2016年01月後半観たおすすめ邦画

2016年01月後半観たおすすめ邦画
 2016年01月後半観た邦画は32本。

【次点】

『薄れゆく記憶のなかで』監督篠田和幸、1992年公開、2016/1/22掲載
 恋愛青春映画なんだけど、途中で意外な展開がある。ラストも辛口、と最後まで面白い。さらに堀真樹と菊池麻衣子の演技が実に下手なんだけど、何か近所の知り合いの恋愛を盗み見しているようで変にドキドキする。

『あゝ野麦峠』監督山本薩夫、1979年公開、2016/1/26掲載
 冬山、峠越えシーンは雪、エキストラの数、共に圧巻。大竹しのぶの演技はすでに完成しているうまさ。原田美枝子、古手川祐子なども綺麗。

『病院へ行こう』監督滝田洋二郎、1990年公開、2016/1/31掲載
 見たのは多分二度目。久しぶりに見ると作りがちゃんとしているのに驚いた。さらに薬師丸ひろ子がいい。ぶっとんでいる底なしの感じとか、恋愛感情の移り変わりとか、うまい。薬師丸、見なおした。

【次点の次点】

『黒帯 Kuro-Obi』監督長崎俊一、2007年公開、2016/1/19掲載
 映画としては普通の出来で普通に最後まで見れる。注目はアクションシーン。八木明人の防御と攻撃を同時に行うような瞬殺の技(初期のスティーブン・セガール風)。またその技を受けている俳優?が映像的な加工無しで受け身をとっている。今の映画も見習って欲しいところ。

『カンゾー先生』監督今村昌平、1998年公開、2016/1/27掲載
 まあとにかく麻生久美子を見てほしい。野生児のようで淫売という役柄。尻丸出しではつらつとした強い女を演じている。こんな演技ができるのに、昨今、失恋でめそめそする女という印象が付いているのは残念。

『太秦ライムライト』監督落合賢、2014年公開、2016/1/30掲載
 斬られ役の福本清三が映画の中でも斬られ役を演じている。時代劇が衰退する邦画の現状や大部屋役者の悲哀など、邦画ファンなら裏側が見れて非常に興味深い。また、ヒロインの山本千尋が太極拳の使い手らしく、アクションのキレがいい。新しい女性アクションスターの登場か?

【残念】

『問題のない私たち』監督森岡利行、2004年公開、2016/1/17掲載
 女子生徒同士のいじめが発生。この時の沢尻エリカが本当にいきいきとしている。天性のSキャラ。スクール水着での水泳シーンもちゃんと押さえてある。後半、話が女教師に移ると失速。急激につまらなくなる。

『at Home』監督蝶野博、2015年公開、2016/1/29掲載
 泥棒などの犯罪で稼いでいる家族という予想外の設定。村本大輔の丁寧な言葉遣いによるヒールキャラが素晴らしい。村本、今後役者として化けるのか?映画は後半に向かってお涙頂戴に。残念。

【駄作】
『梟の城』
『本格冒険科学映画 20世紀少年 第1章 終りの始まり』
『本格冒険科学映画 20世紀少年 第2章 最後の希望』
『本格冒険科学映画 20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』
『図書館戦争』←一部見るべきシーンあり。

【悪質な駄作】
『クロサギ』

薬師丸ひろ子代表作、映画『病院へ行こう』

 滝田洋二郎監督映画『病院へ行こう』(1990年公開)を観た。改めて見ると細部までよく出来ている。コメディーとしておすすめ。
 映画冒頭、都心の高速だと思われるタクシーの映像。ノイズが混じりがちな携帯電話の音声。懐かしいアナログ携帯の音質。真田広之、タクシーに箱乗りしながら電話で仕事の話。と、わかりやすい真田の説明映像。うまい。
 電話ボックスから電話するのは斉藤慶子。白いワンピースに小麦色に焼けた肌がエロい。
 真田、自宅に帰る。斜行エレベーター(調べるもロケ地わからず)。間男の大地康雄がうまい。わざと転がっているのがばればれだけど、真田の階段落ちすごい。
 病院のシーン、なかなか細かく描いている。注射で針を指すシーン。役者が吹き替えかどうかは判然としないけど、本当に刺している。一旦刺したのにまた抜いてしまう看護婦平栗あつみが可笑しい。俳優陣、胃カメラ、本当に飲んでいる。
 病室のシーン。大部屋にちゃんと他の患者がいる。若干物語に絡まない患者もいるけど猥雑な感じで病院の描写としてはちゃんとしている。
 さらにいいのが薬師丸ひろ子。新人の医者という設定なんだけど、これが最高にいい。これまで見た薬師丸の中でベスト。血管に注射針を刺すことすらできないのに患者の顔を見ながら「大丈夫ですよう」と微笑む。これが安堵するどころが恐怖、ホラーのよう。
 レストランで食事をしながらレントゲン写真を出したり、尾美としのりが寄生虫の話をし始めると、尾美と寝ると「検便されそう」と笑顔で言う。なんか、底なしの楽天家。だけど根拠や裏付けがどこにもない怖さ。
 と、コメディーシーンもいいのだけど、ラブシーンもいい。車いすの真田に抱きしめられて、最初は抵抗するんだけど、段々と心と身体を許していって、逆に積極的に求めてしまう、演技が素晴らしい。薬師丸の演技力を見なおしてしまった。
 一方の真田は身体。映画冒頭の階段落ちもすごいけど、手当中やお風呂のシーンで見れる肉体はすごい。特に大腿部の太さは驚くほど。大手術なのに局部麻酔というのはありえないと思うけど、電動工具が唸りだすとサザエさんを歌い出す件は爆笑。
 展開も丁寧に作られている。大地の咳込みからのがんの疑い。花火職人をやめた大地の指が動かない表現を卵で見せる。さらにラストで真田が薬師丸名義で書いた嘘の手紙で鶴を折ってみせる。セリフやナレーションでなく映像として指先の状態を表現している。薬師丸の成長は注射のシーンで表現。会社の真田のデスクは荷物置き場になっていたり、病気が治ると部下が迎えに来るなどいろいろちゃんとしている。
 オーディオ的には花火玉を持って脅迫する大地。病院の廊下で大声を出すんだけど、硬質で長いのと短いホールエコーが交互にかかる独特な響き。
 ラストは病院玄関前(ロケ地は牛久愛和総合病院?)で口紅を塗る斉藤慶子(女が決意したことを示す邦画の定番演出)。すれ違う真田。結論を見せない潔さ。

久々に出た観客をなめている悪質な駄作、映画『クロサギ』

 石井康晴監督映画『クロサギ』(2008年公開)を観た。悪質な駄作。
 映画冒頭、車の取引場面。盗難車らしく杉田かおるが買い取り、お金を渡す。んだけど、渡すのが金属製の箱のようなもの。五百万だって。あのさあ、五百万くらい紙袋に入れない?普通。それに金額も確かめない。さらに、詐欺だとわかるのがナンバープレートが全て同じだから。あのさあ、そんなわかりやすいことプロの詐欺師がする?そもそも何が詐欺なの?偽造ナンバープレートなら別に作れるし、車が本物の高級車なら別に被害なんか何もないよねえ。警察が来ているのになんで搬送用トラックを止めない?トラックの後ろの「毎度あり!」の垂れ幕もダサすぎて、この冒頭部分だけで駄作だとわかる。映画冒頭にTBSのマーク。『図書館戦争』(2016/1/30掲載)もそうだった。テレビ局がかんでいる邦画は観客を舐めきっている。
 「そんなとこ全然気づかなかった」とオセロのゲーム展開に驚く。盤面を見ると隅に石を置いてひっくり返しただけ。小学生でも隅を取るのは常識だろう。場面とセリフが、映画以前の問題として馬鹿すぎる。
 病院、ベッドを仕切るカーテンに山下智久が影絵を作っている。子どもたちが驚いている。だけど、実際の影絵が歪んでいるし大したことない。こんなシーンばっかり。映画の中の登場人物は驚いているけど、観客は白けるという、駄作の黄金パターン。
 竹中直人の行う印鑑詐欺。これがもう馬鹿すぎる。印鑑登録した日は関係ないんだって。関係あるだろう、馬鹿。印鑑証明はどうするんだあ?この脚本は馬鹿なのかな?脚本は篠崎絵里子。
 マネーロンダリングの説明もものすごく適当。汚い金で車を買い、それを売り払えば金は綺麗になる。らしい。あのさあ、誰が同じ金額で車を買うの?値下がりするよねえ。もうその場の思いつきで脚本を書いているのがまるわかり。でたらめすぎてうんざりする。
 電子マネーのカードによる詐欺。竹中直人が二億入金だって。竹中も詐欺では凄腕の一人なんだよ。すぐに二億入れるかあ?誰だって最初は千円くらいで試すよねえ。人の基本的な行動すら描けない。ダメダメ脚本。
 警察の捜査本部。ディスプレイ多すぎ。どこの警察でなんのためにそんなにディスプレイが必要なのか?なんの説明もない。これまたなんちゃって設定。思いつきでやりました臭がプンプンする。
 でまた、この警察がなんのために登場しているのかがわからない。ずーっと部屋の中にいて説明するだけ。で、この説明も、大地真央が説明したり、山崎努の秘書?奥貫薫が説明したりと、がちゃがちゃして一貫性がない。ものすごーく話の展開が下手くそ。
 野外劇場での山崎と山下の会話がずーっと無駄。ぼーっと立っているだけの無駄なショットも多いし、意味ありげに出てくる日本刀が結局なんの意味もない。適当に思いついて持たせているのがまるわかり。敵をうつなら早く斬れ、馬鹿!
 山崎が詐欺界(そんな業界あるのかしらんけど)で有名ですごい人らしいけど。ただただ部屋の中で座ったりタバコ吸ったり日本刀振り回したり奥貫や山下とだべったりしているだけ。それなのに裏の情報に詳しいらしく、誰が詐欺師なのかを知っている。さらに竹中直人の行動(いつ高飛びするかなど)も逐一知っている。なんで?部屋の中と野外劇場を行ったり来たりしているだけの爺さんだよ。説得力、まるでなし。それ以前にさあ、山崎の役、いる?必要ないよねえこの役。そんな情報、影の組織みたいなもの作って電話とかメールのやり取りで済むことでしょう。だって敵をうたないんだから。実在しいる必要もないし。とにかく無駄。
 奥貫が山下に情報提供するのが教会の中。別に部屋の中で話せばいいよねえ。これまでもしゃべっていたし。このシーンいる?教会の必要どこにある?これまた無駄。
 あっけに取られるバカで間抜けシーン。山下はカード詐欺で一度、竹中に顔を見られている。それを切り抜けるのにどうするのか?映画の中でも説明があるし、観客は期待するよねえ。で、出てきたのがメガネかけて髪型が少し変わっただけの山下。どこから誰が見ても山下智久にしか見えないんだけど、竹中、気づかない。
 その、会社内で出会うシーンを見て、てっきり竹中は知らないふりをして騙されているふりなんだろうなあ、と思ったけど、最後まで知らないことになっている。なんかさあ、特殊メイクとか、観客からお金取るんなら俳優も含めいて映画製作関係者全員、努力はしようよ。最低限のさあ。
 山下と笑福亭鶴瓶が出会うコインランドリーのシーンが無駄。前フリのつもりらしい。映画最後の展開で笑福亭が本当の黒幕として出てくるんだけど、完全な後付。前フリという意味をこの映画の人たちはわかっているんだろうか。こんな幼稚な事柄を書いているとこっちの頭が痛くなってくる。
 無駄といえば、堀北真希が本当に無駄。なんのために出てきているのかが全くわからない。山下の隣の部屋の住人なだけなのに登場シーンが多い。なのに一切物語に絡んでこない。馬鹿すぎる。
 山下、竹中の会社に乗り込むんだけどエレベーターに閉じ込められる。エレベーターの天井を開けて脱出。だけどさあ、天井を開けた面に蛍光灯が付いているの。爆笑。そんなところに照明器具が付いている構造物ある?あなたが作業員だったら、そんなところに裸の蛍光灯があったら危なくて点検口開けられないよねえ。隅々までいい加減で適当に作っている駄作映画。
 で、更に恥の上塗りなんだけど、この山下、換気口を抜けゴミ収集車に隠れてビルを脱出する。で、車に乗り込むんだけど、あのさあ、竹中のビルには何しに来たの?用事はなに?済ませた?もしかしてただエレベーターに閉じ込められるためだけに来た(そういう場面を作った)だけとか?はー、怒る気力も萎えてきた。
 この映画第二のどっひゃー。竹中の携帯電話をすり替える山下。竹中が部下に電話すると山下の電話が鳴る仕掛け。で、山下が電話に出ると、部下の口調を真似するだけ。声は当然同じ。それで竹中騙される。この人たち、詐欺のプロっていう設定だよう。普通の人より馬鹿じゃん。
 竹中と山下の最後の食事シーン。山下がオセロを持ってくるんだけど、箱ごと持ってきている。うーん、山下も馬鹿なのかな?普通、箱はおいてくるよねえ。荷物になるし、邪魔だし。そのくらいの知能もないのに詐欺師なの。この映画に関わる人たちは映画以前の何かが欠けていると思う。
 警察こと哀川翔。説明だけかと思っていたらやっと動き出す。やれやれと思っていると、なんと山下のメモの通りに行動する。なんで?警察までバカ設定。結局、みんなバカって言うことがこの映画の結論なのかな。それだとある意味すごい。
 大地真央、何故か理由もなく山下の前に飛び出してくる。アポはとった?それとも偶然。それにしては偶然多いねえ。駄作の常套手段。
 回想場面で、電車に飛び込もうとする大地。だけど、近づいてくる電車のスピードがものすごくゆっくりしていて、緊張感ゼロ。苦笑。もしかしてギャグシーンなのか?
 哀川が笑福亭を捕まえたことは山下のおかげだと褒める。あのさあ、笑福亭自体が後付だし、山下は笑福亭のこと知らなかったよねえ。話が破綻しすぎていて、何を言っているのかすら見当がつけられないほど、意味不明。
 とまあ、書いてきたように隅から隅まで駄作。これが低予算の映画ならほっておくけど放送免許を持っている特権企業の金が出ている映画となれば別。更にこんな駄作で観客から金を巻き上げるとは、悪質。
 

出版社の老人が考えたSF?映画『図書館戦争』

 佐藤信介監督映画『図書館戦争』(2013年公開)を観た。発想が古臭すぎて馬鹿すぎる。映画内ロジックもめちゃくちゃ。だが、見るべき点も少しある。
 メディア良化法の成立により良化隊という有害図書を取り締まる団体。銃火器で武装している。図書館に図書隊と呼ばれる図書館内を銃火器で守る団体がある。この二つの団体の熾烈な?争いを描く。
 これがさあ、ものすごいお笑い種の設定なんだよねえ。小学生ですら疑問を持つほどの穴だらけ。まずさあ、メディア規制法なはずなのになんで本だけが規制の対象なの?本屋と図書館以外の施設に良化隊が踏み込んでいるシーンが一つもない。新聞、テレビ局、ラジオ局、ネットは?なんで規制しないんですかねえ?(もしかしてTBSの映画だから?)なんかも馬鹿すぎて、説明映像の場面で苦笑、その後赤面するほどの穴だらけ。
 さらにさあ、本を規制したからって、それで終わりじゃないよねえ。中国共産党の対策を見ればわかるけど、本の取り締まりは勿論、著者、出版社、販売店と拉致してまで規制するよねえ。そんな、現実に起こっていることすら描いていない。想像力がないのか、現実を観察する眼がないのか、節穴なのか。本当に発想が小学生並み。失礼、小学生以下かも。
 でさらにさあ、映画『アンフェア』(2015/5/25掲載)でも同じ穴があったんだけど、結局、デジタル化してネットに流せばいいだけの話しじゃねえ?
 それをやらないからてっきり、ネットのない未来社会を描いているのかなあ?と思うでしょう。ところが、図書館のパソコンで貸出業務やっているし、映画の最後にはスマホまで出てくる。うーん、このお話書いた人は自分の書いた作品、読み返さないのかな。健忘症かな。脚本は野木亜紀子。
 電子書籍でコピーライトフリーでネットに流せば永遠に消せないわけだから、本を焼く手間もいらないし、CO2の排出も防げるし。一石二鳥でしょ。
 それにさあ、映画の最後に新聞は拡散OKということで、ネットで拡散させているだよねえ。もうなんか、映画内ロジックが破綻しまくっていて、頭痛がしてくる。
 その他にも気になることをあげてみると。
 図書館が中隊クラスの軍隊を持っているようだけど、その予算はどこから出ているの?
 図書隊、エリートのはずなのに900万冊の本の中から本探し。そんな仕事アルバイトにさせるべきでは?もっと大切な仕事があるはずだけど。その割に、みんな図書館の中ほっつき歩いていて暇そう。忙しいのか暇なのかはっきりしろ。
 両軍の対決シーンの設定が馬鹿すぎる。正面玄関からしか攻撃しない。なぜかわからない。理由も示されない。時間を決めて攻撃。これまたなぜかわからない。図書隊は専守防衛みたいな意見をちらつかせて、自衛隊の比喩みたいなことをやっているけど、ただ馬鹿な団体にしか見えないんだけど。あと、とにかく両軍とも弾が当たらない。空砲なのかな?馬鹿すぎる。
 ヘリがコンテナを輸送するシーン。アサルトライフルで攻撃する。あのー、RPG-7ぐらい持ってないのかなあ。二回目の輸送からは攻撃すらしない。良化隊たくさんいるのに。外で何しているんでしょうか?
 ここでも攻撃は玄関の正面だけ。もう、本当にうんざりする。狙撃兵(福祉蒼汰たち)を配置しているんだから、山林から忍び込んでくる良化隊を狙って防ぐとか、見せ場作れるよねえ簡単に。そのくらいの、知恵もないのかな。
 全然当たらなかった弾が当たり出す。なんで?本当になんで?頼むから教えてほしい。
 とまあ、駄作過ぎて飽き飽きしているんだけど、岡田准一が関係する銃撃戦と格闘シーンは、別の映画のようにイキイキしていてレベルも格段に向上。特に、映画のラスト近くの廃墟のような本屋跡。格闘技を合わせた岡田の動きの俊敏さと編集は見る価値あり。
 あと、陸上自衛隊、航空自衛隊が協力しているせいか、装備と銃火器、エキストラの人数は豊富。図書隊は9mm機関けん銃?、良化隊はMP5と分けてあり射撃音も別々。薬莢音も入るなど、それなりに見える。
 あと、榮倉が岡田のことを「ちび」と噂する。その後も身長ギャグが頻出。芸能界のアンタッチャブル、ダークなジャニーズもいじれるようになったんだあ。いやあ、感心。

福本清三の福バウアー、映画『太秦ライムライト』

 落合賢監督映画『太秦ライムライト』(2014年公開)を観た。衰退する時代劇と撮影現場が見れて二度美味しい。最後まで見れる。
 この映画を見るのは二度目。多分、劇場公開前にテレビ放送されたはず。
 映画冒頭、剣を交える二人。CGによる背景、人物もコントラストを強めた加工がしてあるようで、全体的に馴染んでいる。音楽も良くて、勇ましさを強調している。配役。タイトルどーん。
 福本清三という斬られ役専門の俳優の物語。実際の福本が斬られ役を演じているわけだから、半分ドキュメンタリー的でもあるし、脇役であるはずの人物が主役という本末転倒感もあいまって、映画として独特な雰囲気がある。
 何度も描かれる暗いスタジオセット内での木刀を振り回し殺陣の練習。斬られて後の倒れ方が、独特というかわざとらしいというかオーバーアクション気味。実はこれ前フリ。さらにその倒れ方で倒れると水没して過去の撮影での水没シーンに場面転換。そこで先輩女優からかんざしで髪を直してもらう。これもまた前フリになっているという細かい脚本。
 「仕出し」とはエキストラのこと。
 中山エミリかと思ったヒロインの山本千尋。棒術(薙刀か?)の演技がすごくうまいと思って調べてみると太極拳ですごい人みたい。志穂美悦子亡き後、邦画界待望のアクション女優の誕生なのだろうか。期待大。
 福本を父親の代わりだと思い込むファーザーコンプレックス設定。師弟関係にちょっとしたスパイスを入れた感じ。
 福本、やせ細った身体なのに二の腕の筋肉と血管の浮き出しが目立つ。異形に感じる顔は白目のほぼない黒目ばかりの眼にあるとわかった。
 若い映画監督役の市瀬秀和も異形に見えた。なんでかなあ、と思ったら、奇妙に前腕部(手首から肘にかけて)が長く見える。気のせいか。
 『十三人の刺客』(2013/12/23掲載)で松方弘樹の殺陣だけが他の俳優と違うことに気づいていた方は多いはず。その理由がこの映画を見るとよくわかる。更にパワーアップして刀さばきと顔芸がオーバーアクション過ぎてオーバーシュートしている。当然、福本との比較としての演技なんだけど、「立ち回りとは芝居のこと」が納得できるシーン。
 最後の映画出演。出番前に山本が福本の髪の乱れをかんざしで直す。これ過去の回想であった前フリの再現ね。さらに福本、斬られるとあの鯖折り気味に背をそらして倒れこむ。今なら福バウアー。斬るのは当然、山本。これで世代交代が完結。お疲れ様でした。

松雪泰子お笑い芸人から殴られっぱなし、映画『at Home』

 蝶野博監督映画『at Home(アットホーム)』(2015年公開)を観た。作りは丁寧な方、最後まで見れる。
 風呂場と思われる部屋。子供が寝ている。周りにゴミが散乱。すりガラスの入ったドアを開ける竹野内豊。父兄参観で作文を朗読する子供。と、意味深な出だし。
 庭、家の中をゆっくりと写す。二階のベランダ。松雪泰子の白髪染めを手伝う坂口健太郎。
 松雪が料理を作り黒島結菜がセーラー服で現れ、坂口が現れ、池田優斗がいて、竹野内豊が帰ってくる。カレーを食べながら、今日の稼ぎはとテーブルの上に財布を出す。免許証が他人の顔。万札を数える。盗んできたことを普通に話す。掛け軸を持ちかえった竹野内を金だけにしておけとたしなめる坂口。なんと竹野内の職業泥棒らしい。いやー、ちょっと予想外。ここでかなり映画に引きずり込まれた。
 で、ここから竹野内の仕事内容をみせる映像になるんだけど、かなり丁寧でここも感心した。大きめ、新築風の日本建築の家。呼び鈴を押す竹野内。ちゃんとハンカチで押している。回りこんでアルミサッシの窓。手袋をして小型ガスバーナーで鍵のある部分を加熱、ひびが入る。水をかけると粉々に。そこを割って鍵を開ける。いやー、こんな丁寧な侵入シーン、初めて見た。みんな真似しそうで怖い。
 坂口は竹村印刷所で偽造専門。パスポートの偽造シーン。住基カードは知り合いの役所の人間から手に入れる。このへんは、そこそこ。
 で、松雪は結婚詐欺を働いているようで男を物色。ここで出てくる村本大輔にびっくり。レストランでかもの殺し方を説明するシーンは本当にうまい。丁寧語で松雪をなぶる姿がインテリでサディスティックという変な気持ち悪さがあって、すげー。今後、他の役ができるかどうかで演技力は見えてくるのだと思うけど、少なくともこの映画のこの役はドンピシャ。
 松雪が誘拐されてからは若干ダレる。引き渡し場所に偽装家族四人で駆けつけるというのがそもそも変。少なくとも一人は自宅に残して連絡係にしないとおかしいだろう。
 あと、引き渡しの大切なシーンなのに棒立ち気味の演出はいくら何でもひどい。奇妙な間もあって編集、下手くそ気味。ナイフもなあ、別に普通に持っていていいんじゃないの。椅子の後ろに隠す必要ある?
 でまあ、ある出来事が起きて、教室の中、授業父兄参観、池田の朗読に合わせて、過去の回想。ここで、五人が同じ家に住むことになる経緯が説明される。
 ここは飲み込みにくい行動が頻発する。盗みに入った竹野内、物音に気づいてお風呂場を覗くと池田を見つける(映画冒頭シーン)。場面は変わって、警報がなり逃げる竹野内。坂口に会う。「(車に)乗るか?」と誘う。とまあ、泥棒としてはありえない行動。物音がしたら一目散に逃げるべきだし、犯行後にすれ違った見ず知らずの人に自分から声かける?一応、道、教えてもらったけど。この辺は、かなりつじつま合わせが厳しい。
 松雪の過去映像では、旦那が千原せいじ。これがDVで、松雪を殴る蹴るの連続。いやはや、松雪、吉本興業のお笑い芸人から暴行受けすぎ。逃げて後は、結婚詐欺で稼いでいる。なんでそこまで転落した?職業が不自然すぎる。急すぎない?
 ラストは足を撃たれたのに竹野内普通に歩いている。後遺症はないのか。
 上に上げた以外にも、玉砂利がまかれた家とか、子供の首に傷跡があるとか、入居した日に赤い水が出るとか、靴下が汚れているとか、かなり細かいところまで神経が行き届いていて、映画の作りとしては感心する。だけどねえ、後半に行くに従ってつじつま合わせのための映像が多く、ラストに至っては「誰だよお前?」というやつも出てくる。かなり残念。
 後、ひとつ屋根の下に、綺麗な女が二人もいて、そこに男が二人。全員、血がつながってないんだよう。絶対、やっちゃう(目合う)でしょ。そこが何も描かれてないのが、この映画の最大の不自然な点かな。

注目は喜多陽子の胸元くらい、映画『コープスパーティー』

 山田雅史監督映画『コープスパーティー』(2015年公開)を観た。ホラーの割に緊張感なし。飽きる。見てもいいし見なくてもいい。
 暗い部屋に倒れている数人の男女。制服を着ているので中学生か高校生。起き上がる。こういう映画冒頭の出だしは『人狼ゲーム』(2015/3/29掲載)などに見られるパターン。その後、閉鎖空間であることを示す行動も同じ。観客の意識を他にそらせない意味もあるけど、舞台を狭くして経費節減の意味もある。やるなら洋画『エイリアン』くらいの閉鎖空間を作りたいものだけど、邦画でSFは無理な状況。
 場面転換して、現代の時制。教室の中で文化祭の片付けをしているという設定。だけど、ものすごくなんちゃって感。教室の中で数人がウロウロしているだけ。
 絵的には奥菜恵似の胸元にボリューム感がある喜多陽子が目立つ。
 でまあ、サブキャラで重要人物(ある意味ヒール役)の前田希美がオカルト好きで「幸せのサチコさん」というゲームというのかお祈りというのか祈祷というのか、集団行為をおこなうことを提案。人型の紙人形(『千と千尋の神隠し』に出てきたやつね)を九人で持ち九回「サチコさんおねがいします」と唱え紙人形を引きちぎる。紙人形の残骸の紙片を持っていれば別れることがない。という設定を前田がセリフで説明する。一応、転校する生徒がいるという前フリもあり、最低限の話の辻褄は合わせてある。その後も、前田がいちいちセリフで説明する場面多し。
 で、まあ、その幸せのサチコさんをやると地面が割れて、映画冒頭の世界へ入り込む。異空間がどうのこうのと前田が説明しているけど、ステージが変わりましたよという印。一応、閉鎖空間が出来上がったことを示す窓やドアをどんどんどんと叩くとか、携帯電話を取り出して圏外を確認するという、邦画あるあるもちゃんと挟み込まれている。
 けどねえ、ここから正直つまらない。ホラー映画なのに緊張感がないんだよねえ。まず、女の先生が殺される。で、怖がってみんなちりちりばらばらに逃げるんだけど、その後、怖がっていない。何者かが閉鎖空間の校舎内をうろつきまわっているはずなのに、みんな普通に話している。
 例えば用務員室のシーン。廊下を大型ハンマーをもって近づいてくる男。なのに用務員室の中で普通に話している。もう少しさあ、早く逃げようとか、怖がってヒソヒソ話すとか、なんとかできないもんかねえ。画面がだらけすぎてうんざりする。
 この映画の主人公とも言える生駒里奈。足を捻挫して歩けないはずなのに普通に歩いている。捻挫はどうなった?かと思うと倒れこんで足をさすっている。うーん、仮病なのか?どういうキャラにしたいのか設定が雑で下手過ぎて理解不能。
 更にこの映画の肝になる生駒の持っていた紙片。受け渡しシーンがものすごく不自然。前田が生駒の生徒手帳を拾い、ニセの紙片を渡すシーン。意図的に偽の紙片を渡して生駒を置き去りにする企みなんだけど、生徒手帳を返さずに紙片のみ返す。そんなことある?廊下に紙くずが落ちていてそれが生駒の紙人形の紙片だとわかるわけ?前田は超能力者なのか?どう考えても生徒手帳ごと返すだろう。そこに偽の紙片を挟め。設定が下手すぎ。行動が不自然すぎるし、周りの高校生も気づけ。タレ目の池岡亮介も気づいているならその場で言え。お前たちは馬鹿なのか?
 映画全体の映像は暗いのに、監視カメラの映像を見ると明るい鮮明な映像。暗視カメラなの?すごいすごすぎる。
 幸子の母親が階段から落ちるシーン。足元しか撮らないからなんで落ちたのかが理解不能。自分で落ちたのか、校長に押されたのか。校長の異常性や母親の死の原因を示す重要なシーンなのに、下手過ぎ。
 小学校なのにでかい地下室がある。なんで?あるか、普通。不自然すぎる。地下室なのに照明が煌々と灯っている。なんで?緊張感ゼロ。
 急に「なくさないように俺が持っておく」と生駒から紙片を奪い取る池岡。どちらも普通にポケットに入れているだけなんだけど。本当に紙片のやり取りが不自然すぎる。映画内の重要アイテムなのに、脚本も演出も雑。
 学校にいる小さい子供の霊?が赤い服を着ているのは『学校の怪談』(2015/10/4掲載)とも共通する。『リング』(2015/2/1掲載)の貞子のように邦画のホラーでは記号化された存在でこすり倒された感あり。
 エンドロールの後にまだ映像が。もしかして続編作るつもり。このレベルの話をまだ続けるの?邦画業界って、暇なんだねえ。

「Boiled egg,Love」の間違いでは?映画『GELATIN SILVER,LOVE』

 繰上和美撮影監督・監督映画『GELATIN SILVER,LOVE(ゼラチンシルバー、ラブ)』(2009年公開)を観た。映像美という点でひかるショットもあるけど、映画としては紙芝居。
 暗い部屋、水滴の音。波紋のような影。意味深な映像で始まる。永瀬正敏がビデオカメラを回している。川向の倉庫のような店舗のような作りの家をビデオカメラで撮影している。タバコ吸ったり、ビール飲んだり、髭剃ったり、タバコ吸ったり、録画済みテープに番号を記入したり。
 一方、監視されている倉庫のような家の中に女がいて、アップになると宮沢りえ。ゆで卵作っている、ゆで卵を食べている。シックなファッションで外出。夜、家にいると床でごろごろ。前転の逆向き。宮沢の身体の柔軟性にびっくり。
 で、外に出ると永瀬はカメラで写真撮影。宮沢は歩いている。とまあ、はっきり言って、二人共、部屋でごろごろしているか、外をただ歩いているか。このくらいしか、演出がない。ものすごく引き出しが少ない感じ。新人監督にありがちな特徴。
 スーパーでのシーンは失笑するほど奇妙。永瀬、ショッピングカートを押しながら画面を右から左、左から右、一体何往復するんだあ。その後は卵の取り合いで宮沢と遭遇。永瀬、崩れ落ちて絶叫。宮沢はワンパックしか買わないし、ホント二人共スーパーにとっては邪魔な客。
 と映画的につまらない上に、お話も飲み込みにくい。永瀬が宮沢を監視しているのは役所広司に頼まれての仕事らしい。で、どうも宮沢は殺し屋で仕事の依頼をしているのが役所。だから宮沢を監視する必要があるらしい。
 で、どういうわけか宮沢、役所を映画館で殺す。理由は?なし。説明ないからわからず。で、永瀬も殺す。理由は知らない。説明ないから。殺しの現場を撮影されたというのなら殺しの理由にはなるけど、依頼人を全部殺していたら仕事にならないのでは?とにかくよくわからない。
 で、永瀬を殺す場面がものすごく不自然。いつの間にか部屋に入ってきてサイレンサー付きの銃で永瀬のこめかみを一発で仕留める。その後、壁中に貼られた宮沢の写真をライトを当てながら見る宮沢。で、永瀬が握っているカメラを取り上げてフィルムを取り出し感光させる。まあ、証拠隠滅ということでしょう。
 だけどねえ、ここまでの一連の行動、宮沢、素手なんだよねえ。手袋なし。あのさあ、サイレンサー付き銃持っていて、カメラのフィルムも感光させる人が、指紋はそのままなんですかあ。写真もビデオテープも部屋中に散らばっているよねえ。それみんな証拠だよねえ。設定が雑すぎて、目が点。
 そもそもさあ、役所は外で殺したくせに、なんで永瀬は部屋の中なんだ。全部、バレバレだろう。どこが殺し屋なんだ。
 良い点は二点。確かに映像はひかるショットがある。橋の下に乱舞するカモメ、不穏な空気を醸し出していてホラーかサスペンスの雰囲気はある。宮沢のファッション。サイボーグ009風の黄色いコートを着て、丸い大きなサングラス。永瀬の尾行を確認するシーンではSF映画のよう。となかなかいい。
 後、音楽は独特。現代音楽のようなノイズミュージックのようなテクノのような、気を引く音ではある。音楽、今堀恒雄。
 宮沢、ゆで卵を食べるシーン、何回撮ったんだろう。ゆで卵を見るのも嫌なのでは?ちなみにゼラチンシルバーとは銀塩写真のことらしい。つまり普通のプリント写真のことね。タイトルもわざわざという感じ。

改めて山口百恵は名曲揃い、映画『でーれーガールズ』

 大久明子監督映画『でーれーガールズ』(2015年公開)を観た。丁寧に作らているけど、無駄な部分も多く、話はマッチポンプ。途中で飽きる。
 深夜のラジオ放送を聴きながら、漫画を描いている女(優希美青)。山口百恵の曲が流れ、山口が引退間近であるので1979か80年の話と思われる。岡山白鷺女子高校の制服がワンピースタイプ。映画『死びとの恋わずらい』(2015/2/16掲載)にもワンピースタイプの制服が出ていた。可愛さ完成度でいえば『死びとの恋わずらい』の後藤理沙の制服が上。
 ロケ地は岡山県。路面電車の中の岡山弁で雰囲気は盛り上がる。
 スカーフを取るスロー映像からの現代の時制への場面転換。優希が漫画家になると白羽ゆり。それほど違和感なくて配役は成功している。
 同窓会に集まる女たちが40代?風のおばちゃんたち。通常、綺麗どころもサービスとして入れがちだけど、女性監督だからか女に対してリアルな描写で幻想を打ち砕く映像。
 優希の友達の足立梨花。大人になると安蘭けい。うーん、こちらは若干違和感あるかなあ。『本格冒険科学映画 20世紀少年』三部作(2016/1/18〜19掲載)に出てくる唐沢寿明の子役、『最後の命』(2016/1/27掲載)に出てくる矢野聖人の子役、と子役なら似ている配役は可能だろうけど、大人だとねえ。難しいもんだねえ。
 61分頃、TEACのCDプレーヤーVRDS-7(またはVRDS-10)がちらっと映る。
 ここまでは学園モノと成長した二人の女の話としてなんとか見れるけど、後半、秘密にしていたことで仲違いするあたりになると、恐ろしくつまらなくなる。足立に見せていた漫画の中の主人公が実在していると嘘をついている優希。心臓病を隠している足立。あのー、口で言え。それだけだろう?問題は。もう邦画の駄作にありがちなんだけど、問題などどこにもないのに登場人物だけが深刻ぶる設定。マッチポンプ過ぎて、見ている方は苦痛なだけ。
 学校体育館、壇上で白羽がしゃべりだすけど内容がつまらない。映画見ている人は高校の友人の話わかるけど、その会場にきている人は映画の中で起こったことの流れわからないし、そもそも関係ないから。会場に駆けつける途中に出会った女子高生が白羽の話を聴いいて出て行くんだけど、それもう優希と足立の話に関係ないし。後半に行くに従ってどんどん話が薄まっていってる感じ。
 高校時代の映像と現代の映像を繰り返すのはいいんだけど、後半はものすごく短いショットも挟み込んでくる。けど、これが大して意味をなさない。すでに腕にカッターで傷つけたことがわかっているのに、わざわざまた短いショットを挟みこむとか、回想のショットに蛇足で無駄な映像が多い。
 漫画や漫画家がメインの映画にしては漫画を描いているシーンが非常に少ない。なんちゃって気味で説得力にかける。
 良い点は山口百恵の曲が聴けること。「ロックンロール・ウィドウ」「ひと夏の経験」「プレイバックpart2」ときて、ラストの橋の上で「さよならの向う側」が流れる。感動してしまったんだけど、映画じゃなくて山口の曲に感動しただけだから。いやー、危ないところだった。曲の力と映画を混同して取り違えるところだった。さすが「さよならの向う側」は名曲。
 ちなみにサザンオールスターズの曲が聴ける映画は『ブラックボード』(2015/12/24掲載)がある。

人肉食が出てくる邦画まとめ

人肉食(カニバリズム)が出てくる邦画まとめ
 邦画の中で描かれる人肉食(ヒトがヒトを食べる)はホラー映画と戦争映画に別れる。ホラーの場合は現代社会の中で精神が歪んでいる人物が描かれる。戦争映画の場合は国内や南方でおこなわれた旧日本軍による人肉食が描かれている。戦争犯罪を告発する映画は力作、名作が多い。アスタリスクは超おすすめ。

『ゆきゆきて、神軍』(2014/4/24掲載)*
『おいしい食卓』(2014/12/10)
『最後の晩餐 The Last Supper』(2015/4/25)
『海と毒薬』(2015/6/27)*
市川崑監督版『野火』(2015/7/24)
『軍旗はためく下に』(2015/12/2)*
『深い河』(2015/12/29)
アニメ映画『アシュラ』(2016/5/9)
塚本晋也監督版『野火』(2016/8/12)

野生児で淫売役の麻生久美子、映画『カンゾー先生』

 今村昌平監督映画『カンゾー先生』(1998年公開)を観た。麻生久美子がSo cute!麻生ファンならどうぞ。
 沖縄と書かれた手書き風地図。モダンジャズ風の音楽。米軍機による攻撃。どうも戦時下のよう。
 線は細いけど野生児っぽい、それでいて淫売というかなり難しいキャラ設定の麻生、なかなかうまい。これまで麻生というと男に捨てられてなよなよしている印象が多かったけど、この映画の中ではたくましい。陰毛を抜かれたり、オランダ人の魔羅を「モノはでかいぞ」と言ってみたり、半裸(おっぱいポロリはないが、尻出しあり)でくじらと対決する。ここは爆笑。新しい麻生を見ているようで、感動した。こんなキャラが演じられるなら、これからも強い女をどんどんやればいいのに。
 電報の紙片を破って投げ上げると紙吹雪が落ちてきて、その量が半端ない。ところどころファンタジー要素が散りばめられている。
 医療シーンはなんちゃって部分多し。オランダ人の手当では傷口ではない部分をアルコールを含ませた脱脂綿で拭くし、棺桶から取り出した死体が死後硬直していない。
 戦争映画にしては気になる描写があった。世良公則が軍の倉庫に押し入り薬(モルヒネ?)を盗みだそうとする。そのとき、兵士が撃つ小銃が連続発射している。三八式歩兵銃だと連射できないはずなのだけど、当時それ以外の銃を使っていたのだろうか?今村は映画製作前の下調べがすごい監督として有名なだけに、すごく気になるところ。
 戦争映画とすると旧日本軍を批判しているようなしてないようなと中途半端だし、医療映画だとすると、柄本明による顕微鏡による研究の方に話がそれていって迷走しているようだし、と映画の出来はどっちつかず。やっぱり、若くて元気な麻生久美子を愛でるのが吉。

旧ドリカム状態精神異常三人組、映画『最後の命』

 松本准平監督映画『最後の命』(2014年公開)を観た。展開に雑な面多々あるも、中盤の虚実入り乱れた感じは良い。見てもいいし見なくてもいい。
 小学生と思われる男子児童二人がレイプ現場を目撃すると将来どのように成長するのか、という話。大人になると柳楽優弥と矢野聖人、そこへ比留川遊が絡んできて事件前のドリカム状態(男二女一)になる。矢野の子供時代を演じている板垣李光人はすごく似ている。
 柳楽は他人に触れられることを極端に嫌い自分の中で声がするという表面的にはまともだけど、内部はかなり病んでいるやつ。矢野は体験のせいでレイプにしか興味が無いご様子で連続強姦魔。比留川は矢野の影響で精神病。とまあ、そろいもそろって病んでいるキャラ設定。ここまで徹底していると、逆に面白い。
 映像は丁寧に撮っているように見えるけど、展開やつなぎは雑。高校なのに三人以外の生徒がほとんど出てこない。病室、大部屋なのに他の患者がいない。など、手抜き、じゃなかった、映画的省略という見えないことがあちこちに見える。
 柳楽が部屋に鍵をかけないという習慣も飲み込みづらい。その後、殺人事件が起こったのに鍵をかけない。理由、比留川が帰ってくるから。だけどさあ、比留川、合鍵持っているシーンあったよねえ。映画ないロジックが適当。
 大人になった二人がルンペンたちがたむろする工場後風の施設を訪問するシーン。ビニール小屋の中から女のうめき声。二人、小屋の中に入る。と、ラジカセから女のうめき声。横に倒れている男。小学生の頃に見たレイプ現場にいた男らしい。うーん、なんで昼間っから女のうめき声のテープ?を聴いているんだあ?意味不明すぎ。
 階段に比留川が倒れている。偶然らしい。場面転換すると柳楽の部屋の中。どうやって運んだ?運ぶシーンなし。
 急に髪の長い女と歩いている柳楽、そこへ急に比留川が仁王立ち。うーん、説明映像も前フリも無し。何がなんだか。
 で、部屋に戻ると強姦殺人で指名手配されているはずの矢野が部屋にいる。柳楽、見つけても普通にしている。ツッコミどころなんだけど、実はここから妄想というのか虚構というのかが始まっているらしく、この映画の中では唯一の面白い展開。
 なんと、子供の頃見たレイプ現場が再現され、回想かなと思っていると大人になった二人がレイプに参加する。虚実入り混じった結構手に汗握る場面。矢野はその場にいた時興奮したけど、柳楽はどうだったのか?子供の頃の体験とその影響、みたいな犯罪心理みたいなものも感じられて、なかなか魅せる。
 レールの上の歩道橋に柳楽、地上のフェンス越しに矢野が対峙。電話しながら矢野、何か口に含んで倒れる。なんなんだ?何を含んだのかもさっぱりわからず、意味不明。重要登場人物の死?の場面なのに、わかりづらすぎる。見せ方、下手くそ。
 雨の中、柳楽、叫ぶ。ありがちなベタな演出。刑事役の滝藤賢一、その後出てこないけどなんで?比留川の病院くらい張り込みしろよ。

めくらがでてくる邦画まとめ

めくらがでてくる邦画まとめ
 めくら映画はかなり多い。邦画には座頭市というめくらという才能を最大限に引き出すキャラが君臨している。めくらという目が見えない状態を目が見える観客が観察する。ハンディキャップをどうやって克服するかが「みえる」から映画に親和性があるのかもしれない。めくらに比べるとつんぼ映画は圧倒的に少ない(『神童』『刑事物語』『息子』)。映画に登場するめくらとつんぼの割合が、ヒトが視覚と聴覚に頼る割合と似ている点が面白い。
『座頭市と用心棒』(2014/3/9掲載)、北野武監督版『座頭市』(2014/4/3)、『箱入り息子の恋』(2014/7/26)、『星に願いを。』(2014/8/16)、『はなれ瞽女おりん』(2014/8/16)、『武士の一分』(2014/9/29)、『まぼろしの邪馬台国』(2014/10/31)、『女囚さそり 殺人予告』(2014/11/1)、『ウォータームーン』(2014/11/14)、『ICHI』(2015/1/12)、『Rainbow Song 虹の女神』(2015/3/8)、『座頭市物語』(2015/3/17)、『カルメン故郷に帰る』(2015/4/4)、『イキガミ』(2015/7/19)、『盲獣』(2015/7/31)、『暗いところで待ち合わせ』(2015/8/24)、『KAGUYA 竹取物語』(2015/12/11)、『蔵』(2015/12/15)、『めくらのお市物語 真っ赤な流れ鳥』(2016/1/2)、『DOG STAR』(2016/1/4)、『竹山ひとり旅』(2016/1/6)、『CHiLDREN』(2016/1/23)、『RISE UP』(2016/2/16)。
 この中でおすすめは『座頭市』『箱入り息子の恋』『はなれ瞽女おりん』『座頭市物語』『カルメン故郷に帰る』『暗いところで待ち合わせ』。
【洋画】
『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』(2018/3/24)←おすすめ。

若い大竹しのぶがめちゃくちゃうまい、映画『あゝ野麦峠』

 山本薩夫監督映画『あゝ野麦峠』(1979年公開)を観た。べたつく演出があるけど最後まで面白い。教育映画としても見れる。
 映画冒頭、雪山を糸取り工場へ向かう新工(映画内では「しんこ」と発音しいた)の行列(飛騨→岡谷)。この映像がすさまじい。映画『八甲田山』(2015/6/12掲載)にも劣らない映像。このシーンだけでも必見。峠越えの道が山岳地帯に。ロープで互いの身体を結んでの行進。斜面で滑落。とまあ、すごいのなんの。この冒頭だけで、映画の中に引きずり込まれてしまった。
 大竹、原田美枝子、古手川祐子、友里千賀子などが働くことになる足立組製糸工場、旦那は三國連太郎。工場の中はすべてが軍隊調。見せ方としてわからんでもないけど、もう少し抑えたほうがリアルっぽかった。行動が忙しすぎて今となってはコメディに見えてしまう。
 日露戦争特需で大忙し。水力から火力に転換。諏訪の千本煙突と呼ばれるようになるのだけど、街の風景が特撮。ミニチュアセット。急に、目が点。無理して差し込む必要なかったのでは。
 女工の幽閉ぎりぎりの生活や糸取り工場内部の描き方はなかなかうまい。蚕の臭いを初めて嗅いだ女工がゲロ。監督女中原早苗がその口に湯だった蚕の身を押し付ける。うー、なかなかすごい。だけど、生活に慣れると、湯だった蚕をスナック代わりに口の中へぽん。昆虫食。
 かなりのオーバーアクション、意味不明な演出が少しある。そこは時代かな。
 大竹の演技力には舌を巻く。死体に捕まり泣きじゃくる姿。盆踊りの楽しそうな笑顔などなど、アイドル映画の一面もある。また、ライバル関係になる原田美枝子がクールな雰囲気でこれまた綺麗。瞬間的におっぱいポロリがある、というより未遂かな。意外なのがウルトラマン、モロボシ・ダンこと森次晃嗣が小心者で卑怯者で親の金をくすね女に手が早くて暴力的というものすごーくダメ男を好演。ダメ男といえば、大竹の父親西村晃もダメ親父。
 背負子に乗せて峠越えなんてそんな無茶なと笑って見ていたけど、茶屋の老婆北林谷榮の死化粧をしながらの言葉に涙腺決壊。こんなところに落とし穴があるなんて。
 エンディング曲は泣かせを意識しているようでベタベタしすぎ。
 女工たちの生活については、農業のほうがきついという意見もあるようで、一概にこの映画に描かれている負の側面だけではないらしい。
 だけど、明治期の養蚕、製糸業の一面が描かれており教育映画として見る価値あり。昔の日本人は頑張っていたね、とセンチメンタルに陥るのも悪くない。

三根梓の胸の隆起、映画『海のふた』

 豊島圭介監督映画『海のふた』(2015年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 この映画の最大の欠点はかき氷屋の話なのに夏っぽくない、暑くなさそう。いや、逆に映像的にも演技的にも若干寒そう。
 東京から生まれ島(ロケ地は伊豆市土肥(とい)か?)にUターンしてきた菊池亜希子。「この島に」というセリフがあり、船での行き来が何度も出てくるので離島という設定と思われる。東京では舞台美術をやっていたという会話があり、かき氷屋を開店する前の準備段階で木工作業などを見せている。性格強め、人に頼らず自分でやってしまう感じなど性格設定はわかりやすい。
 はじめと呼ばれる三根梓。男かと思ったら女。左頬に赤いあざがある。火事の話や遺産相続、彼氏はアフリカなど不思議ちゃん設定。いちおう、その雰囲気はある。
 菊池の元カレの小林ユウキチ。寂れた神社やホテルを見て昔は良かったみたいなことを述べる菊池。小林が過去を改変するな昔から寂れかかっていたとたしなめる。ここは田舎あるあるで、ちょっといいセリフのやり取り。
 糖蜜シロップ作り、かき氷機の清掃シーンなど画は押さえてある。
 菊池、三根ともに海に入るシーンあり。水着は短パンとタンクトップの形をした上下のクラッシックタイプ。三根が背面で浮かぶと二つの小山が隆起しているように見えるショットはナイス。
 扇風機が回っているのに長袖、青い空や強い日差しがない、夏っぽいSEもない、など、映像が寒そう。かき氷がメインの映画としては致命的。もしかして夏以外の季節に撮影したのかな。この辺、昔の映画を見習うべきでは?とにかく、昔の映画は暑そう演出、演技がすごいよ。
 ラスト、いちごシロップを新しくメニューに加えて子どもたちが客として入っている画。うーん、話がぶれているような。天然素材で手作り、500円。これでは子どもたちが単独で食べに来るには無理でしょう。前フリを回収するためだけのラストで、いまいち。

嵐尻丸出し、映画『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』

 堤幸彦監督映画『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』(2002年公開)を観た。アイドルを出しただけのやっとけ映画。つまらない。見てもいいし見なくてもいい。
 回想がずーっとコマ送り、静止画。長すぎて飽き飽きする。
 出てくる女がそろいもそろってみんな可愛くない。どういうこと?
 大野智はなんであんな喋り方なんだ?『映画 怪物くん』(2015/6/3掲載)でもそうだった。異様。ジャニーズなら許されるのか。
 猿岩石の場末感がすごい。大昔の映画を見ているよう。
 大学へ向かっているのに通りに人もいなければ車も通っていない。
 映画全体に流れている精神性がものすごく歪んでいる。閉鎖性の高い団地に住んでいる五人(嵐のメンバー)。あんな大人にはなりたくないと、唾棄すべき代表が屋形船で遊ぶ大人たち。で、屋形船に乗り込んで乗客を川に突き落とし、船底に穴を開けて船を沈めてしまう。それが大人への反抗らしい。そういうふうに描かれている。
 だけどさあ、屋形船で遊んだら悪者なの?屋形船って庶民のささやかな遊びだよねえ。男女がいちゃいちゃしているのが気に食わないみたいだけど、それは自分たちがナンパに失敗しているからなのでは?言いがかりもいいところ完全な責任転嫁。五人の精神が歪み過ぎて恐ろしくなるほど。なんで、こんなにネジ曲がったストーリーをジャニーズ事務所は許したのだろうか。原案、井ノ原快彦。井ノ原、心の中に深い闇を隠しているのでは?
 船を沈める計画を知らないはずのメンバーがストッキングや穴あき目出し帽を準備している。展開がまあ、適当。
 大野がラッセン風イルカの絵を売りつけられるシーンに笑った。昔、絵に興味があって30万円の絵を買ったという会社の同僚がいた。詳しく話を聴くと、大野のパターンと全く一緒。当時はこの詐欺まがいの絵画商法が流行ったんだよねえ。久しぶりに思い出して爆笑。
 嵐のメンバー五人による下半身丸出し(モザイクあり)尻丸出しシーンあり。嵐ファンや好事家の方にはたまらないかも。

山下リオ、出落ち気味、可愛くない、映画『7DAYS REPORT』

 近藤真広監督映画『7DAYS REPORT(セブンデイズリポート)』(2014年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 白濱亜嵐、なかなかいい面構え。甘さもあるけど角もある。その白濱が校舎屋上に呼び出した女子高生が山下リオ。初見、うーん、可愛くない。
 クローンの研究しているにしては、研究室内部がなんちゃって感まるだし。低予算のためなのかな。監視と研究を同時にやっている部屋らしい。あと、会議室、何かしらクローンにチューブをつないで人体実験をやっている風な部屋。
 カードで出入りできる光学迷彩ふうの壁の出入り口がある。最初に出てきただけで、その後二度と出てくることがない。あんなに人の出入りがあるのに。クローンの白濱が落ちていたカードを使って侵入、その後、カード利用を停止する件はちゃんと描いていて関心。というか、そのくらいするのが普通だけどねえ。
 クローンで恋愛禁止とくれば洋画『アイランド』からのパクリだということがまるわかり。記憶の植え付けとくれば『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』(2014/2/28掲載)かな。もちろん映画のパクリが悪いわけではない。所詮、オリジナルも何かをパクっている。引用とかリスペクトと言い換えれば済む話。
 白濱、学校を脱走して、戻ってくると屋上(それにしても出てくるのは屋上ばかり。他に行くとこないの?)。夜の学校のはずなのに塔屋に煌々と明かりが灯っている。雑。パンツ一丁男が出現。白ブリーフが分厚くてギャグになっていない。ポリバケツの中に頭を突っ込んで『犬神家の一族』(2015/7/20掲載)に出てきた湖の逆さ死体の状態に。意味不明のギャグ。これ以降、急に映画はコメディ調に。
 で、そのパンツ男は白濱のオリジナルの方らしいのだけど、空から降ってきたというセリフをクローン白濱に言わせている。そんなシーン一切無し。後付で説明するだけ。見せ方がすごい下手くそな感じ。
 更にわかりづらいのが、オリジナルのいる学校とクローンのいる学校。別々の学校なのか、どうなのか、位置関係を説明する映像がないので、主人公の二人(二役)がどこにいるのかさっぱりわからない。
 さらにオリジナルに会った後のクローンがカップラーメンを食べるシーン。それまではどうしていたんでしょうか?校門を出ると動きが止まるシーンがあったけど。なぜクローン白濱は出られたのか?動きの止まった後の食事、栄養補給はどうしていたのか?などなど設定がウヤムヤでこの時点で、すでにかなり飽きる。
 映像を消すことが記憶を消すことみたいに描いているけど、記憶って映像だけなのか?雑。ラスト映像からすると息子の記憶だったらしいけど、そもそも死んだ人の記憶をどうやって移植するんだあ。とまあ、このあたりのSF的な映画内ロジックが実にテキトー。ただただ飽きる。
 一点だけ、良い点がある。二役の合成が実に自然。二人の動作やセリフ回しに違和感が殆ど無い。
 一人二役設定の映画と役者を思い出してみると、『野性の証明』(2014/5/9掲載)中野良子、『おろち』(2014/5/14)木村佳乃、『トニー滝谷』(2014/6/6)宮沢りえ・イッセー尾形、『時代屋の女房』(2014/6/10)夏目雅子、『俺はまだ本気出してないだけ』(2014/8/12)堤真一、『心中天網島』(2014/8/18)岩下志麻、『Love Letter』(2014/8/25)中山美穂、『CASSHERN』(2014/9/26)伊勢谷友介、『陰日向に咲く』(2014/11/4)宮﨑あおい、『ヤッターマン』(2014/11/25)阿部サダヲ、『ドッペルゲンガー』(2015/4/11)役所広司、『体温』(2015/7/10)桜木凛、『悪霊島』(2015/8/4)岸本加世子、『ZOO』(2015/8/10)小林涼子、『クローンは故郷をめざす』(2015/8/19)及川光博、『戦争と青春』(2015/9/30)工藤夕貴・奈良岡朋子、『双生児』(2015/10/10)本木雅弘、『古都』(2015/11/15)山口百恵、『愛を乞うひと』(2016/1/9)原田美枝子、『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』(2016/1/21)長塚京三がそれぞれ二役をこなしている。完成度という点では『愛を乞うひと』がぶっちぎりでダントツ。次が『おろち』。
 フィルムからデジタルへ、時代とともに二役の映像技術はどんどん進んでいることがわかる。
【追記】
 『タオの月』(2016/2/11掲載)で宇宙人を森山祐子が一人三役をやっている。

父性のない女子供の世界、映画『きみはいい子』

 呉美保監督映画『きみはいい子』(2015年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 尾野真千子による幼児虐待。まあ、ただ叱りつけているだけなんだけどねえ。打撃シーンも少なめ。幼児虐待、ネグレクトとくれば名作映画『愛を乞うひと』(2016/1/9掲載)と当然比べてしまうのだけど、超えることはできない。いかにアイコウのクオリティーが高いかを改めて確認する結果に。
 一人暮らしのおばあこと喜多道枝。家の前に黄色い消火栓?がある。歩道の真ん中で邪魔だと思うけど北海道(ロケ地は小樽市か?)ではふつうのことなのだろうか。それとも、映画的な目印か。
 小学校の教室の中、うるさい。職員室、母親からの電話、うるさい。女教師、いちいちうるさい。さあ、そろそろ映画『悪の教典』(2013/11/8掲載)の伊藤英明がショットガン持って乗り込んできてくれないかなあ、と期待するのは僕だけ?こういう父性のない女子供だけの世界というのが本当に鬱陶しい。そういう意味では映画的な描き方は成功しているとも言える。
 環境音多めなれどすべて計算され管理された音。校内アナウンスや鳥の声。偶然拾われたような暗騒音はなし。オーディオ的には管理されすぎて面白くない。
 池脇千鶴が肝っ玉母さん風。池脇、芸風が広い。スーパーの店員が富田靖子だと気づかなかった。体型などちゃんとしていて一安心。
 尾野の夫は単身赴任、池脇などマンションの父親は登場しない。学校の生徒たちの中で唯一出てくる父親。無職と思われパチンコ三昧の日々であることが子供の言葉で語られる。高良健吾は男だけど、新米扱いで、あくまでも傍観者。とまあ、父性は徹底的に排除されている。
 物語は尾野と高良の生活が交互に描かれ、最後まで交わることがない。抱きしめるという一点だけの関連性だけ。腕時計の前フリなどもあり、ためにためた一点突破は成功している。
 だけどねえ、ハグ好きのアメリカやヨーロッパのほうが犯罪先進国だからねえ。それだけというのも、話としては表面的で弱い。

金まみれの黒い沖縄ロケ地がみれる、映画『I'M FLASH!』

 豊田利晃脚本・監督映画『I'M FLASH!』(2012年公開)を観た。雑な作りの部分多めで駄作気味。見てもいいし見なくてもいい。けど、沖縄の裏がロケ地から見えてくる。
 「DVD返してくる」と家を出る柄本佑。バイクを押して家から離れた場所でエンジンをかける。細かい演出だなあ、と思っていると、バイクが走りだしてからのエンジン音が雑。音色も合ってないしギアチェンジにも合わせてない。映画『WiLD ZERO』(2016/1/7掲載)を見習ってほしいところ。
 DVD返すにしてはバイクに乗っている時間が長すぎ。どんだけ離れた村なんだ?柄本の家、住宅街だったよねえ。地理関係が雑。
 永山絢斗、タコライスを食べる(ロケ地は金武町キングタコス本店と思われる。直前、沖縄市のパークアヴェニュー通りが出るのでチャーリー多幸寿と間違えそう)。で、携帯電話の着信音。永山、電話を耳にあて外に出る。ジェット機の音。うるさそう。うーん、わかりづらい演出。話を聞かれたくなくて外に出たのか?その割に声が大きいけど。
 松田龍平がゴーヤーチャンプルー?を食べる食堂はコザ食堂かな?タクシーに乗って渡る長い橋が古宇利大橋。
 映画の中で永山絢斗に「(藤原竜也が)逮捕されない」と言わせている。全くそのとおりで逮捕されないのはおかしい。その後、自分たちのことを「犯人隠蔽」だと言っている。なんで?警察が捕まえないのがおかしいだけだろう?なんか、バカセリフ。その後も殺人が起こるのに警察一切出てこない。これも経費節減と思われる。ちなみに三人が集まるロビーはアイネス・ヴィラノッツェ沖縄だと思われる。
 砂浜に髑髏の絵(今帰仁村諸志ビーチ(または赤墓ビーチと呼ばれる)と思われる)。だから何?つまんねー。
 急に男が敷地内(たぶん宜野座村国際交流センター)に入ってきて回廊部分で藤原を狙う。拳銃、乱射するんだけど、全然当たらない。なんで?これまでだらだらしていた松田龍平、仲野茂、永山らが銃を乱射して男を仕留める。なんで急に?この人たち、殺し屋なの?うーん、キャラ設定がわかりにくすぎる。藤原の命を狙う理由は何?
 藤原の回想になり、映画冒頭で起きたバイクと自動車との事故が起こる前の映像になる。藤原がナンパした女が水原希子。藤原の車を運転する水原。ずーっと横向いて喋りながら運転。この回想が何度も挟まれるんだけど、時々、あれ運転かわった?と勘違いするほど、前見て運転しない。馬鹿すぎる。それとも、映画の運転は前見なくてもできるんですよ、だって運転してないもん、という観客への映画は虚構というアピールなのか?なんて考えるほど、水原、横向き運転。雑すぎ。
 新興宗教の教団がメインの話なのに信者が一切出てこない。エキストラを呼ぶと金がかかるので経費節減のためと思われる。だから、教団のリアリティー一切無し。
 手品を見せるとして松田に砂をかける藤原。ほんとうにしょぼい。もうやめてほしい。おそろしくつまらないシーン。
 藤原の母親(大楠道代)の店カフェふわふわ。ロケ地はアイスクリンカフェ夕覧舟と思われる。
 髑髏の部屋での銃撃戦。永山を撃ち殺す銃撃開始のショットは正直魂抜(たましぬ)ぎた。だけど、その後の銃撃はずーっとスロー映像。引き出しが少ない感じでがっかり。
 藤原、胸を撃たれたのに海岸まで走って逃げる。すごく元気。さすが教祖。その上、水中銃を持って海に潜る。すごく元気。教祖はすごいねえ。
 時々挟まれる水原の運転シーン、本当に前見てない。だから事故起こすんだよう、と思うでしょ。そのための前フリと思うでしょう。なんと、藤原に運転交代。事故起こすのは藤原なんです。なんかいろいろな意味で下手くそすぎる。
 ロケーション協力、宜野座村国際交流センター、アイネス・ヴィラノッツェ沖縄、カフェ夕覧舟、シャングリラ、翔南病院、キングタコース、コザ食堂、パークアベニュー通り、くぶむ荘、ドライブイン漢那荘、ホテルルートイン名護、ホワイトハウス伊江。水中撮影協力は伊江村。
 ちなみに宜野座村国際交流センターは立派な建物だけど休館中。作ったのはいいけど使い道がわからず宝の持ち腐れになっていると思われる施設。宜野座といえば米軍普天間ヘリ基地の移設先のキャンプ・シュワブがあるところ。金が落ちているんでしょうねえ。そのお金はつまりみなさんの税金ですねえ。沖縄の現実を直視するという意味ではいい映画といえる。
 もうひとつちなみに、沖縄のロケ地を調べるなら「沖縄ロケ地アプリ」というサイトがある。写真付きで少しの時間、沖縄を堪能できる。

家庭裁判所調査官が主人公、映画『CHiLDREN』

 源孝志監督映画『CHiLDREN チルドレン』(2006年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 スーツ姿で仮面の二人。銀行と思われる床に座らされている。ショットガンを突きつける仮面の男。仮面の一人が犯人をけしかけると天井に向かって発砲。店の外で気づいて警察が急行。四人の人質が先に開放されて、対策本部の中で坂口憲二と大森南朋、加瀬亮が取り調べられる。その時、めくら役の加瀬が、銀行強盗犯のトリックを解説。と、出だしは犯罪もの映画と思い見ていると、ただ単に冒頭のつかみというだけ、その後の展開に一ミリも関係してこない。坂口と小西真奈美が出会うだけ。かましなだけ。とほほ。
 坂口と大森が家庭裁判所調査官という特殊な職種。邦画の中で主人公として出てきたのは初めてだと思う。生真面目な坂口とずぼらながら筋の通ったことを言う大森の対照的な性格の二人が、未成年者を面接する場面が描かれる。大森がなかなかの好演。だらけて雑な感じがうまい。
 その間に大森が坂口と小西の間を取り持つキューピット役を買って出て、二人は再会する。けども、小西は過去に問題があり、それを引きずって今でも万引きを繰り返しているし、本屋の店員をしているときは万引きを黙認している。
 小西の高校時代の回想シーン。小西役が吉高由里子。感じが違いすぎて違和感有りあり。ちょい役なんだから小西に似た無名な子でも探してくればいいのに。吉高にする必要性が全くわからない。
 でまあ、坂口は三浦春馬を面接しているんだけど、後に三浦の口から語られる國村隼との関係が、どひゃー。ものすごーくつまらない。逃げる余裕がなかったというけど、十分逃げられるし、逆に逃げない理由がわからない。さらに、田舎の郵便局と思われる施設でお金を下ろすんだけど、額が一千万円。そんな大金すぐにおろせるか?話からすると父親名義の金なのでは?絶対怪しまれるよねえ。とまあ、現実の行動も不自然だし、三浦と國村の関係もものすごく飲み込みにくい。脚本、雑。
 良い点は、暗騒音がサラウンドする。現場で収録した音なのか、結構広がる。
 途中、未成年者によるコンクリート詰め殺人事件が話題に登る。この題材を映画にしたのが、そのものズバリのタイトルで『コンクリート』(2015/4/1掲載)。挑戦的な姿勢は評価するけど、映画としては駄作。

結論が母子相姦?映画『さびしんぼう』

 大林宣彦監督映画『さびしんぼう』(1985年公開)を観た。期待したけど、意外につまらない。見てもいいし見なくてもいい。
 尾道三部作の一つとして名前だけは知っていた。『転校生』(2014/1/28掲載)、『時をかける少女』(2014/2/18掲載)まではいいけど、『さびしんぼう』はいまいち。尾道くくりで三つの作品を上げているだけで、大林ファンが言い出したものらしい。ファン心理なんて作品を見る気はさらさらないのがわかる良い例。
 映画冒頭から始まる高校二年生の尾美としのりと仲間の二人のじゃれあいが古臭いというのか古色蒼然というのか、今見るとあっけにとられるほど陳腐。すぐにドタバタになってものすごくつまらない。このうるさいシーンが前半ずーっと続く。
 秋川リサが脱ぎ要員でスカートが落ちるシーンが三度ある。藤田弓子もセーターを脱ぎ上半身がシュミーズ姿になる。
 校長室のオウム。雨ニモマケズ風ニモマケズと喋り出す。そのオウムへたんたんたぬきの金玉は風もないのにぶーらぶらと教えこむ三人。場面転換して、校長とPTA会長。その前でオウム、が喋り出す。てっきりたんたんたぬきのとしゃべるのかと思いきや、雨ニモマケズとたんたんたぬきのとの合成文をしゃべる。言語の異化が起こっていてこれは予想外で笑った。
 尾美の前に現れる富田靖子。顔が白塗り。オーバーオール。うーん、なにか違う感じ。はずしているというのかなあ。道化にしか見えないけど狙いなのか。もう少しあの世感を出して欲しいところ。顔を白塗りにしているといえば映画『田園に死す』(2014/4/30掲載)がある。この世のものではない何かを表現するとき、邦画では定番なのかな。
 フェリーが三途の川を渡る渡し船のよう。尾美が綺麗な富田靖子の家に向かうといつも夕暮れから夜になり、祠の前でお別れ。富田の実態や街の様子が一切描かれない。
 ラストの落ちもなあ、白塗り富田の役は藤田弓子がやらないと辻褄が合わないのでは?尾美の願望が映像化しているということ?この辺の整合性がイマイチ。藤田に語らせる「いつまでも母親に恋しているものなの」。いくら何でもそりゃないよ。
 駄作とまではいわないけど、大林作品の中ではかなり落ちるほう。

アラレちゃんメガネの菊池麻衣子、映画『薄れゆく記憶のなかで』

 篠田和幸脚本・監督映画『薄れゆく記憶のなかで』(1992年公開)を観た。意外な展開で切ない恋愛映画。最後まで見れる。
 山の近くの学校。プール、配役、校舎、内部の様子が映されて、教室。男のナレーションで十年前の話で当時は高校三年生だということを説明。長良川が出てくる。エンドロールの協力に岐阜県と出ている。
 堀真樹が乗っている自転車のハンドルがセミドロップハンドル。懐かしー。堀とアラレちゃんメガネの菊池麻衣子は吹奏楽部ということになっているけど、演奏シーンはほぼなし。寺の前では演奏を始める前に場面転換するし、無音の演奏シーンもあり。この辺、なんちゃって感まるだし。ここは一応、二人の生活の中のかなりの時間を占める設定なんだし、リアルな演出に努力してほしいところ。ただし、寺の前の演奏を始めるタイミングで坊主の顔に場面転換するのはうまい。
 菊池の友人由美子(田中洋子)が菊池の好きなのが堀だということに気づくシーン。本屋の中、見上げるようなカメラアングルで、本を探している菊池を撮る。恋に迷う女心と本選びに迷っている手つきが重なっていてうまい。
 堀の中卒で金持ちの父親。車の運転の時のハンドル、動かし過ぎ。
 掃除中に田中がスカートを扇ぐ仕草は細かい女子高生描写でうまい。
 急に天文台。堀が手慣れたように操作している。堀の持ち物なのか?なんか急すぎる。
 菊池、浴衣姿で紅をひく。映画『魂萌え!』(2016/1/14掲載)でも風吹ジュンが紅をひいていた。女の勝負に備える姿勢としては定番なんだねえ。メガネからコンタクトレンズへの変更も大人への演出。芸が細かい。
 二人の演技、正直、あまりうまくない。だけどねえ、それが初々しくて、なにか近くの知り合いのカップルのいちゃいちゃを覗き見しているようで、逆にリアルな感じ。ちなみに堀真樹、菊池麻衣子のレビュー作らしい。
 ちょっと酔ってしまった菊池。堀と河原を歩いていると天気が崩れて雷雨に。屋形船に避難する。で、当然、抱き合いますねえ。すると、、。いやー、この展開は読めなかった。そういえば、映画前半で、菊池、弟の前で着替えなかったよねえ。和傘を干しているところで、父親が意味深なこと言っていたよねえ。とまあ、振り返るとちゃんと前フリがなされている。うーん、やられた。これ以上は、見てのお楽しみ。
 病院の描写、大部屋だけど他の患者はいない。この辺は邦画にありがちな映画的省略。だけどねえ『続男はつらいよ』(2016/1/1掲載)のようなちゃんとした描写もあるんだよねえ。
 堀が丘の上で地面を掘り返すシーンなし。すでに手紙を読んでいる。うーん、ここは演出が下手だなあ。大切なシーンなんだからもっとひっぱってくれないと。
 ラスト、十年が経過した橋の上。再会してハッピーエンド、とは、ならないんだねえ。ここも見てのお楽しみ。

熟れきった鈴木京香、映画『ジャッジ!』

 永井聡監督映画『ジャッジ!』(2014年公開)を観た。期待しなければ最後までそこそこ楽しめる。
 映画冒頭、男の横顔。シャッター音のようなSE。意味深なショットだけど、実はこれ大したことない。映画途中で明らかになるのだけど、荒川良々がウインクをしているだけ。とまあ、映画冒頭からかましてくる。
 CMの撮影風景。撮影風景から始まる映画といえば『大病人』(2015/10/14掲載)があった。きぐるみの中に妻夫木聡、上司が豊川悦司という関係。広告代理店の中の社員同士の力関係、クライアントとの力関係が描かれる。リストラ部屋にいるリリー・フランキーがちょっとおもしろい。
 で、妻夫木が豊川の代わりに審査員としてサンタモニカ国際広告祭に参加することに、同僚の北川景子を連れて。
 ここからは、北川との関係と外国での妻夫木の異文化交流がメイン。英語を話せないことによる言語障害や津軽弁など言語ギャグが散りばめられている。ダメ男役の妻夫木はいかにもな感じだし、Sぽい北川もいい配役。鈴木京香は熟れ過ぎた果実という佇まい。妻夫木とエロくなるチャンスはあったのに、濡れ場なし。サービスなし。
 話としては大したことないのだけど、作りは割と細かく作っている。例えば、審査員の一人がウェッブサイト審査員紹介の一覧から顔写真が違っていて替え玉だと気づく。で、審査会場でそれを指摘すると、写真が張り替えられていて事なきを得るという場面。事前に豊川が張り替えるのだけど、ちゃんと自分の名前と写真が残ることを嫌ってという理由があるし、写真もカマキリ拳法の前フリがあったり、と考えられている。ただ、プリント配られていたら終わりだけどね。まあ、そのくらいのレベル。
 ただ、雑な設定があって、妻夫木がもっとも良い作品だと思っているCMの作者を知らないというのはいくら何でも。ここは感動場面を最後に持ってくるための苦しいつじつま合わせだということがばればれ。

豊川悦司の全身黒タイツ、映画『傷だらけの天使』

 阪本順治監督映画『傷だらけの天使』(1997年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 引きの映像、長回し。微妙にカメラが左右に揺れる。特別必要のない撮影方法。邪魔なだけ。タイトルどーんの後にTBSラジオ「JUNK」のジングルに使われている曲が流れたのでびっくり。
 豊川悦司が売却ビルに忍び込んで遭遇する太ったヤクザ。白いシャツの胸に血がついており、口琴を鳴らす。非常に奇妙な設定。邦画の中で口琴が出てきたのは初めて。
 倉井拓也こと三浦友和の子供の名前が蛍。「暗い蛍?かんべんしてよ」という豊川のセリフはちょっと面白い。
 ここから豊川と真木蔵人による子供を届けるためのロードムービーになる。同じ設定の映画としては『神様のくれた赤ん坊』(2015/9/28掲載)がある。
 みちのくプロレスの試合に出場することになる豊川。全身黒タイツに仮面。二対二での対戦はちょっと面白い。吹き替えかどうかは不明だけど、豊川のハッスルプレイは、今では見れない芸風。豊川のテンションはずっとキレ気味ハイテンションでこのキャラに乗れるかどうか。個人的には意味不明で不自然な行動が多く乗れない。
 豊川と真木が温泉施設に忍び込み全裸、尻丸出しシーンあり。東北ロケでは雪の降るなかコンバーチブルの赤いムスタングで走り回っている。寒そう。強盗なのにオープンカーという映画は『拳銃残酷物語』(2015/10/21掲載)がある。映画にはあちこちに無理がある。
 丸いホール、赤いパイプ状の柵が並んでいる。立ち見専用のホールというのがあるのだろうか。初めて見た。誘ったり誘われたりしながら結局、豊川と原田知世、キスしない。どうして?意味不明。
 とまあ、豊川の行動は疑問が多くすぐに飽きる。ラストも豊川は三浦友和をどうしたのか。豊川がそこまでする動機もわからないし、命を狙われる理由も理解しがたい。

エンディング曲はGOOD、映画『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』

 篠田正浩監督映画『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』(1997年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 映画冒頭、白いひこうき雲を発生させながら飛ぶB29の編隊にむ「ムーンライトセレナーデ」をかぶせる映像はシュールでおっと思わせる。
 阪神大震災のニュース映像がテレビから流れている。それを見ている長塚京三。破壊され燃える街並みを見ながら戦時中の回想になる。
 終戦直後、駐在の仕事をしている長塚京三(二役)を家長とする五人家族+長男の遺骨のロードムービー。
 大震災を扱っていること、四角四面で強情な父親役の長塚の性格設定と、終戦の混沌とした世の中、そこを家族と遺骨が旅をする。なかなか面白そうなお膳立てで、SLで旅するまでは面白い。
 だけどねえ、船の移動になってからが停滞して飽き始める。登場人物が多いのはその時代にいた人々、風俗習慣を見せたいだけで、物語に絡んでくるわけではないし。その上、会話のテンポや間が悪くて、ものすごくダレる。登場人物のエピソードも散らかって交通整理しきれていない感じ。
 連れ込み宿、障子を閉めると外の喧騒が止むのは、いくらなんでもなシーン。
 エンディング曲も「ムーンライトセレナーデ」、服部隆之による編曲がかっこいい。
 ちなみに吉川ひなののデビュー作らしい。吉川、それほどでもない。

田中裕子、坂登り過ぎ、映画『いつか読書する日』

 緒方明監督映画『いつか読書する日』(2005年公開)を観た。見てもいいし見なくてもいい。
 牛乳配達が人生の楽しみと化している田中裕子。坂の住宅街(ロケ地は長崎)を牛乳瓶を入れたバッグを肩から下げて昇り降り。明け方配り歩く家々の特徴、配り方のディテールが細かく描かれる。配達本数が減ると牛乳箱の下においた石を減らすとか。その後は、田中、スーパーでレジ打ち。映画の主人公の職業として、牛乳配達とレジ打ちという設定は見たことがない。早朝の仕事つながりなら新聞配達が映画『チルソクの夏』(2014/8/11掲載)に出てきたくらいかなあ。
 で、もう一人の登場人物、岸部一徳は役所のみらいのおとな課の職員。仕事で虐待を受けているのではないかと思う気になる子供がいて、家庭では妻役の仁科亜季子がガン?で余命幾ばくもなく、看病をしている。
 でまあ、田中と岸部は高校時代に付き合っていたのだけど、親同士の恋愛が原因で疎遠になってしまったという過去が回想で語られる。時が立ち、今は50歳。というのがまあ流れ。
 描写は細かく坂の町での生活感は悪くない。散りばめられた、人々の生活。痴呆老人の思考を映像にするとこういう風に見えるのではないか、と思われる、でかいフォントで単語の字幕表示、時間が一瞬で飛ぶ映画的な表現など、面白い。ネグレクトっぽい家庭は現代的で子供の保護決定までの過程が描かれていたりしていいのだけど、虐待シーンがなかったり、子供が紐で結ばれているのはなんちゃって風で弱い。映画『愛を乞うひと』(2016/1/9掲載)や『地球でたったふたり』(2014/7/2掲載)を見てしまっては、かなり落ちる。
 で、ですねえ、岸部の奥さんの仁科が死んで、田中と岸部の焼けぼっくいに火がついしてしまう展開なんだけど。正直、カタルシスがない。
 というのも、死ぬ前から仁科、私が死んだらふたりで一緒になってみたいな、善人すぎる意見を言い続けるし、ふたりの過去に関係しているようでもなし。田中も一人もんだし、過去にあった疎遠になった原因も大したことではない。だからあ、恋のハードルがめちゃ低いので、雨の日に田中の家で目合うことができても、カタルシスが殆ど無い。ここの、ぎこちない中年カップの服の脱がせ合いは苦笑。ヌードもおっぱいポロリもなし。
 田中の家、ベッドの脇にでかいオーディオアンプが鎮座しているのに目を奪われる。残念ながらメーカー名、型番不明。

永島敏行の赤いイヤーマフ姿、映画『ゴールデンスランバー』

 中村義洋監督映画『ゴールデンスランバー』(2010年公開)を観た。冒頭魅せるけど、その後は右肩下がり、話の辻褄も合っていない。駄作気味。
 映画冒頭、堺雅人が殺人犯として追われるまでは、そこそこ魅せる。なぜ追われなければならないのか?という疑問が興味の牽引力になっている。また、追いかける警察庁情報課?の永島敏行がインパクトあり。最初の登場シーン。黒塗りの車の後部座席から顔が少しのぞいている。何か不思議そうな顔な上に赤いイヤーマフ。うーん、この人は一体何なんだという出で立ち。車のドアを開け出てくると手にショットガン。堺に向かって冷静に撃ち始める。
 後、濱田岳の登場シーンもいい。永島、香川照之、堺が乗っている車が停車している。突然、どーん、と衝撃、大型4WDが正面衝突。ナイフを持った男(濱田岳)が出てきて永島のショットガンと対決。ここもそこそこ魅せる。
 で、面白いのはここまで。その後は、どんどん緊張感がなくなりつまらない展開に。
 まず、何度も差し込まれる回想シーンが邪魔。事件が起こってその展開と真相が知りたいのに、いちいち、青春時代?風の若作りした堺、竹内結子、劇団ひとり、吉岡秀隆のだべっていたり花火を上げているシーンを見せられ、とにかくだらける。
 追跡劇も途中から穴だらけでこれまたつまらない展開に。
 堺に追跡されている緊張感がない。家電売り場に寄りすぎ。香川が堺のトリックの裏をついた種明かしをする場面。若いカップルが携帯電話にボイスレコーダーで発信しているのを監視カメラで見つけたという。あのさあ、監視カメラでそんなことわかる?それにさあ、監視カメラの話しているのに監視カメラで撮られた映像を見せない。映像は普通に繁華街に座り込んでいるカップルの手元を撮っている映像。うーん、お間抜け。
 謎だった濱田。堺を何度も助けたりするんだけど、なんと、一切関係がない。映画を最後まで見ても意味不明。行動理由や動機が全くわからない。馬鹿すぎる設定。死ぬシーンは急に血が流れて撃たれたことになっている。濱田は超人なのか?この辺でもうだいぶ飽き飽きする。
 ダンボールを使った脱出に関してはもう馬鹿すぎる。なんで、わざわざ警察沙汰になる騒ぎを起こすんだあ。なにがしたい堺。警察も馬鹿設定。なんでここだけ香川たちが出てこない?電話連絡したんでしょう?時間あるよねえ。
 でんでんが出てきたり、柄本明がでてきたり、劇団が出てきたり、もう事件も逃走劇もにっちもさっちもいかないでただただ停滞。そんな会話なんかいる?誰が見たい。
 花火を使ったトリックが全部後付。柄本が電話で説明するだけ。映像一切無し。
 ラストがもう馬鹿すぎる。堺が死んだというニュースが流れる。で、登場するのが滝藤賢一。つまり整形して顔を変えたという意味らしい。あのさ、堺が別人を演じることが役者としての本来の仕事なんだから、特殊メイクでも何でもして顔を変えて演じるべきだよねえ。ここは。
 更にさあ、警察が堺の死を断定したわけだよねえ。だったら、今こそ自主すべきでしょう?だって、警察が嘘を付いている動かしがたい証拠なんだから。なのに、整形したら、警察の言っている通り犯人だということを認めているってことになるよねえ。うーん、二重につまらなくて、139分が無駄すぎる。

心配になるほどすごい受けの演技、映画『黒帯 Kuro-Obi』

 長崎俊一監督映画『黒帯 Kuro-Obi』(2007年公開)を観た。これまで見たことがないアクション。見る価値あり。
 小さな寺のような道場で空手を学んでいる三人(八木明人、中達也、鈴木ゆうじ)。師匠が夏木陽介。そこへ憲兵隊が道場を明け渡すようにと乗り込んでくるのだけど、いざこざになる。ここで鈴木が怪我をするのが味噌。その後の展開で仲裁役、審判役になる。脚本がさかのぼって検討されていることがわかる。
 で、まあ、憲兵隊に目をつけられた矢先、夏木が死ぬのだけど、黒帯を誰が次ぐのか、その判断を鈴木に託す。でもって、攻撃こそ空手の極意だと信じて疑わない中と、夏木の教え通りに防御こそ空手の極意と馬鹿正直に守るTBSアナウンサー安住紳一郎似の八木と人生が分かれていく。
 憲兵隊の白竜や大和田伸也、小宮孝泰など周りを固める俳優はそつない演技で安心して見れるし、映画としても普通に最後まで見れる。
 のだけど、最大の見所はアクション。空手の技を基本とした果たし合いも確かにすごい。本当に打っているとしか思えない演技はすばらしい。
 のだけど、イチオシは八木が相手の力を利用した技を受けながら攻撃も同時にする格闘シーン。洋画ならスティーブン・セガールの初期作品の中の技のよう。
 相手が攻撃して蹴りを八木に入れると瞬間にその足を受けの腕や足で蹴って倒す感じ。防御と攻撃が同時に起こるので、アクションがものすごいきびきびしていてキレがいい。画像処理や編集処理にもまったく頼っていない。この辺の見せ方、今の邦画のアクションは学ぶべき点が多いはず。
 当然、このアクションを成立させているのは八木と中の技量によるところが大きいのだけど、技を受けているチンピラ連中の役割も大きい。蹴りや突きをそのまんま食らっているように見えるし、胸の高さから地面に叩きつけて倒れるシーンもあり。見ているこちらが大丈夫なのかと心配になるほど。企画・武術監督は西冬彦(東郷孝臣役で出演)。

駄作最終章、映画『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』

 堤幸彦監督映画『本格冒険科学映画 20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』(2009年公開)を観た。駄作すぎて邦画を見続けるのは苦行だとわからせてくれる。
 東京の地下で受信するラジオ。豊川悦司が空の見える場所まで出てきてラジオを空に向けると曲が流れる。で、場面転換すると北海道のDJこと山寺宏一になる。あのー、送信受信している放送波の種類は何でしょうか?昼間だからAMは届かないよねえ。FMだとすると服装から真夏には見えないからスポラディクE層による異常伝播とも思えないし。ということは短波放送?だとするとさあ、ラジオおかしくねえ?これまで古いガジェットをこれみよがしに上っ面だけ撮影してきたんだから、ここはBCLラジオどかーんと出してよ。やる気はこういうところで見せてくれないかなあ。
 ♪「ぐーたらら、すーだらら」というどうしょうもない曲が流れて「こんなフレーズ聴いたことないよ」うーん、登場人物、みんな、馬鹿すぎる。
 泣く演技が泣いている、ようには見えなくて泣き真似に見える。この映画に出ている俳優はみんな大根に見えてしまうという恐ろしい映画。
 毒ガス撒く日にコンサート。わざわざ標的になるようなことを計画する平愛梨って救世主じゃなくてただの馬鹿なのでは。
 円盤から毒ガスを撒くんだけど、霧状ではなくて雨。雑だねえ。
 豊川、ロケット弾で毒ガス円盤を撃破。それも都心で。それって毒ガス散布を助長しているのでは?豊川もただ馬鹿なのでは?さらに、目の前を二足歩行ロボットが通りすぎるのを見ているだけー。ロケット弾もう一発準備しているはずだよねえ。だってARATAがヘリの体当たりで円盤破壊したから。ロボットには中性子爆弾が仕掛けてあるけど、豊川はこの時点で知らないはず。やっぱり、豊川も馬鹿みたい。
 唐沢寿明、見たまんまをすべて口に出す。「ロボット」「速い」「どこに行くつもりだ?」。あのー、全部映像に写っていますけど。小学生レベルの作り。
 逆に、唐沢、豊川、香川照之の三人と佐々木蔵之介がしゃべる距離が遠い。もっと大きくしゃべらないと声が届かないのでは?
 友達の正体がわかってもなーんも驚きがない。もともと興味がないし、それに黒木瞳のセックス相手なんだから、黒木に訊けば済むだけの話。本当に心底アホくさい。科学が進んでいるようだけど、携帯電話が出てこない。ご都合主義すぎるのでは?
 佐々木、また関係ないところから撃たれる。演説中に撃たれるシーンとまったく同じ演出。バカの一つ覚え。今回は別のこんなことしようとか考える気がないのかなあ。連作だよ。やっつけ仕事というのか、雑というのか、観客をなめているのか。
 コンサートシーン。高橋幸宏がベース。なんで?レア映像ではあるけど、うーん、わからん。
 あのダサい曲を唐沢が歌い出す。もう勘弁してくれよ。たくさんの観客の前(エキストラの数がすごい。実写?CG?)でこんな恥ずかしい曲歌えるなんて、役者ってすごい。
 エンドロールも流れているのにこれで終わらない。地獄。
 第2章に出てきた子供の頃のバーチャル映像の中に唐沢侵入。そこで自分の子供時代に説教。神木隆之介にも説教。で、なに?バーチャル世界の過去を改変したからなに?意味不明すぎる。子供の頃の映像が何度も何度も映画の中で繰り返されるのもホント冗長で食傷。だらだらしすぎ。
 見るべき点はまあ一箇所かなあ。空中浮揚と毒ガスは当然オウム真理教のパロディ。なんちゃって感は半端無いけど、社会問題を映画に取り込んでいるという最低限の役割はある。
 

駄作第2章、映画『20世紀少年 第2章 最後の希望』

 堤幸彦監督映画『本格科学冒険映画 20世紀少年 第2章 最後の希望』(2009年公開)を観た。駄作だともうわかっているので期待もなく、気軽に見れる。ただの時間つぶし。
 未来と思われる世界の映像がディスプレイを載せた飛行船、教室の生徒たちのレーザー遊び(かなり意味不明)、捜査資料を提示するフォノグラム風映像、とまあ安直でこれまで見てきた映画などのパクリ。新しい試みなど一切感じられない。
 藤木直人、平愛梨の回想を聞いて泣く。馬鹿すぎる。平、逃げる動作がひどすぎる。演技する方もひどいけど、これでオッケー出す方もなにか大切なものを捨てている。
 「(唐沢寿明は)信念を持ってギターをかき鳴らし歌ったんだぞ」だって。そうだっけか?部屋でギター弾いたら近所迷惑になり、アーケードで客ふたりぐらいが聞いていただけでは?
 ものすごーいバカシーンがこれ。警官の佐藤二朗が殺し屋。彼に撃たれた死体は見るも無残な状態。なぜなら殺しにショットガンを使うから。という前フリがちゃんとある。のに、佐藤が倉庫の中でオカマを撃つシーン。弾痕は頭に小さな穴が開いているだけ。あのー、持っている銃はショットガンだよねえ。前フリで、撃たれたら見るも無残な状態になるって言っていたよねえ。映画内の辻褄が雑すぎて、見ているこちらが恥ずかしくなる。映画と観客をバカにしすぎ。
 マスクを被ったまま撃たれた人物がマスクを被ったまま生き返ったことに、世界中がびっくり。馬鹿なのかな?マスク被ったままなら誰だっていいじゃん。なんで同一人物だと判断できるんだあ?
 世界中の人々が空に向かって指を立てるポーズ。新しいFUCK YOU!に見える。
 人類の滅亡が簡単。楽だねえ、いろんなことがこの映画の中だと。
 世界征服や人類滅亡させたければ好きにすればいいだけで、なぜ小学生の時に書いた文字通り小学生レベルの落書きにしばられなければいけないのか?知能が小学生の頃から進歩していない連中という意味なのかな、全員。ものすごーくつまらない話を、更に下手くそな技術で映画化してしまったという。ただそれだけの作品。本当に時間の無駄。
 良い点を一点だけ。トヨタ2000GTが出てくる。今見てもちゃんとかっこいい。そこだけ。
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