分、許可が下りないんだろうねえ。邦画の衰退はこんなところも関係しているのかな。
 和田、長身で目立つ。若い頃は顔が下膨れ。女たちから慕われるレズっぽい雰囲気もある。セリフ回しは棒読み気味で下手。

役所広司、監督の才能なし、映画『ガマの油』

 役所広司監督映画『ガマの油』(2009年公開)を観た。ただただ停滞。見続けるのが苦痛。
 都内の雑踏での撮影があり。役所広司、豪邸に住んでいる。仕事はデイトレーダー。株を個人で売買しているようで、広い部屋にマックが六台。画面の前で喜んだり悔しがったり、携帯電話に英語のメッセージの呼び出し音が入ったりするだけ。具体的な作業は一切ないし、その後は仕事をしている風景すら映らない。なんちゃってデイトレーダー、仕事を描く気まるでなし。
 音楽は古楽。柔らかいけど芯のある大太鼓はオーディオ的に面白い。音楽担当はタブラトゥーラ。
 とにかく電話のシーンになると分割画面。バカの一つ覚え。
 二階堂ふみの設定が馬鹿すぎる。瑛太が交通事故にあい、父親役の役所が電話に出ているのに気づかない。その後何度も会話しているのに気づかない。登場人物を低能にして脚本のあらを隠す邦画にありがちな手法であり悪癖。もうそろそろそんな小賢しい方法で小金稼ごうとするのやめたら。邦画界のみなさん。
 テーブルの下に隠れる八千草薫の間抜け映像。大女優のこんな画をオーケーにできる精神が信じられない。その上、八千草、映画最後まで具体的に物語に絡んでこない。
 瑛太が車に轢かれたのが原因(後遺症)で倒れたのに、警察も出てこなければ医者も出てこない。瑛太のベッドの横で澤屋敷純一、小林聡美、役所がだらだらだらだらしゃべっているだけ。これ以降、ずーっと家の周りと病院と、二階堂との電話が続くだけ。ただただ苦痛。
 小林がプールの横にいる画、どこかで見たなあと思ったらそのまんま『プール』(2016/1/8掲載)という邦画があった。これも退屈な作品だったなあ。
 山の中のドタバタがひどすぎる。くまが出る。しょぼいCGのくま。明らかに役所が一人芝居しているとわかる合成映像が続く。これが小学生レベルの展開。監督としての才能は、ないねえ。
 ラストもまた分割画面。映画技術を事前に誰か教えてあげる人が近くにいなかったのかなあ。もうさあ、言葉で話せる距離なんだから、携帯電話離せよ。普通、そうするだろう。人の行動が変すぎて、見ているといらいらする。

銃弾人間ポンプの永瀬正敏、映画『ラブドガン』

 渡辺謙作脚本・監督映画『ラブドガン』(2004年公開)を観た。こった映像と音が空回り、ものすごくつまらない。
 薄明かりの道路、カメラが一周して周りの様子を見せる。と、カメラの左横後方から白い軽自動車が現れる。静かな何もない風景を見せておいての突然の異物に、正直脅かされる。大きな走行音も効果的。だけど、その車、何かにぶつかって止まる。ここの見せ方、ものすごく下手くそ。まず、そこに自販機がある前フリショットがない。ぶつかる瞬間の映像もショットを切らない。別角度からの映像がない。永瀬正敏が運転席から出てきた後、意味不明の独白風説明セリフ、頭に魚をのせるとか、と、「なんか、ひどそう」と悪い予感がよぎる。
 永瀬、宮﨑あおいとの会話、口元が動いていない。それなのに会話ができている。うーん、宇宙人?テレパシー?亡霊?とまあ観客は考えるよねえ。これが映画最後まで見てもなんの説明もない。いやはや、設定が適当。素人監督にありがちなパターン。映像的なアイディアをただやっただけ。
 アクションは基本撮らない。なぜなら多分、下手くそだからだと思う。それがわかるのが、野村宏伸が宮﨑を拉致する場面。ハンカチを口元に当てられて意識を失う宮﨑。うーん、倒れるの早すぎ。もう少し暴れたら?
 野村のキャラ設定は良い。宮﨑を縛っていたぶるんだけど、これが指なめ、指しゃぶり。『娚の一生』(2015/9/19掲載)で榮倉奈々の足の指を豊川悦司がしゃぶっていましたなあ。久々のしゃぶり芸。宮﨑、縛られて猿轡の苦しみ方がうまい。
 とにかく無駄なショットが多い。例えば、岸部一徳と新井浩文の銃対決。新井の別角度のショットからの同一画面内に新井がもうひとり現れる。うーん、何度もいうけど、亡霊なの?こういう映像って観客をミスリードするよねえ。それともそれが狙いなのかな。それだと姑息。
 亀、ウミガメがちょいちょい出てくる。なんの暗喩なのかも示されない。決闘の場所が森の中、白い車のような形のものが置かれている。これまた何なのか示されず。車の残骸のつもり?ダンボールに色塗ったようにしか見えないけど。苦笑。決闘が終わると、ウミガメ風に見える施しがなされている。だから何?
 海岸での銃撃戦がひどい。逃げまわる岸部と永瀬。防波堤に隠れるとかき氷を食べる。もうさあ、そんなのいいから。銃アクションは立ったまま普通に撃つだけ(これで二人共殺し屋らしい、苦笑)。ものすごく単調。それなのにリボルバーのシリンダーの穴から見た映像とか、弾のスロー映像(雑なCG)は長く見せる。客が映画に期待する見たい部分をことごとく外している。
 映画ラスト、新井と宮﨑が黒塗りの男たちに追われるんだけど、カメラを揺らすだけ。アクションシーンすら撮らずにゴッホ風の絵になる。うーん、手抜きしすぎ。
 では、映像的に全部下手かというと、意外にそうでもないので困る。森の中、永瀬と宮﨑が車のライトに照らされて会話するシーン。ちゃんと暗いし車のライトだけの照明に見える。また、岸部と新井の海岸での焚き火シーン。ここもちゃんと周りが暗いし焚き火に照らされているように見える。ライティングはちゃんとしている。
 夜の山道。車の中。告白する宮﨑と永瀬はちょっとエロい。永瀬が「俺のアキラ」と呼ぶ銃身の長い中折式リボルバー(型番わからず)。その銃身をぎゅっと握って離さない宮﨑。うーん、完全に男根の暗喩でしょう。それも後部座席からのカメラ位置で二人の顔は映さない。なかなかうまい。この監督、基本的な腕はあるようだから、ちゃんとした脚本を職業監督に徹して撮れば、人間ドラマとか撮れそうな気がするけど。まあ、大きなお世話だけど。
 映画内で使われている音楽、粗めで印象的。担当はDhal(青木ロビン?)。エンドロールには銃器提供、マルシン工業株式会社とクレジット。銃器のクレジットがある邦画を初めて見た。
 ちなみに『ラブドガン』を見ていて殺し屋が出てくる邦画を思い出したのが『カラス』(2015/5/27掲載)。これもひどかったなあ。

ノーヘル、映画『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』

 柳町光男製作・監督映画『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』(1976年公開)を観た。1970年代の暴走族の感じを知るには面白いドキュメンタリー風?。
 BLACK EMPERORと名乗る暴走族が取材対象。そのうちの一人の家(団地)にカメラが入り、暴走族メンバーの男と家族(父と母)の生活を撮る。
 この三人の会話やインタビューがあっけにとられる。すべて意見の論旨が他人が悪い、他人のせい。自分の意見をいうだけで人の話を聴いている素振りがない。母親が優しそうな口調だけど、多弁で息子の暴走族の話などを避けて無駄話ばかり。父親はそばにいるだけで息子と会話するシーンすらない。いやはや、これならぐれるだろうなあ、と思う。まあ、その息子とて、話の内容は他人が悪いという話だけで自分を見つめるということは一切ない。家族、三人。揃いも揃ってろくなもんじゃない。
 暴走族の中でお金が消えてお説教。暴行が始まる。その後、暴行された男とゴムと呼ばれる後輩?が二人で話しているのだけど、先輩の悪口を二人で話している。本当に根性がさもしい。夜間の高校?などで勉強しているシーンもあるけど、多動性の欠陥があるのかと思えるほど落ち着きがない。レコード(かぐや姫「マキシーのために」)に合わせて歌うシーンでは多重人格風にも見えるし、「詐欺師」と呼ばれているのもうなずける。
 そのゴムの家では女(母親?)がお経を唱えている。そこへゴムがLPをかけるとダウンタウンブギウギバンド。二つの音が重なって、シュール。
 BLACK EMPERORメンバーがまちなかで物販。箱の中には愛媛人形。なんでそんなの売ってんの?不思議。
 基本ノーヘル。原付き以外のバイクのヘルメット着用(罰則あり)は78年からだからこの映画はギリギリノーヘルなんだ。
 「本当はツーリングクラブなんだから」に爆笑。ものは言いようだねえ。
 警察の対応は生ぬるいように見えるけど、そりゃあねえ、カメラ回ってるわけだし。裏ではもっといろんなことやっているでしょう。

傷の切取りと貼り付け、映画『KIDS 傷〜KIZ_KIDS』

 荻島達也監督映画『KIDS 傷〜KIZ_KIDS』(2008年公開)を観た。設定は面白いけど、作りが今ひとつ。見てもいいし見なくてもいい。
 小池徹平が超能力者(能力過剰な身体障害者とも言える)。テーブルの上の塩入り容器を動かせる。クレーンゲームの景品を手をかざしただけで取り出せる。後、他人の傷を治せる(実は自分に傷を移動させただけ。その傷を他人に移動することも可能)。脚本家はパソコン作業中に思いついたアイディアなのかな?
 すごい能力なんだけど、これが映画の中でたいして役に立たない。子供の怪我を治しているだけ。その上、街の話題にもならずマスコミすら取材しない。ただただ、玉木宏と栗山千明と泉谷しげると街のチンピラ数人の中でお付き合いしているだけ。話の世界観がものすごく狭い。ちなみに超能力で怪我や病気を治す邦画といえば『天の茶助』(2016/2/15掲載)がある。
 でまあ、暴れん坊の玉木と栗山と友達になるんだけど、友達になるきっかけが公園の美化作業。急に?なんで?あまりに前後の脈絡がなくて苦笑。せめて栗山が綺麗にしている公園とかの前フリを入れていて欲しいところ。結局、子どもたちが集まってその傷を小池が移動させるというためだけの公園。話の運びはうまくない。
 小池の超能力の設定もゆるゆる。傷を移動させるのはいいけど、古傷を移動させてどうする?外見的に変異しているけど傷自体は治っているわけだよねえ。肩の傷跡、口の傷跡を移動させるのは傷の治療じゃなくて美容整形の分野だよねえ。更に小池、物を物理的に移動させる能力があったはずなのに、映画後半に出てくる事故現場で、全く役に立たず。赤ちゃんのところに這いずって行こうとするだけ。超能力で動かせ!映画の前フリがまったく生きてこない。
 後、病院の廊下とかで怪我治すの営業妨害だから。玉木の父親脳梗塞で倒れたらしい。病院のベッドに寝ているけど、これまた個室。更にただ寝ているだけ。『かぐらめ』(2016/4/19掲載)に出てきた大杉漣と全く同じ。ベッドの周りに医療機器や器具が全く無し。自発呼吸できてるの?心電図とか脈拍とか測る機械は?手抜き改め映画的省略てやつ?
 栗山のマスクの事をずーっと誰も指摘しない。不自然すぎ。小池と栗山のキスシーン、ちゃんとキスしてない。
 小池が母親(斉藤由貴)の刑務所?を訪ねるシーン。高い塀があるんだけど、ゲートがものすごくしょぼい。職員が利用する通用門な感じ。面会なのになんで正面玄関から入らない?
 小池が遭遇する交通事故。最初、地上からのカメラの映像によるとブレーキ音だけの追突事故か接触事故の程度なのに、空撮になると、なんと、大惨事。UFOが攻撃してきた?何がどうしたらそんな状況になるのか、意味不明。ここ爆笑シーン。その上、ここのシーン、見せ場なもんだからとにかくだらだら長い。小池の物を移動させる能力はなかったことになっているし、降りだす雨は小池と玉木のところだけ豪雨だしと、見せ方は雑で下手くそ。
 病院の屋上で玉木を見つけた小池と栗山。話しかける。けど、玉木と小池の距離がものすごく遠い。あのさあ、普通、そんなに遠くに離れて会話するかあ。どう考えても不自然だろう。いちいち下手。
 刑務所の中が意味不明に暗すぎたり(周りを見せたくない時に使う照明)、レフ板で当てていると思われる俳優だけが光っていたり、わざわざ街の中に光を反射する小物をおいたり、と、照明も下手な部分が目立つ。
 少ない良い点を上げるとすると、小池の回想部分で、斉藤を刺すことになる経緯とその方法かなあ。一応、小池の超能力が生かされている。あと、小池を斉藤が責めるのは良い。超能力者という不具者が受ける仕打ちとして正解で、それに悩むという設定はいいのだけど、責め方は弱い。
 後、寝たきりの玉木の父親が傷の捨て場所というのはエグくていい。なんかすごく非人道的な感じがする。もっとリアルに撮っていれば面白い映画になっていたのに。
 全くの余談だけど、結局、映画の冒頭10分ぐらいで勝負は付いている。面白いと感じると集中して作品を見る物語の中に没入できる。面白くないと思えばその後は作品のあら探しに徹する。そういう作業をしてることに気づいた。

獅子舞アクションの武田梨奈?映画『かぐらめ』

 奥秋泰男編集・監督映画『かぐらめ(KAGURA-ME)』(2015年公開)を観た。いわゆるお涙頂戴映画。バカ映画ではないけど、適当部分多め。見てもいいし見なくてもいい。
 ここでも病院のドアが開き戸(『Summer Nude』(2016/4/19掲載)では大部屋なのに開き戸だった)。個室ならありなのか。武田梨奈の母親(筒井真理子)も個室、大杉漣も個室。すごくお金持ちな家庭なのかな。撮影するには個室が撮りやすいからねえ。
 筒井の死にそう演技、なかなか味わい深い。うまいというより奇妙。タイミングよく死ぬし。子役の女の子、死にそうな筒井をゆすりすぎ。
 大杉の設定が意味不明。日本家屋の中で旋盤のようなものを回している音。手元をほとんど見せないので何をやっているのか、なんの職業なのか、さっぱりわからない。どうも水晶を研磨?しているらしい。それでお金になるのか?ビー玉ぐらいのやつ。しょぼ。もしかして新興宗教用?
 セミの鳴き声で季節感を出しているのは良い。
 大杉に対して「お前しかいない」と今井雅之が頭を下げる。大杉、神楽の舞がすごいらしい。けど、77分まで神楽のシーン一切無し。説得力まるでなし。見せ方下手くそ。映画冒頭でどーんと観客をうならせる舞を見せて、大杉の凄さを見せるから、筒井の死に目に会えない理由や、半身不随になっても続ける理由になるんじゃないの?こんな単純で簡単な構成すら手抜きでやらないなんて、邦画の凋落はすさまじいねえ。
 大杉の恋人(筒井真理子、一人二役みたい、ややこしい)が手紙を託されるシーン。封筒に住所がないから出さないのかと思っていると、武田の東京のアパートまで届けに来る。うーん、なんでわざわざ。それも大して意味がない。追い返されるだけ。
 老人ホームの事務室。武田が夜勤の状況を告白するシーン。死亡した老婆が何かを言いたそうだったと報告しているだけなのに、武田の上司「どうしてそんな大事なことを」と言って口止めする。うーん、まだ具体的なこと何も話してないんですけど。セリフ、雑。
 大杉が脳梗塞で倒れたと連絡があり病室に駆けつける武田。大杉、ベッドに寝ているだけ。至って普通。点滴用の器具すらない。脳梗塞は寝てれば治る?
 神楽の舞に挟まれる回想ショットがひつこい。それも同じ映像。飽きる。
 まあ、予想通りなんだけど、武田が神楽の舞を受け継ぐことに。練習場所が森の中。うーん、どうした?秘儀なのか?それも練習シーンは一回だけ。さすが武田、空手やっているだけに身体運動の習得は速いのか?
 でまあ、やっと神楽の舞になるんだけど、これがねえ、なんとショットを切っているんだよねえ。ワンショットじゃないの。迫力全然無し。だって、ショット切ると吹き替えしている可能性あるよね。まあ、当然吹き替えだと思うけど。
 後、地方(じかた)が応援に来るんだけど、笛しか来てないのに太鼓の音が聴こえる。誰が演奏しているのかな?
 東京と地方、父と娘の断絶、伝統芸能、老人介護、などと結構詰め込んでいるけど、作りがやっとけ仕事気味なので感動するまでには至らない。大杉の神楽の舞を続ける理由がよく考えれば不純だし(伝統芸能に家族、関係ないでしょうそもそも)、武田が受け継ぐ理由も思いつきと東京よりはマシだから、としか思えない。

群像劇なのにバラバラ、映画『Summer Nude』

 飯塚健監督映画『Summer Nude』(2003年公開)を観た。とっちらかっているし、撮影も下手。見てもいいし見なくてもいい。
 登場人物が多い。それぞれそこそこ名の知れた俳優や芸人を当てているので、何かしら最後に大団円を迎えるのかと期待するも、花火を全員が見ているだけというしょうもない関係性。ありがちな広げた風呂敷をたためない感じ。
 映像はあちこち稚拙な部分が散見される。病院なのに他の患者がいない。手抜き改め映画的省略。大部屋の入り口のドアが片開き戸。今時そんなドアある?病院なら引き戸だよねえ。野波麻帆が初めて登場するおばあの家のシーン。照明が下手で影が出過ぎている。いくら何でもこんな映像にオーケーだすかあ。逆に、出産シーンは暗すぎ。ホラー映画風。周りの風景を隠すための照明だとまるわかり。新生児と今井雅之が対面するシーン。新生児は見せない。香坂みゆきの料理シーンもひどい。水蒸気の表現(CG?)らしいけど、火事にしかみえない。後、ビーチフラッグスのシーンで古屋暢一のフラッグを取るシーンを見せない。レストランできたろうと香坂がワイン、次のシーンでコーヒー。食事シーンなし。せっかくの花火打ち上げがものすごく適当。発射管すら準備してないなんちゃって花火。打ち上げたのは一発なのに、空には多数の花火。きたろうの花火に込めた思いという前フリが全く生かされていない。適当。
 無駄なショット、意味不明ショットも多め。古屋暢一の運転する軽トラの横をドリフトする車が出てくる。よく知らないけど、どうも古屋の運転にびっくりした他の車という表現らしい。下手すぎ。てっきり古屋がヤクザか何かから追われていると思った。普通に、急ブレーキ踏んだ車のショット、びっくりする表情の車の運転手のショット、軽トラの加速ショット、これだけでいいんじゃないの?食堂で真帆が椅子の上げ下ろしを続けるのも意味不明。宇宙から始まる冒頭部分、具志堅用高のタクシーが轢いたおばあ(おじい?)がまるまる無駄。その後、全く絡まないし影響もしない。
 設定もひどい。沖縄で地元の人の生活が描かれているはずなのに、すべて標準語。郵便のバイクが私用に使われている。石垣島ならあり?逆にリアルなのかな?今井が殺される理由もわからない。偶然殺されるんだけど、殺されたから何?
 この映画の最大のつまらなさはセリフ、会話。まず、堀口文宏と川本成の食堂内でのやりとりがまあつまらない。その後の展開に関係もない。その上、だらだらと長い。川本と妹役の真帆との会話も以下同文。ホテル内でのきたろうと堀口の会話も以下同文。交番の中、今井ときたろうと香坂、これまた以下同文。会話の酷さは邦画の中でもワーストクラス。
 この映画を石垣島で撮る理由がどこにもない。
 ほとんど見当たらない良い点を重箱の隅をつつくように探してみると。
 ピアノ曲がちょっとだけ良い。音楽、上田禎。野波と古屋の間に血縁関係があることを匂わせる設定はいい。更にそれを互いに知らずに別れるのもいい。ビーチ監視員の44北川がキャラが濃くていい味出している。これだけ。
 まあ、脚本の話をふくらませすぎて、顔だけ売れている俳優を多数起用して群像劇を撮ってみたけど、映像はひどいし、お話も収束しませんでした。という作品かなあ。

川井郁子が奇妙にエロい、映画『きみのためにできること』

 篠原哲雄監督映画『きみのためにできること』(1999年公開)を観た。オーディアマニアのうちなーんちゅ(沖縄人)なら見る価値あり。
 主人公は柏原崇なんだけど、これがテレビ撮影クルーの中の音声担当。『こわい童謡 裏の章』(2015/6/5掲載)で安めぐみが音響研究所職員という設定だった。それ以来のオーディオ的な役どころ。
 そんなもんだから、出だしから風鈴の音。機織りの音、やーるー(やもり)の鳴き声と一応、頑張ってますよという映像と音はある。柏原の持つマイク、SONYのDATウォークマンTCD-D8?、あちこちの部屋にあるオーディオセット(岩城滉一の部屋にはマッキントッシュのパワーアンプにナグラのオープンリールデッキⅣ-Lかな)、などオーディオ好きなら気になる箇所は多い。
 ただねえ、やっぱり生録って録る対象がないんだねえ。この映画でも波の音、鳥の声、お祭りシーンはすでに録られたもの(音源提供は宮里千里か?)。音関係で疑問があるのは、モノラル録音しかやってない感じ。マイクもモノラルだと思われるし、ナグラもモノラル。プロってそうなのかなあ?
 後は、沖縄県宮古島に取材に訪れているという設定。地元と思われる人が多数登場して、宮古上布の機織りシーン、藍染めシーン、宮古島の慣習オトーリなど、ドキュメンタリーに近いような雰囲気で撮られている。ここは地元の人が見ていても普通に見れる。一升ビンで軽油を売っている。お米の飲み物ミキが出てくる。など、地元あるあるの小ネタも散りばめられている。
 やっぱりこの映画の見どころは川井郁子。ショートカットで赤の上下。登場シーンからしてもう他の俳優から浮いている。だけど、それが謎の女ぽくっていいだねえ。ニット系のサマーセーター?が身体のラインを強調していて、わかっているねえ、篠原監督。年下の男をもてあそぶ感じもいいねえ。この映画の中で配役最高。
 ちょっとだけ出てくるけどバイオリンを弾くシーン。いやー、ここを見ただけで、他の映画に出てくる俳優が楽器をいかに弾いてないかがわかる。川井、ちゃんと全身像を撮ってます。まあ、弾けるから当然なんだけど。アップもなくて淡々と弾いいている。それに画になるし。
 ラスト近く、ひっぱりつづけてやっと川井の部屋で柏原と二人っきり。キスシーンになり、すわ、目合か!と期待するも、柏原「こういうんじゃないと思う」。ふざけるな柏。しっかりひんむいて、川井の身ぐるみはがせ!いやはや、絶対ありえん。サービス悪すぎ。
 エンドロールに山下久美子の曲。

日産の自動車目立ちすぎ、映画『UDON』

 本広克行監督映画『UDON』(2006年公開)を観た。教育映画の側面はあるも人物の描き方がものすごく雑。見てもいいし見なくてもいい。
 映画冒頭、ニューヨークと思われる街。ユースケ・サンタマリアが英語でギャグ。その後、映画ラストにもニューヨークが出てくるけど、別に物語に関係ない。映画が無駄に長くなる原因。
 香川県の実家の製麺所に帰ってくるシーン。ひょうきん芝居がいらない。オーバーアクション。小西真奈美の水たまりの中に転ぶシーンとか、本当にいらない。
 小西の運転する日産マーチが法面を転落するショットはいい。フロントガラスの前を木々の葉が移動するのを車内から撮っていて、見せ方がうまい。白のマーチ大破、青いマーチ駐車場から転落。と日産車が壊されていく。提供している日産、太っ腹。
 だけど要潤の車が日産スカイライン、フェリーから出てくるのが日産のパオと、日産車が目立ちすぎて邪魔。
 小泉幸太郎の横にいる女、目立つ顔立ち。調べたら藤澤恵麻。映画にもっと出てもいいような気がする。顔の引きはあるんだけど、演技に問題でもあるのか。
 香川県のうどん文化を紹介するという意味では教育映画にはなっている。製麺が本業で、うどんを食わせるのは副業という位置づけというのはへー。だから地元の人しか知らない穴場ができるわけだ。あと、ブームのメリットとデメリットが描かれているのも良い。ブームで廃業になる製麺所の話は、これまたへー。
 うどん映画なわけだから見せるべき製麺シーン、調理シーンは多数出てくる。けど、可もなく不可もなし。うどんがシンプルなのに多種多様であることはわかる。調理シーンのうまさはやっぱり『あん』(2016/3/7掲載)が上。
 で、前半はうどんブームを起こしてタウン誌の売上が伸びるという成功物語。後半はユースケによる実家の製麺店を継ぐ話になる。
 ここは動機がかなり適当。ユースケによるうどん作り、親の仕事を受け継ぐみたいな設定だけど、ただ単に、親が死んでタイミングよくタウン誌が廃刊。だから片手間で手伝っているようにしか見えない。更になんと、ユースケ、製麺所を継がずにまたニューヨークへ。なんのためにうどん作っていたんだあ?遊び?そんなんでうどんが再現できるなら、父親のうどん大したことないよねえ。この辺の動機と行動がものすごく雑で飽き飽きする。
 動機と行動といえば、小西、なんでユースケの店を手伝っているの?恋愛関係?と疑っていると、その後はトータス松本のみかんのビニールハウスの中にいる。何がしたいんだあ?小西。
 結局、ユースケの姉役鈴木京香の夫、小日向文世が店を継ぐことに。最初から、継げばいいだけの話なのでは?ユースケが店を継ぐシーンがまるまる無駄。
 麺が出てくる邦画といえば『タンポポ』(2014/9/15掲載)がある。超名作。見比べると登場人物の動機、集団によるプロジェクト、料理シーン、見せ方、スピード感、どれをとっても雲泥の差。

これで時代考証がクレジット、映画『BALLAD 名もなき恋のうた』

 山崎貴脚本・VFX・監督映画『BALLAD 名もなき恋のうた』(2009年公開)を観た。設定が適当すぎてすぐ飽きる。
 急に筒井道隆、木の下で写真を撮っている。写真が仕事という前フリはあるけど、木の写真はなんで?
 とにかくタイムトラベルに対して、現代の筒井道隆、夏川結衣、戦国時代の草彅剛、新垣結衣、ともに理解がものすごく速い。現代ではすぐにタイムたラベルできる。仕組みも何もわかってないし説明もないのに。戦国時代では未来という世界を理解していて、武井証にたいして驚いていないし、タイムトラベルも理解しているよう。うーん、みんな、すごいなあ。
 戦国時代に持ち込んだ現代の機器、自転車、携帯電話などにたいして興味を示さない。馬鹿すぎる。どう考えても人間よりもまずガジェットだろう。人の行動が適当でひどすぎる。
 自動車まで来ているのにみんなたいして驚かない。合戦よりも自動車のほうが大切だと思うけど。みんな馬鹿なのかな?
 エキストラ多め。CGか?そうだとすると使い方はうまい。
 まあ、とにかく兵隊の棒立ちシーンが多い。合戦中の城の中、大沢たかおの陣営の中、大将対決など、見せ場になると基本周りは棒立ち。
 とにかく呼び止めるシーンが多い。出て行ったのに呼び止めて話す。お前はコロンボかあ?
 草彅に携帯電話を渡す。うーん、そんなの渡してどうなる。使い方は?バッテリーは?意味不明。
 香川京子、毎回、新垣の引き止め役。それだけしか仕事がない。
 ラスト、戦国時代なのに狙撃。火縄銃なのに。撃たれたのに周りを警戒しないで棒立ち。ものすごく時間が経過して吹越満が周りを警戒。反応にぶすぎ。
 なんと最後までタイムトラベルの仕組みや原因の説明何もなし。バカすぎ。武井、ずーっとランドセル背負ったまま。戦国時代での生活感がまるでない。親しくしている割に馴染む気すらなさそう。
 ものすごく都合よく現代にタイムトラベル。何度も書くけど、タイムトラベルが発生する仕組みが全く描かれない。場所が同じだけ。時間的制約とか一切ない。木の下に車停めたらタイムトラベル。手軽なドライブスルーSF。
 現代の城跡に行ったら「ありがとう」の石碑。うーん、もう小学生なのかなあ、映画製作者のみなさん。主人公が小学生なら内容も小学生レベルでいいのかなあ、邦画は?低能すぎ。
 戦国時代に持ち込んで戦争に役に立っているのが、カメラの望遠レンズと自動車が少しだけ活躍。その他は自転車の乗り方教えたり、写真撮ったり。なんのために戦国時代へタイムトラベルする設定にしているのか、意味不明。タイムトラベルが全くの無駄。
 これでエンドロールに時代考証の名前がクレジットされている。切腹したくなるほど恥ずかしいかも。

田無タワーが見える街、映画『おのぼり物語』

 毛利安孝監督映画『おのぼり物語』(2010年公開)を観た。最後まで見れるけどもう一山欲しい。
 映画冒頭、井上芳雄がアパートを不動産屋と探すシーン。壁の血など悪い条件を見せておいての、良さそうな物件なのに突然窓から転落。編集うまい。
 高校時代の先輩?肘井美佳はカメラマン志望。持っているカメラがRollei35T。その後出てくる井上の机の上のラジオがSONY ICF-B7。とガジェットを大写しにしてくれる点はありがたい配慮。ICF-B7にインクをかけてラジオが壊れるシーンがあるのだけど、調べてみると「防滴Ⅱ形」との性能表示。毛利、やっちまったなあ。と手ぐすね引いたんだけど、製品説明をよく読むとキャリングケースが防滴Ⅱ形。映画の方が正解でした。
 車道なのに車が全くない。もしくはものすごく少ない。不自然。東京だと野外ロケ大変なんだねえ。
 田無タワー(スカイタワー西東京)が見える街。ランドスケープを置くことで映画内の地理関係の説明が簡便になる。それが映れば今どこなのかがすぐわかる。特徴的なランドスケープといえば邦画『俺俺』(2016/3/14掲載)に出てきた坂月高架水槽。ワイングラスのような塔で印象的。『アリスノウタ』(2016/4/16掲載)と比べると、見せ方の基本の差が如実に出ている。
 部屋の中をウロウロするカニ、井上の右腕が落ちて畳の上を這い出す、など、幻覚(アルコール中毒?)を表現するCGの使い方がうまい。
 アパートの住人が個性的。ロシア人の男と日本人の女(オノ・ヨーコ風)、がんつける小学生、水橋研二、オカマの男、哀川翔(愛情出演)。
 出版社、漫画家関係も個性的。徳井優の楳図かずおパロディ。いい加減な出版業界人として八嶋智人。「どんどん忙しくなると思うよ」「なんの根拠もないけど」。こればっかり。
 路上のゴミ置き場がものすごくわざとらしい。盲人用点字ブロックの上にわざわざゴミを積んでいる。案の定、肘井がその上へ倒れこむことに。ここはわざとすぎる。いい場面なんだからもう少し自然に撮って欲しいところ。後、何度か出てくる手持ちカメラ風にカメラを揺らすのもいらない。
 わざとらしいといえば、邦画の中の挨拶。なんであんなに深々と何度も頭を下げるんだろうか?気にするとものすごく不自然に見える。これも映画の中のオーバーアクションの一つなのか。
 ひさうちみちおのシーンはいらないのでは。父親(チチ松村)の生き方を全否定しているようだし、それをそのまんまチチに伝える井上が馬鹿に見える。
 病院と思われる屋上(コンクリートが老朽化しすぎ)。ベンチと灰皿の位置が遠すぎる。ものすごく不自然。アパート内部は味わいがある古い感じがよく出ているのに、野外のこの不自然さはなんなんだろうか。野外で遊ぶ男女のシーンも取ってつけたよう。
 酔った井上をアパートまで連れてくる肘井。部屋の中のシーンはうまい。ローアングルでカメラを固定。二人の表情が見えない状態で芝居をしているし、セリフも無し。てっきりここは大阪に帰る肘井をむちゃくちゃに抱いてしまう激しい目合シーンがあるものだと期待したけど、キスのみ。残念。酔ったのが男か女か。連れ込んだ部屋が男の部屋か女の部屋か。とシミュレーションすると展開がどんどん変わって楽しい。
 と、面白くなりそうなんだけど、実はそれほど盛り上がらない。なぜなのかといえば、井上が割と楽に漫画を描いているように見えるから。酒を飲むシーンが何度も出てくるけど酔ったシーンは一度だけ。アル中になるわけでもなく酒での失敗も描かれない(寝坊で遅刻するけど酒のせいかどうかはわからない)。連載が急に打ち切りになるけど、お金に困っているような描写がない。父親の病気があるけど、家族の理解があるので、別に大阪と東京を往復するだけで、締め切りを守れないわけでもないし、画が書けなくなるわけでもない。とまあ、苦難のようなものが訪れるけど、別に何も起きなくて普通に乗り越えてしまう。
 ハードルはあるようだけど、乗り越えたのかどうかもわかりづらいからハラハラドキドキも乗り越えた時のカタルシスも全くない。だから盛り上がらないし面白くもない。
 漫画家の上京といえば『上京ものがたり』(2016/3/9掲載)がある。
 

前代未聞の慟哭シーン、映画『アリスノウタ』

 もてぎ弘二脚本・監督映画『アリスノウタ』(2015年公開)を観た。映像は大学映画サークルレベル、脚本は予想を裏切る展開。びみょー。
 櫻衣はるの後ろ姿。タイトジーンズのおしりからももにかけての肉がすごい。細身でロングの黒髪。顔は、うーん、市川実和子風。
 代々木公園での路上ライブシーン。客がいない、声も聴かせない。ライブハウスのシーン。ものすごーく貧相。客がほとんどいない。とにかく画面がすかすかしている。後、周りを撮らないために顔のアップが多い。映画というよりテレビ的。
 櫻衣が静かで無口な分、周りの俳優が多弁でオーバーアクション。かなり飽きる。
 櫻衣の歌になると明らかに声がこもっているんだけどなんで?意味不明。映画後半はエフェクターを通した声だし。櫻衣の声の実力を示すシーンを作らないという意味不明な展開。悪名高い『BECK』(2015/6/30掲載)の無音ボーカルに低通するものがある。
 映画の中の芸術問題が発生。すごいと騒いでいるのは映画の中だけ、観客には伝わらないパターン。首なめ問題も発生。目合シーンでヌードもなしおっぱいポロリもなし。首を舐めるだけ。撮り方ワンパターン。
 櫻衣、携帯無くしたはずなのに騒がない。女店長から櫻衣に渡すようにお願いされた友人はその電話を持ち続けているらしい。なんか人の行動が微妙にちぐはぐでありえない感じ。
 37分頃、メジャーレビューさせるという男の話すアイドル論はちょっと面白い。
 その後、屋上で延々と続くアクションシーンが意味不明というより、意図すら図りかねる無意味な映像の垂れ流し。拳法風の戦い、映像も幼稚だし、前後の脈絡もなし。画面の前で無の境地になれるのは久しぶり。
 建物の地理的位置関係を示すことが下手くそ。建物の外観、人物の移動する映像が殆ど無いので観客は今見ている映像が一体どこなのか迷子になる。このあたりも映像の基本ができてない感じ。
 71分頃、川岸で櫻衣の嗚咽は素晴らしい。初めて声が出た感じ。泣きの演技としても、邦画史上最高かも。ここは見て損はない。
 両親が見えるショットは面白い。この展開は正直読めなかった。ただし、出すのが遅すぎる。もっと前で前フリを入れておかないと。前半と後半が別の映画になっている。
 後、暴力団事務所と思われる話し合いのシーンもいい。組長風の男の脅してくる感じ。うまい。
 警察が現れて更に意外な展開が続く。けど、ラストは決着をつけないでけむにまく感じ。
 メジャーレビューする歌手の話としては貧相すぎる。後、その展開にするなら、ホラーにするかサスペンスにするか映画前半で示しておかないと。櫻衣の人生をちゃんと追えてない感じ。もう少し金使えたら良くなっていたかなあ。映像の腕は微妙だけど、お話を作る腕はありそう。他の作品も見ないと判断しかねる。
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グブリー川平(かびら)
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