2014年10月後半観たおすすめ邦画

2014年10月後半観たおすすめ邦画
2014年10月後半観た邦画の数は35本。

『ひゃくはち』監督森義隆、2008年公開、10/21掲載
 補欠の視点で描かれていること。高校生を高校野球報道のように聖人君子として描いてないことに好感が持てる。前振りが効いたラストも爽やか。

『探偵物語』監督根岸吉太郎、1983年公開、10/30掲載
 今更説明の必要性はない映画。どんぐり眼でヨレヨレスーツがかっこいい松田優作とぽっちゃりぷりぷりしている若い薬師丸ひろ子がみれる。

【次点】

『バウンス ko GALS』監督原田眞人、1997年公開、10/16掲載
 騒がしい前半に比べ、ラストに近づくと日本調の絵と音にかわり別れを演出。実にうまい。

『ときめきメモリアル』監督菅原浩志、1997年公開、10/20掲載
 突っ込みどころは多いけど、女四人男二人の高校生の夏休み、海の家でのバイトという理想的な環境。微妙な関係性で終わるのも、逆に後を引く。

『悪人』監督李相日、2010年公開、10/20掲載
 田舎の若者の生活環境の描き方や設定が秀逸。場面が灯台の中に移ると物語が失速。深津絵里のおっぱいポロリなしでもここまで撮れるという目合(まぐわい)シーンは秀逸。

『GUN CRAZY 復讐の荒野/裏切りの挽歌』監督室賀厚、2002年公開、10/23掲載
 特に米倉涼子主演Episode-1復讐の荒野は見る価値あり。舞台は沖縄。設定の中に沖縄と米軍基地との関係性が練りこまれていて地元民でも感心する脚本。GUN CRAZYというわりにアクションは荒いけどおすすめ。ただし、エピソードが進むにつれてどんどん内容が荒唐無稽になるので、続編の『GNU CRAZY 叛逆者の狂詩曲/用心棒の鎮魂歌』(10/24掲載)はおすすめしない。

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』監督吉田大八、2007年公開、10/25掲載
 両親が死んだ田舎の一家の物語。両親の死に方でブラックコメディであることを宣言。高飛車な女優崩れの佐藤江梨子、お風呂のシーンが奇妙にエロい佐津川愛美、怪演といっていい永作博美と見どころ満載。

『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』監督佐藤嗣麻子、1995年公開、10/28掲載
 黒木ミサが弱くて対決になってないなど欠点もあるが、すごいのはセーラ服姿の女子高生の撮り方。中学二年生男子の願望がすべて満たされている。菅野美穂の演技力も見もの。

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』監督佐藤祐市、2009年公開、10/31掲載
 過労死が起こるほどの会社ならこんな甘いレベルではないはずで、あくまでもコメディとして面白い。飽きさせない仕掛けがされていて、期待しなければ最後までみれる。

意外にちゃんと出来ている、映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』

 佐藤祐市監督映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』(2009年公開)を観た。物語の転がり方が良くて最後まで見れる。
 映画冒頭、都会の路上をよろよろと歩く小池徹平。挟み込まれる家電量販店の画面など、小池の歩き方といい、倒れ方といい、わざとらしくて、この映画も外れかなあと思う。
 小池、自宅に帰り、ネットの掲示板に書き込み、回想に入る。
 コンピューター関連会社に就職してからは面白い。ありきたりな性格設定の会社の同僚だが、品川祐のキレキャラなど、気楽に見れる。ブラック企業あるある、小池の精神が分離した紙製の写身、三国志や対戦ゲームの中の妄想、ガンダムからのセリフの援用、などなど、場面をあきさせないような工夫がされている。
 画面に名前や職業などの個人情報、メールやネット上の書き込みを字幕を出す映画は駄作が多い、と前から言っている。この映画にも掲示板の書き込みが字幕として頻出する。では、駄作かというとそうでもない。その書き込みが最後に一応のオチという程でもないが演出として使われているので全く無駄というわけではない。一応この映画に関しては必要悪。
 会社内の大団円は恥ずかしいほどのとってつけた予定調和感満載だけど、小池の乗り越えるべき壁をクリアしたということでめでたし。引きこもりの自分自身も乗り越えたことを予想させるセリフもある。
 ただ、田辺誠一がいい人過ぎて、何か裏の顔がありどんでん返しを期待するもなし。マイコとの濡れ場みたいなものがあるかと期待するもこれもなし。と、映画が重くなるような深刻な場面はパスしている。
 ブラック企業ものというより、集団によるプロジェクト達成物語として期待せず軽い気持ちで見れば最後まで見れる。あと、タイトルが長い。

竹中直人がめくらっぽくない、映画『まぼろしの邪馬台国』

 堤幸彦監督映画『まぼろしの邪馬台国』(2008年公開)を観た。見てもいいけど見なくてもいい。
 映画『涙そうそう』(10/30掲載)もそうなんだが、所詮映画ですからというジャンルの映画を見るのはしんどい。
 中国描写が山林に立っているだけ。急に九州、急に火事。いろんな事柄が急。
 吉永小百合による旧国名の読み上げが不気味。タイトルどーん。
 うーん、はなっからめくらのリアリティーなんか求めてない感じの竹中直人。相手役が吉永小百合。吉永が浮いているようにしか見えない。なぜか綺麗に見えないのも不思議。中国の女の子が吉永なんだあ。
 調査旅行の装備がまるでない。コンパスとか地図とかカメラとかなんか持ちそうなものなんだけど。バッグひとつだったり、おにぎり食べていたりだけ。手抜きがひどい。
 急に卑弥呼のいた時代の想像シーン。なんと卑弥呼役が吉永。吉永フェチすぎる。英語まじりの曲をかけるセンスにげっそり。
 竹中の死ぬシーンのスローが長い長い。また、死んであとの物語も長い。
 ラスト、吉永の佇む丘が造成まるわかりなのもすごく興をそがれる。もう少し風情みたいなものは出せないかなあ。
 物事を成し遂げるには膨大な時間と動力と資金力と情熱が必要だということを描いていて物語としてはわかるのだけど、映画としては退屈。
 めくら映画はかなり多い。映画『星に願いを。』(8/16掲載)のめくら演技もつくり感が強かった。もしめくら映画を見るのなら『座頭市』(4/3掲載)『箱入り息子の恋』(7/26掲載)『はなれ瞽女おりん』(8/16掲載)がおすすめ。

鏡の使い方が上手い、映画『探偵物語』

 根岸吉太郎監督映画『探偵物語』(1987年公開)を観た。やっぱりちゃんと面白い。
 映画としては語り尽くされていると思うのでピンポイントの話題を。
 邦画の中の鏡の使い方に疑問があった。ホラー映画に多いのだが、主人公が鏡の前で髪をとかしているとする。すると、鏡に写った主人公の映像を撮る。これ慣れてしまっているから違和感を覚えないしお約束として無意識のうちに流してしまっているけど、考えてみると変。
 主人公はあくまでも自分の姿を見ながら髪を梳かしているわけだから、自分自身以外は見えないはず。つまりカメラから見えているということは、主人公に見えるのもカメラの姿であって自分自身ではない。もし本当に自分自身が見えて髪を梳かしている映像がほしいなら顔の後ろにカメラを持ってきてそこから撮る他ないわけだ。その後、カメラの姿はCGで消すとか。
 で、『探偵物語』なんだけど、鏡を使った場面が三箇所出てくる。
 まず、松田優作が秋川リサの働くクラブに入るシーン。狭い入り口をくぐると奥の部屋。入ろうとすると奥の部屋から男女の諍いの音。カメラは松田視点でその場面を撮るのではなく、ドアに貼り付けた鏡越しに撮る。覗き見をしているような視点で、重要場面の強調にもなっている。うまい。
 二番目は、ヤクザが建物二階で目合(まぐわ)っているシーン。通りかかったガラス屋の運んでいる鏡に反射して、一階で盗聴している松田と薬師丸ひろ子の存在にヤクザが気づく。その後、逃げる松田と薬師丸。そこにヤクザが銃撃。ガラス屋のトラックが通りかかってガラスが木っ端微塵。うーん、二番だしまでムダにしない演出。うまい。
 三番目は、ラブホテルでの回転ベットを映す天井の大きな鏡。これは通常の使い方で、本人たちは自分が見えている体で演技しているが、見えているのはカメラというパターン。だけど、松田の動きに薬師丸が過剰反応する演技がおかしいのでよしとするか。
 長いショット、風景を入れ込んだ遠くから狙う画面構成もよく考えられている。最近、こういう構図をなかなか見ない。
 薬師丸が最初に登場する体の線がよく出る白のニット風ワンピースが女性的でよい。あと、小さな幾何学模様が散りばめられた(イシガケチョウのような)白のワンピース、赤いイヤリングに赤いハイヒールもいい。映画『セーラー服と機関銃』(1/30掲載)同様赤いハイヒールが目立つ。
 ラストは悲恋を乗り越えて大人になる旅立ち。無音のキスシーンは名シーン。映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(7/21掲載)のラストと比べてちょうだいよ。同じ場面設定のキスなのに印象がこんなに違う。まあ、比べるのは酷だけど、学ぶ必要性はあるだろう!
 昔の映画はいいねえ、と口走りたくなるけど、昔の映画がいいんじゃなくて、いい昔の映画が残っているだけ。

妻夫木聡の遺影が笑いすぎ、映画『涙そうそう』

 ぐすーよーちゃーがんじゅうやいびぃーがーやーグブリー川平やいびーん。くぬばす、活動写真ぬ『涙そうそう』いんじやびたぐとぅ感想ぐわぁ書けやーでぃうむとぅぉーいびーん。
 妻夫木聡ぬ働らちょーる場所や那覇市牧志ぬ公設市場、農連市場やんやあ。
 牧志でぃいでぇえからあ国際通りと沖映通りぬ辻ぐわぁかいむつみ橋ぬあいびーんやあ。うまんかいブランタビルでぃあいびーしが昔やぬーやたがやあ名前なあ忘しってしまってわんわんわんむさっとアイドンノウやしが、わんが妻夫木ぬ年齢ぬ頃の話しよー。
 大学の先輩二人(たい)とぅうぬビルぬ一階かいあゆる喫茶店ぐあぁーかいいちゃびたるばすぬ話やしが、わんや田舎から出(いじ)てぃきた学生やたぐとぅ喫茶店でぃハイカラーぬ店んわからん。くりまでぃコーヒーん飲(ぬ)だくとぅねーらん。うぬ店がいじゃちぇーるコーヒーカップぬ横ぐわぁかいあんぐまーぐわぁ容器、ポーションでぃ名どぅやがやあやあ、くぬ容器ぬ開きいかたあわからんよう、爪先ぐわぁしいよう、爪先に染みぃてぃ親ぬゆしぐとぅや心に染めぃてぃー、でぃ、ぐまー容器ぬうわーびぬ銀紙ぐわぁ、開きら開きらさっとーるばす、ぬーがなきーぶりだーちゃーし、たーがなからいんだっとーる感じやしがぬーやがーやー、顔(ちら)上ぎれーからあ、先輩たいがワン穴ふがすかいんちょーんばーてー。ぬーやが山原(やんばる)からいじちちょーるいちむし天然記念物レッドデーターブック第一種動物園しいんちょーる顔(ちら)そーんばーてー。
 だがしかし、まだポーションの開け方を知らない若いグブリー川平はその薄くはられた銀紙をつめ先でやっとのこと開けてミルクをコーヒーに注ぎ、美味しく飲んだとさ。
 ポーションのうわーびにあん三角形ぬとぅくま、うわーびんかいあぎれーからーすぐあちゅしが、うりんわからん。あっさみよう、生、考げーてぃん、顔(ちら)から火ぬいじーっさー。

【日本語訳】
 土井裕泰監督映画『涙そうそう』(2006年公開)を観た。泣く人を見て泣く趣味はないのでなかなか泣けない。
 妻夫木聡が那覇の公設市場や農連市場で野菜などの配達をし夜は居酒屋も手伝っている。渡名喜島から妹が高校進学のため那覇に出てくることになる。
 妻夫木の周りの環境などの設定はかなりありそうで地元民の目で見てもなかなかいい感じ。
 ただ問題は妻夫木は美男すぎるし、フェリーに乗っている妹役の長澤まさみは遠目にみても美人すぎる。あと、麻生久美子も色白美人。ちょんちょこりんのいるくるーも出してほしい。
 物語の底流に流れるのは兄妹相姦的緊張感。もちろん直接表現もおっぱいポロリもないわけだが思わせぶりな振りはあちこちに見られる。そういう意味ではかなり猥褻。
 長澤、高校1年生役はいくらなんでも無理がありすぎる。
 子供時代、兄妹の海岸の岩場でのスロー映像はくどい。こういう表現は随所に出てくる。
 鼻をおさえて泣く仕草は一応前振りもあるけど、鼻血を押さえているようにしか見えず、感動場面にしてはかなり減点。
 映画後半、長澤と麻生の髪型がかぶっていて識別しずらい。
 台風接近以降は話が急で説明シーンが多い。余談だが、沖縄で台風対策をしないで台風を迎えるなどありえないから。家の周りの片づけと食料品の買い出しローソクの準備などなどやることはいっぱいある。これも沖縄の年中行事だし、沖縄人の精神と性格の一部を作り出している自然環境であり制約とも言える。
 泣くところだと思うけど、遺影の妻夫木、笑いすぎ。
 『ニュー・シネマ・パラダイス』で村を出る若者を老人が送り出すシーンがある。泣いているシーンがあるから泣くのではないことは明白。邦画の泣かせることが目的の映画はここを勘違いしている。
 個人的にグッと来たのは沖縄の風景を映しながらの大城美佐子の歌声。原始的な部分にアクセスしてくる何かがある。

占い師の女の設定がしょぼい、映画『富夫』

 伊藤潤二原作脚本監督映画『富夫(とみお)』(2011年公開)を観た。オープニングはカッコいい、その後はどんどん失速。
 商店街を両手で頭を押さえてよたよた歩きまわる男(古川雄輝)。首が切断されたと訴える古川と病院関係者とのやりとりは面白く見れる。首が切断された経緯を尋ねられて回想に入る。
 占い師の女(木口亜矢?)が登場するまでは興味を惹かれるのだが、占い師の女と古川が付き合いだすと映画は失速し始める。占い師の女とその生活が首を切断する力がある割にしょぼいんだよねえ。もう少しオドオドしくするとか、古川が取り憑かれるほどの女としての魅力を表現してくれないと、全く説得力がない。特に、ベッドシーンが準備されているのにおっぱいポロリも目合(まぐわい)シーンもないとはとんでもない手抜き。
 その後は、両手を使えない日常生活が大変だという身体障害者ドキュメンタリーのようになり、恋人(小祝麻里亜?)の元へ帰るのだが、またまた大失速。
 なんと魔術というか魔法というか占い師の力を鏡で返す。うーん、小学生の学芸会のようで笑える。
 漫画家三人が集まって映画化していることを強調しているけど、完成品がこれだと三人集まって古潤茶などと名前をつけたりしているナルシシズムセンスが恥ずかしい。
 数少ない見どころは、主人公の古川雄輝。顔が小さくて独特の面構え。涙が一筋つーっと流れる表情など惹きつけるものがある。初めて観た俳優で今後に期待。
 あと、オープニングとエンディングのインストゥルメンタル曲がかっこいい。音楽は浜口祐夢、川本盛文とクレジットされている。

今どき岩がハリボテ、映画『幽霊ゾンビ』

 白石晃士監督映画『幽霊ゾンビ』(2007年製作)を観た。作りが雑でつまらない。
 タクシー運転手のノッチがすでに降ろした女性客に対して怒りを爆発させるシーンがある。その怒りで前方不注意になるという流れはわかるのだが、女性を降ろしたのは外が明るい昼間、怒り出している映像は外が真っ暗だから夜。なぜそんなに怒りを持続できるのかがわからない。説明もない。人を轢き殺すための都合のいい設定としか思えない。と、あらを探すのが嫌になるほど粗だらけ。
 特にひどいのは、鬼玉石というのがあって物語上重要な場面なのだが、パンクの兄ちゃんが寄りかかると人よりでかい石がちょこちょこと動いてしまう。なんと、ハリボテ。マイクの映っている映画『殉霊鬼(じゅんれいき)』(9/5掲載)よりひどい。血がインクであることがまるわかりだったり、学校の廊下に汚れ防止のためとしか思えないビニールが床、天井、壁と張り巡らしてあったりと、手抜きはすさまじい。まあ、あとは推して知るべし。
 こういう駄作に多い傾向だけど、ギャグを入れると映画が面白くなると錯覚しているその精神がさもしい。

自殺の緊張感がない、映画『ユビサキから世界を』

 行定勲脚本監督映画『ユビサキから世界を』(2006年公開)を観た。見てもいいけど見なくてもいい。
 高校の授業風景。退屈そうな表情の谷村美月。友達同士で比喩としての「死ぬ」という会話を紙片や携帯電話のメールでやりとりする。だが、谷村は校舎の屋上から自分が飛び降りる姿をイメージする。
 と、まあ、教室の外に立たされる四人の姿あたりから今ひとつな感じ。男子の先輩が通りがかるとか、乳牛と呼ばれる女生徒(上原香代子)が現れていじめの対象になっているとか、急で不自然。下手くそな感じ。
 この傾向はその後も続いて、十字路に集まって四方に散るとか、母親とベタベタするとか、寝ている母親が韓国語を話す、特攻服のお爺、急に下半身を丸出しにする母親、など、女子高生四人の家庭環境が提示されるのだが、端折られすぎてどうでもいい感じ。映画への集中力も途切れる。
 谷村は、顔まで土に埋まる土葬シーンがある。その後、土の中からまず手がぬーっと伸びて救出される。泥まみれの演技なんだが、頑張った割に効果が薄いような。必要かなあこの場面。
 乳牛役上原はあだ名の通り発育が立派。ヤラセなのかわからないがバストのボリューム感はすごい。
 朝を迎え、合計五人で校舎の上から飛び降りることになるわけだけど、鉄柵を乗り越えるのにわざわざ机が準備されている。いちいち不自然。なんていうのかな、こういう部分がどんどん重なって「どうせ自殺しないんでしょ」という観客はなめた心理状態になるんだよねえ。監督は狙いでやっているんだろうけど外しているなあ。
 切実さがない分、若いころの自殺願望は所詮流行病でしかないことを表現していると思うけど、どの登場人物にも感情移入できない散漫な感じを持った。

痩せ過ぎな中谷美紀は不幸そう、映画『しあわせのかおり』

 三原光尋脚本監督映画『しあわせのかおり』(2008年公開)を観た。可もなく不可もなし。
 気むずかしい店主兼料理人(藤竜也)の中華料理店。藤が店を続けることができなくなり中谷美紀が志願。紆余曲折があって古くからの客の宴会を任されることに。といったあらすじで、多くの人が予想する通りその範囲内を逸脱することのない普通の物語。120分オーバーは長すぎる。
 映画前半部分で感じることだが、やはり中谷美紀の料理を食べた時の顔が美味しく見えないし不幸そう。痩せすぎてブスに観える。後の展開に関係する表情だとはいえ、配役ミス。
 それに比べると藤竜也の中国人風料理人役はなかなかうまい。この映画で初めて藤竜也を認識した。
 説明なし、準備なしで、急に上海映像になる。紹興(と思われる)の古い街の佇まいがが見れる。『女死刑囚』(10/27掲載)で突然フィリピンロケになった。当時は割と多いパターン。今でも、サービスロケ、あるんだえねえ。
 中華料理店を再開して古い友人の宴会を催すことになる。中谷による料理制作シーン多数なれど、客も入れているのに料理店と厨房を合わせた風景の寂寥感が半端ない。なんだろうこのスカスカした感じは。どこが「しあわせ」なんだ。
 女と料理店をテーマにした映画といえば、『かもめ食堂』(3/29掲載)『のりちゃんのり弁』(7/13掲載)『しあわせのパン』(8/8掲載)『タンポポ』(9/15掲載)『洋菓子店コアンドル』(9/17掲載)と見てきた。面白いのは『タンポポ』と『のりちゃんのり弁』。後はかなり落ちる。

セーラー服のセクシー表現が見事、映画『エコエコアザラク』

 佐藤嗣麻子監督映画『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』(1995年公開)を観た。せつない青春映画として面白い。
 エコエコアザラクといえばエコエコザメラクと答えるほど、古賀新一の漫画「エコエコアザラク」はヒットした。そんなことを覚えていると年齢がばれてしまう。
 映画冒頭、街中を必死に逃げる女。西洋の僧衣を着て顔を隠し呪術的行為と思える儀式を行う集団。鉄骨が落ちて女の頭が潰される。と、悪の集団の力を示す場面ではあるのだが、殺し方に容赦がないし。静止画と思えるほど長く撮る。
 一転、高校生の登校風景。配役。校門で角松かのりの身体をまさぐる先生。部分を拡大する手法が独特。こういう映画ですよという宣言がされていてわかりやすくなかなか良い。そこに通りかかる見知らぬ女子高生が詰問され振り向きざまに「黒木ミサ」を宣言。うむ、美人かなあ、固そうな黒髪、顔が独特で忘れがたい。吉野公佳という女優らしい。初めて観た。
 五芒星の一筆書きが異常にうまい男子生徒が、映画全体に関係する魔術的背景を一気に説明するのが笑える。
 と、まあ、強大な力を持つ何者かを呼び出して自分の見方に引きこもうとしている集団、それに対決するために転校してきた黒木ミサという構図が出来上がり、校舎という閉鎖空間で血みどろの戦いが始まる。というのが物語の概要で、そこは予想の範囲内。
 陳腐で飽き飽きしそうだが、意外に最後まで一気に観た。というのは、高校生のせつない部分とセクシーさが混在していて表現としてもなかなかうまく、最後まで物語を引っ張っている。
 校門で身体をまさぐられた角松かのりは完全な脱ぎ要員。高樹澪とのレズシーンも執拗に長いし、身体の一部を撮る画角の切り方もうまい。
 素晴らしいのは女子生徒のセーラー服(冬服)の撮り方。吉野が振り返りざまに立ち上がって教室を出るだけなのにローアングルのカメラが微妙なパンチラを撮っていたり、上着が浮いてウエスト部分の隙間から見える白いブラを撮ったり、恐怖シーンで床を後退りするときにずり上がるスカートからみえる太ももとか、中二病的憧れのショットが頻出する。
 セーラー服といえば映画『セーラー服と機関銃』(1/30掲載)のラスト。薬師丸ひろ子、濃紺の冬服に真っ赤なハイヒール。邦画界セーラー服ファッションの金字塔であり極北。
 抑えた音楽は内容を邪魔せず使い方もうまい。
 68分頃からは、菅野美穂の演技力が爆発。なぜ、菅野が配役されたかが分かる。映画『催眠』(9/25掲載)でも同じような演技が見られる。
 ラストは、ちょっと甘酸っぱい悲恋。黒木ミサが弱すぎて対決になってない、とか、各俳優の演技がオーバーアクション気味という欠点はあるが、工夫をこらした演出で最後まで飽きずに観れる。

Xubuntu14.10をfcitxで日本語化

Xubuntu14.10をfcitxで日本語化
1、synapticまたはUbuntuソフトウェアセンターより
fcitx
fcitx-mozc
をインストール。
2、メニュー→設定→言語サポートとたどり、「キーボード入力に使うIMシステム」をfcitxに変更。
3、ログアウトまたは再起動する。
「半角/全角キー」による切り替えもできるし、入力に状態によってパネルのアイコンの表示非表示も問題なくできている。Xubuntu14.04LTSの日本語入力の環境を取り戻せた。

生き残るには黒電話か?映画『着信アリ』

 三池崇史監督映画『着信アリ』(2004年公開)を観た。物語の破綻はあるも色んな所がちゃんとしている。
 携帯電話とホラーを組み合わせた映画は『殺人ネット』(9/10掲載)『END CALL』(9/12掲載)と見てきたけど、『着信アリ』は色んな所がちゃんとしている。
 冷蔵庫を開けると必ず低周波ノイズを入れる。テレビ局内の映像が貧相ではない(映画『模倣犯』10/16掲載など映画に出てくるテレビ局内部は貧相な場合が多い)。病院の廃墟で建物内部から携帯の音を出して柴咲コウが中に入る動機を作っている。吹石一恵の死に方が壮絶。女優をいたぶるのがうまい。柴咲コウの部屋の玄関ドアのデザインが独特。
 気になる点は、まあ、こういう映画に物語の整合性を言ってもしかたがないわけだけど。
 着信があることで死の予告がなされる。その携帯電話の中にある電話番号に電話がかかり次の殺人が決まる。映画的な因果関係を作るためのお約束なんだが、基本は無差別殺人。だったら完全無差別かというとそうでもなくて、何故か固定電話にはかかる例がない。
 柴咲が特別扱いなのもわからない。境遇が同じだから変化球というのも腑に落ちない。ラストの堤真一に対する態度もわかりにくいし、堤には電話かかってきてないし、どうするつもりなんだろう。
 物語の満足度は低いけど、映画の作りとしてはなるほどと思わせる手慣れたうまさを感じさせる。

柏原芳恵、砂漠なのにハイヒール、映画『女死刑囚』

 高瀬昌弘脚本監督映画『女死刑囚』(1991年製作)を観た。チープで突っ込みどころ満載。
 鉄格子の奥に暗い通路、柏原芳恵が両腕を抱えられて近づいてくる。暗い部屋に階段(木造の大道具?)、首に縄がかけられる。柏原、泣き叫ぶ。比べるのも何だけど、映画『天国の駅』(10/17掲載)の冒頭部分と似ている。
 で、場面転換。柏原芳恵は恋人の車の助手席に乗っている。車は暴走気味。建物の横に止まると、警察関係者三人が出てきて車に駆け寄る。建物に隠れていた男が三人を射殺。柏原、目覚めると手には拳銃、警察に現行犯逮捕される。
 と、映画冒頭部分を書いていても、かなり強引。だけど、何と、柏原、有罪になり死刑。裁判シーンもなくすごくスピーディー。ただし、取り調べで自白調書にサインと拇印を押すシーンはなかなかいい。刑事二人のねちねちとした、人間関係や世間の評判から容疑者を追い詰めていく態度は冤罪を生む過程を見せられているようで、この映画の見所。後、拘置所内で他に捕まった女二人のキャラは面白くセリフも毒舌。柏原ではないけど、おっぱいが豊富に出るのは良い。
 でまあ、いろいろあって、何と、イラクへ。この規模の映画で海外ロケ?と心配していると、確かに海外みたいだけど、エンドロールを見るとフィリピン。ま、それでも頑張っているけど。
 で、砂漠と仮定した場所で暗殺が行われるのだけど、そこまでの移動に徒歩の部分がある。柏原のファッションが黒いパッツパツの肉感的なレザーホットパンツにハイヒール。うーん、何しに砂漠に来たの?
 さらにM16にスコープを付けるというあまり見ない仕様。その上狙撃に使っている。銃のサイレンサーが内径にねじ込まれているのは物理的に変。だって外径に付けないと弾が引っかかるでしょう。外国人の日本語が下手すぎて何言っているかわからんし、博士の狙撃シーンは重要なはずなのに数カットで済ませて成功したのか失敗したのかもわからない説明が下手なつなぎだし、急に核兵器の話になってもう何がなんだか完全なドタバタ。
 最大の突っ込みどころは、映画のタイトル。女死刑囚だとさそりなどの女囚ものを連想してしまう。それに死刑囚は過程であって、メインはスナイパーの部分のはず。売り方としてもこの内容で女死刑囚って売りにくいでしょう。
 映画『レディーハンター 殺しのプレリュード』(10/16掲載)でも柏原芳恵は銃を持って黒のレザースーツに身を包んでいた(制作年が同じ)。どこにそういう需要があるのかなあ。柏原にそいうこと期待したことないし、はまり役とも思えないし、まったくわからん。

Xubuntu14.10とMY25X/L-Fでの改善点

 Xubuntu14.04LTSをNEC MY25X/L-Fにインストールすると奇妙な不具合が出ていた。
 ブラウザFirefoxのアドレスバーの中に表示されるアドレスが黒い帯で塗りつぶされた状態で表示される。よってアドレスを確認できないという不具合が出ていた。
 ネットで検索しても同じような症状が出ているという報告もなく、完全に諦め忘れていたのだが。
 Xubuntu14.10にアップデートしたら上記の不具合は見事に解消されて何の問題もなくFirefoxは使えている。めでたしめでたし。
 どうしてMY25X/L-Fなんていう老朽機を使っているのかというと、パソコンごとに使用目的を変えているからなんだよねえ。
 アダルトもネット通販もブログの書き込みもとあれもこれも同じブラウザ同じOS同じ機種のPCで作業するのはどうも気持ち悪い。それぞれ専用機にしてしまってトラブルが起こればクリーンインストールで初期状態に戻すのがスッキリして気持ちが良い。

総括という魔法の言葉、映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』

 若松孝二監督映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007年公開)を観たのでここで総括する。観る価値はあるが予算不足が露呈している。
1、1960年代以降の学生運動関連のニュース映像の画質が悪すぎる。当時のもっときれいな画像が残っているはずでありカラー化もされているはずだ。画質を悪くしたのは意図的であり、映画的意図があるとも予想されるが、人民の利益にならず、総括する。
2、学生運動の学生同士の内ゲバシーンでのアクションが良くない。学生運動の暴力性を表現する重要シーンであり、その後の映画のレベルを示す上でもここはちゃんとショットを細かく切って迫力をもたせるべきである。よって監督の若松孝二は自己批判すべきである。
3、映画前半は登場人物が多く説明映像に終始しており面白みにかける。よって総括。
4、坂井真紀らの訪れるバーが安っぽい。映画全般に言えることだが大道具や調度品が安っぽい。よって総括。
5、この映画最大の欠点は映画ラストのあさま山荘立てこもりにある。山荘の室内映像ばかりで山荘の外観を映していない。包囲している警官が一人も出てこないのは、予算がないからとて、映画観客同士に対する金銭泥棒的叛逆である。よって若松は総括し自己批判を要求する。
6、銃の射撃も迫力がない。
7、評価すべき点を上げるとすれば、山小屋内での内向していく集団がリンチによって自己を正当化していく過程は旧日本軍のパロディであり、日本国民が集団化した時の恐怖を描いており真に評価されるべきである。
8、また、水筒を忘れると、総括。男女の肉体関係で、総括。パンタロンを買った、パーマをかけたら、総括。銭湯に行ったら、総括。と、連合赤軍内部が小学生化していることをうまく表現していて評価できる。
9、じっとりした眼つきで女を監視する並木愛枝が陰湿で設定、演技ともに実に良い。戦時下の隣組の監視体制を思い起こさせて暗喩としてもよい。
10、言葉の言い換えによる自己正当化が映画のアチラコチラに散りばめられていて非常によい。自らの学生運動言葉遣いを主体的に学ぶ上でも実践的であり我々同士は総括によって要求し異議もなくして意義もなし、指導していく主体的に実践的は奪取の殺すか殺されるか最終的には各々が真に地平に自己批判、しかるに貫徹飛躍です。

伊藤歩と鶴田真由の白いちびT、映画『カーテンコール』

 佐々部清脚本監督映画『カーテンコール』(2005年公開)を観た。面白いとは言いがたいけど変な展開。
 黒塗りの車から出てくる男女。パパラッチ風の女(伊藤歩)が写真を撮る。女は週刊誌の女性記者。お手柄のはずが写真に取られた女性が自殺未遂で、一転左遷。
 と、まあ、やりて女性記者の地方での活躍かなと見ていると、下関のみなと劇場で人気だった幕間芸人を追いかけることに。と、昭和30年代に活躍した安川修平(藤井隆)の取材を進めると、急に在日朝鮮人の差別問題に話題は移り、済州島ロケが頻繁に行われる済州島PR映像風に。と、いやはやこの物語の落とし所は一体どこなのかとヒヤヒヤしながら観ていた。
 良いのはファッション。眠そうで終始泣き顔の伊藤がジーンズに白いピタッとしたTシャツまたはそれに類するものを常時着用遊ばしているのが非常にいい。その上、鶴田真由まで白いちびT姿に。監督わかっているねえ。
 久しぶりに海で同級生に会うシーンはキスでしょうキス!手抜きしちゃダメだよ監督。
 この映画の最大の欠点は映画館舞台上の藤井の撮り方。藤井は二本立て映画の間に舞台で芸を行う。映画俳優のものまね、一人でのしゃべり、歌など。
 映画館の売り子藤村志保に「すごいうけて」と言わせているんだけど、藤井の舞台上での姿が見ているのが辛くなるほどすごく寒い。
 というのも、舞台の撮り方が観察的というのか冷徹というのか、熱さが全く伝わってこない。映画館のスクリーンを含む引きの絵に藤井がぽつんと立っている構図。固定カメラで撮る手法。藤井の絵の後、満員の観客の絵に切り替わる奇妙な間。などなど、凍りつくように寒い。
 後、藤井の老後が全くの別人(井上堯之)なので、過去映像とのつなぎに差がありすぎて、興が醒める。
 雑然とした編集部、古い映画館、済州島ロケと頑張っているけど、テーマとなっている主要人物の映像がうまく撮れていないという残念な結果の映画。
 韓国との交流といえば映画『チルソクの夏』(8/11掲載)がある。今調べたら同じ監督。そういえば陸上部女子高生四人の着替えシーンもちゃんと撮っていた。わかっている監督ではあるのだなあ。

永作博美の怪演、映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

 吉田大八脚本監督映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2007年公開)を観た。意表をつく面白さ。
 映画冒頭、交通事故現場の演出でギャグ込みの映画であることが提示される。葬式の場面でほぼ登場人物と関係性の説明がなされる。と、手際がいい。
 もっとも観て欲しいのは下女のようにこき使われながら笑顔で答える永作博美。ウインクで目の病気が発覚、扇風機に念力を送るなど大爆笑シーンもある。いやー、ここまで来ると不気味。怪演の域。これまで観た永作の中でピカ一。
 配役でドンピシャなのが佐藤江梨子。「ろくに芝居も出来ないのに性格悪い」と所属事務所から三行半を突きつけられる。全くその通り。観客が思っていることを言ってくれるし、そんな役を見事に(地で?)演じているし、その役を引き受けたのも偉い。それにしても、佐藤の凄さが出ているのは顔面。般若のお面のように目の上に縦のシワが浮き出ている。凄まじい形相。
 びっくりしたのは末娘の佐津川愛美。髪をそのまま伸ばしてメガネで冴えない格好で出ている。それが風呂場で佐藤から虐待のようないじめを受ける。メガネを取ってアップにした佐津川が美人。さらに熱湯で虐待されあえいでいる姿が完全なサービスカットで吉田監督「ありがとう!」。その後、ベッドで寝ているだけなのだが、足元からのアングルで胸が強調されている。これまたありがとう。
 調べたら映画『蝉しぐれ』(10/6掲載)のふく役でした。たしかになあ、気づかなかった。
 映画内で映画のオーディション風景が出たり、読んでいる雑誌の写真が動き出してインタビューに場面転換したり、呪みちるの漫画で表現したり、と虚構内虚構の手腕が生きている。
 確かに過去に起こったわだかまりからギスギスした佐藤と永瀬正敏との近親相姦関係、それを覗く末の妹と、観察者のような永作、狭い範囲の関係性のねじれがかなり息苦しい。それでいて笑えるのだから、映画としてうまい作り。
 ただ、事情はあるにせよ、みんなが家に縛られている理由が家族だからという一点のでは弱いと思う。
 映画であれ漫画であれ、創作は死屍累々たる犠牲の上に成り立っているということが示されている点は教訓的。

Xubuntu14.10インストールとりあえず日本語化

Xubuntu14.10インストールとりあえず日本語化
 Xubuntu14.10(i386)をNEC MY25X/L-Fにインストールしてみた。何の問題もなくするっとインストール終了。
 日本語化はsynapticからibusとibus-mozcをインストールして、ログアウトで一応使えるようになる(切り替えはスーパーキー+スペースキー)。
 パネルのアイコンが切り替わらないとか、使いにくいので、Ubuntu Japanese Teamから日本語パッケージが出てくるの待。

トンネル以外でも死ぬんだあ、映画『8.1』

 高橋洋平脚本監督映画『8.1(はってんいち)』(2005年公開)を観た。殺しに整合性がなくてつまらない。
 物語上の縛りを自ら放棄していて全くつまらない。死ぬのはトンネルを通過した同じ生年月日の人が条件のはずなのに。加害者側の軽トラ運転手が死んでから後はどっちらけ。観る価値なし。そいうことができるなら最初からどこでもだれでも死んだり殺されたりできる。
 コマ送り映像が多用されていてうざい。怖さを必要としない通常の説明映像までコマ送りで違和感を表現するのは逆効果。説明部分はじっくり撮って、怖い部分でどーんと勝負すればいいものを映像的メリハリなし。
 怖い映像がたいして怖くない。もっと遊べばいいのに。
 黒川智花、奥田佳菜子、佐藤佑介の演技はいまいち。室内での奥田と佐藤の会話はひどい。
 予算の関係と思われるが、物語の肝のトンネル内の出来事がほとんど台詞による説明。
 うーんやっぱり、霊の目的がわからないしあやふや。そのトンネルに取り付いて通りかかる同じ生年月日の人を殺しているのか、恨みを晴らすために関係者を殺しているのか。乗り移るのが目的ならすべての殺人は無意味。だって乗り移った後の自分の環境を悪くしているだけだし。人知れず乗り移ればいいことで、実際、そういう兆候は見られたわけだし。
 トンネル内のお化けといえば映画『オトシモノ』(8/13掲載)がある。沢尻エリカ、小栗旬、若槻千夏と見覚えのある俳優が多数出ているけど、へんてこな映画だった。

劇中劇「生きていた信長」がいい、映画『四月物語』

 岩井俊二脚本監督映画『四月物語』(1998年公開)を観た。岩井臭がするも劇中劇が面白そう。
 監督の名前の出し方からすでに自己顕示欲がしみだしていてうんざりする。
 映画冒頭、全員がカメラ目線という珍しい構図。松たか子が東京の大学へ通うため一人暮らしの引越。荷物を運ぶトラックがタクシー運転手に道を訊く。カメラは道路の真ん中。二台のフロントが並んで映っている絵。タクシーの客が来るとわざわざトラックをバックさせる、わざわざ。さらに客は花嫁。映画にわざとらしいと言ってしまうと身も蓋もないし本末転倒なわけだけど、わざとらしい。場面が変わり、引越作業。松たか子がわざわざじゃまになるような演技と演出がくどい。この辺をうまいと思うかくどいと思うかで岩井の評価はわかれると思うけど、くどすぎる。
 カメラは店内から外を撮っている。松が自転車に乗り本屋の場所を訊く。店内からの声で道順を教える。松、画面右に消える。店内からわざわざおばさんが出てきて道を教える。松、画面左に消える。わざわざなんだよねえ、いちいち。
 大学入学式を自然光風に撮ったり、学食の環境ノイズの入れ方、菅野美穂と思われる自転車屋の等身大ポスターと並ぶ松、雨の中、松が通りすぎてもアスファルトの白線をしばらく撮っておく、などなど、映像的センスはある。腕もある。だけどねえ。
 いかにも岩井が撮りましたという自己顕示欲の強い映像が続くと感情移入や集中力が削がれる。
 ラスト、雨の中の加藤和彦、松、高校時代からの先輩田辺誠一とのやりとりが不自然。やっぱり岩井映画はどれを見ても無理だわと思っていると、一か所だけおすすめが。
 映画館で松が見ている『生きていた信長』というモノクロの時代劇が、面白そう。石井竜也、伊武雅刀、江口洋介の三人が山の中で斬り合うのだが、実に三人の配役がぴったりで、この映画をもっと観たいと思わせる。

前作よりもトーンダウン、映画『GUN CRAZY(2003)』

 室賀厚監督映画『GUN CRAZY 叛逆者の狂詩曲/用心棒の鎮魂歌』(2003年公開)を観た。前作よりも主人公や設定がトーンダウン。

『Episode-3 叛逆者の狂詩曲(ラプソディー)』
 外国人が殺される場面。射撃の訓練場面。仲根かすみが辞令を受け取る。父親の七光。など、説明映像はそつなくこなしている。
 爆弾の取引現場。まず最初の見せ場。ビルの爆破は迫力がある。つかみとしてオッケー。布施博が車上荒らしを取り押さえるアクションシーンは短いショットのつなぎで前回よりも良くなっている。警察車両や警察の頭数も貧相にみえずちゃんとしている。
 と、面白そうなんだが、仲根かすみがねえ。米倉涼子、菊川怜ときて、仲根かすみだと目減りしているような、右肩下がりの気がするのだが、気のせいか。
 お約束の二丁拳銃もこなしている。仲根、走るシーンがいい。表情の演技は今ひとつ。
 時限爆弾解除シーンで、電話が圏外になるのは緊張感を高める設定として間違っていない。ただし、その後、仲根が運で危機を切り抜けるのは脚本として間違っている。だって、この場面は最初の失敗を二度と繰り返さないという仲根の成長にとって重要な場面でしょう。それを乗り越えるのに神頼みって、いくらなんでも。なんだかの経験が問題解決に導く設定を入れてくれないと仲根の成長物語にならない。
 大谷みつほが銃で撃たれているのにゾンビのように元気すぎる。メロドラマ部分が強くなって湿っぽい。仲根と大谷が協力するシーンも無理くりすぎて興が醒める。
 で、ラストの映像がまた良くないんだなあ。運転席に仲根、助手席に布施。無線でコンビニ強盗が発生したことがわかり、現場へ急行することに。赤色灯をボンネットに乗せ。画面が切り替わり。覆面パトカーの俯瞰映像。周りに車が走っている道で、覆面パトカーの前の車間距離が他の車よりも若干開き気味。周りの車よりも遅く走っているようにみえるというマヌケな映像。これがラスト。
 室賀厚、前作同様、ちょいちょいこういう手抜き映像平気で挟むんだよねえ。

『Episode-4 用心棒の鎮魂歌(レクイエム)』
 冒頭、東南アジアと思われる屋敷。映画の規模はどんどん拡大。屋敷内で現地の犯罪組織?に上杉梨華がさらわれる。その友人の加藤夏希が日本で仲間を集めて現地に乗り込み上杉を救出する。
 あらすじを書いても、びっくりするほどの荒唐無稽さ。Episode-1に比べどんどん現実感がなくなっている。
 第一作目『GUN CRAZY 復讐の荒野/裏切りの挽歌』(10/23掲載)の米倉涼子、菊川怜まではまだ女優の光るショットが散見されたけど、加藤夏希に至っては配役ミスとしか思えない。NHK-BS「マンガ夜話」でのアシスタントがひどくて印象に残っているタレント。俳優としても落ちるなあ。
 爆薬は大量に使っているけど、反比例して話が薄っぺらい。誘拐犯にAK-47を持たせないのはなぜなのだろう。
 Episode-1に出ていた江原修が登場。脇役キャラが似合っている。またまた車のウインカーランプが一個切れている。田舎の車の表現なのかな。
 毎回、女性の成長物語の形にはしているのだけど、今回の裏付けのなさはひどい。加藤は上杉の父親の金を勝手に持ち逃げするし、誘拐の計画は人任せだし、それで人質奪還成功したからとて、何の達成感もない。
 観るなら第一作目『GUN CRAZY 復讐の荒野/裏切りの挽歌』をどうぞ。

SEX剣術という珍妙な殺陣、映画『DEATH TRANCE』

 下村勇二脚本監督映画『DEATH TRANCE(デス・トランス)』(2006年公開)を観た。駄作とはいえないけど、つまらない。
 映画『VERSUS』(4/17掲載)のアクション監督が今回は監督をしている。テイストはほとんど一緒。物語を描かないでただひたすらアクションシーンのみを見せ続ける。
 物語は、男(坂口拓)が寺から棺を奪う。西の森でその棺を開くと願いが叶うという話があり、それを実行する。それだけ。
 キャラクターが何人か出てくるのだが、いなくても物語に何の関係もない。必要なのは棺と刀だけで、登場人物は二人でも済む話。それを薄めて拡大しているのでつまらない。
 また、敵対する人物も多数出てくるのだが、ゾンビ映画のように只ひたすら倒される役割のみ。いや、敵対する背景や個性や性格が与えられていない分、ゾンビ映画よりひどい。ゲームの影響なのかな、そいうのは自分の部屋で閉じこもってしこしこやってほしい。
 リーゼント風の男(剣太郎セガール)が死ぬ間際に「娘を生き返らせてくれ」と言い残してボロいぬいぐるみを坊主に手渡す。感動場面として作っているみたいなんだけど、その男の過去の生活も娘も描かれてないから、何の感動もない。あまりにもダメすぎる場面と演出。ただし、剣太郎は映える面構えと声。
 ダメな部分は他にもあって、主人公坂口が食事を取れなかったり、敵を斬らない理由がわからないため性格設定になっていない。
 売りの殺陣と格闘技を加えたアクションシーンは豊富なんだけど、前半だけで飽きる。どんどん敵の数が増えてアクションシーンが長くなるだけ。バイクが出てくるあたりからいい加減な時代設定も更にひどく行き当たりばったりで、見ているこちらが萎える。
 唯一の見どころは、ラスト、破壊の女神(藤田陽子)と坂口の一騎打ち。カラフルで派手な映像美。その上、男女の殺陣が目合(まぐわい)の暗喩になっているという珍妙な殺陣。ご親切に刀の柄の部分が男根。カリもあり血管まで浮き出ているそのまんまのデザイン。
 デザインといえば、出てくる子供のファッションや外見が醸し出す雰囲気が不気味。
 映画という観客は受け身で時系列にしか進まない芸術に格闘ゲームのテイストを加えてもただ不毛なだけだと思うのだが。

沖縄の暗喩が散りばめられている、映画『GUN CRAZY(2002)』

 室賀厚監督映画『GUN CRAZY 復讐の荒野/裏切りの挽歌』(2002年公開)を観た。オムニバス形式で二本立てとなっている。

『Episode-1 復讐の荒野』
 どこかで観たような風景だなあと思っていると沖縄。ハーレーダビッドソンに乗る女(米倉涼子)。ジープに乗る二人の米兵。走って逃げる男を撃ち殺す。一応架空の村という設定で多くの人はフィクションとして気楽に見るだろうけど、ウチナーンチュ(沖縄人)がみるとあちらこちらに暗喩が含まれていて、なかなか面白い。
 境界線がない。←黙認耕作地帯のこと。軍用地だがフェンスがなく農業用地として利用している。
 撃たれても仕方がない。←終戦直後の混乱期には米軍用物資を「戦果(せんくわぁ)」として盗むものがいた。その時、水平射撃もあったんだとか。
 「日米地位なんとかに隠れて逃げまわっている」←基地外で罪を犯すと基地内に逃げこむのは常識。沖縄で罪を犯すと米国本土に逃げ出す兵士多数。沖縄の女と子供を作り米国本土に帰って行方不明になる兵士多数。
 「なぜ、あんたが逃げ出すの?」←嘉手納町砂辺地区は航空機騒音のため村を出る家が多数。村はむしくい状態になっている。
 とまあ、沖縄米軍関係あるあるが満載で非常に楽しめるし、うまく沖縄の現状を混ぜ込んだ設定とセリフに感心する。
 では、映画としてはというと、うーん、確かに面白くみれるんだけど、欠点はアクションかなあ。この映画の肝は銃撃戦であるはず。鶴見辰吾にデザートイーグルをもたせたり、ヘリからの狙撃など頑張ってはいる。だけどねえ、銃撃戦や肉弾戦のアクションに今ひとつ切れというかスピード感が足りない感じがする。
 米倉涼子の義足姿は「なんだ?」という奇妙な設定だが、ちゃんと幼少の頃の前フリになっていて素晴らしい脚本。特に父親の死に関係している部分はこんな因縁の作り方があるんだなあと関心した。ただし、ラストの義足の使い方はやり過ぎ。もうギャグにしか見えない。
 後、米兵がバカに描かきすぎ。海兵隊ばかり見ているとそういう印象持つかもしれないけど、パイロットは超優秀。
 この映画をもっと拡大解釈して米兵がばんばん撃ち殺されていく沖縄を舞台にした映画、邦画からでてこないかなあ。

『Episode-2 裏切りの挽歌』
 菊川怜が検察側の席についているので検事だと思ったら弁護士。民事裁判だと対面で座るんだねえ。改めて確認。ただ、部屋が広すぎない?天井も高いし。
 暴力団関係者の弁護を引き受けたらいざこざに巻き込まれて殺されかけたところを殺し屋に助けられる。菊川、弁護士家業に疑問を持っていたし、刑が確定して弁護士を続けられなくなる。で、どうしたかというと、殺し屋を見つけて弟子入り。めでたく殺し屋の右腕になる。ぱちぱちぱちー。と、かなりな設定なのだが、気楽に見る分には面白い。
 編集に時間が取れなかったのか、ケーキ屋で泥酔している菊川のつなぎが変。菊川の乗る赤いオープンカー、降りるときはオープン、乗り込むと幌がかぶせてある。今どきあまりみないミス。
 レストランで殺し屋の永澤俊矢が菊川に試練を与えるシーンは洋画『ニキータ』の影響か。狙撃のシーンで菊川がステアーAUGを使っているけど本来突撃銃だから狙撃には不向きなはず。だけどデザインがかっこいいからいいか。病室での殺しはサイレンサー付き銃。だけどリボルバー。ビデオを止めて見るとサイレンサー部分の口径も小さめ。照星もついているからサイレンサーがはめられるかなあ。イギリスのテレビドラマ『シャーロック』でも女性スパイが持っていた。うーん、ナガンなど種類は少ないはずなんだけど。これも映画的な見栄えを考えて登場させるのかなあ。
 またまた沖縄が関係する。米軍横流し兵器がボストンバッグいっぱい。昔はあったらしいけど、今はむりむり。
 店の爆破はちょっとびっくりしたし、取引場所の爆破も火薬が使われていて何とか観れる。ただ、やはりアクションがもう一つかなあ。
 菊川怜の役どころは突っ込みどころ満載。弁護士から殺し屋に転職。ちゃんと銃が撃てる上に射撃がちゃんとしているとはいつの間に。ラストでは体操選手並みの身体能力からの射撃。いつの間に?
 とまあ、微笑ましい部分もあるんだが、菊川を配役したのは正解。殺し屋になって悪人顔の菊川が非常にいい。冷徹な上、少し殺しを楽しんでいるような表情は実に良くて、「菊川怜、女優としてあり」と思わせる。ただ、子供がらみで殺しができなくなってからは、いつものゆるい表情に戻ってしまい平凡な演技になる。
 ラストは一応、自分の師を乗り越える成長物語にはなっている。菊川怜の悪役映画が観たい。

天狗の交代式、映画『荒神(あらがみ)』

 北村龍平監督映画『荒神(あらがみ)』(2003年公開)を観た。とりあえず最後まで観れる。
 寺と思しき建物に女がいる。戸を叩く音。矢が刺さり傷ついた男二人。映画冒頭、横文字のオープニングロール。テンポの速い現代的な曲。デザインは面白いけど、スタジオ内と思わせる照明と大道具。時代劇風映画であることが分かる。これは手抜き時代劇の可能性もあるがどうか。
 ちなみに閉鎖空間と侍といえば映画『オトコタチノ狂』(9/21掲載)がある。
 登場人物はほぼ三人。寺の主が加藤雅也。負傷した侍の一人が大沢たかお。女が魚谷佳苗。魚谷、角度によって超美人に観える。
 カメラは寺を出ることはない。前半部分は加藤と大沢、二人による会話劇であり密室劇。ほぼ座ったまんまでセリフと表情だけ。話題を変えたりカメラワークを工夫したり観客の集中力が途切れないよう努力している。
 最初の殺陣シーン。圧倒的な力の差のある設定。ある出来事が起きて、二度目の殺陣シーン。ワイヤーアクション、洋画『リベリオン』の影響と思われるフラッシュの中の剣術。頑張ってはいる。ただ、『リベリオン』はマズルフラッシュだから必然性はあるのだが、剣術だと、うーん、ま、いいか。フラッシュは短いほうがかっこいいと思う。光る時間が長すぎ。
 で、ラストなんだが。相手の作りこみがしょぼすぎる。演出もわかりづらい。こんなギャグみたいな衣装と作りこみだと落ちになっていない。ちゃんとした戦士として汚しとかも入れて本格的にしてくれないと。ガタイのいい外人俳優でもいいし。このラスト映像でこれまでの努力が水泡に帰す感じ。

登場人物がみんなバカ、映画『パズル』

 内藤瑛亮監督映画『パズル』(2014年公開)を観た。駄作。
 好き嫌で「駄作」だと判断していると思われると困るのでできるだけ簡潔に書く。エログロ表現はどうでもいい。
 この映画には邦画これまで何度も繰り返してきた駄作の要素を飽きず繰り返している。邦画関係者は学習能力という言葉を知らないのだろうか。この文章を書いている日本語変換ですら学習するんだが。
 邦画駄作あるある。病院に患者がいない。大部屋なのに夏帆以外の患者がいない。現代の普通の病院ではありえない光景。
 教師四人の声と行動が犯人グループに筒抜けになっている設定だが、そのからくりは?後で、引き出しの中からラジコンバギーが出てくるので音声は拾えると解釈しても、行動を把握しているのはどうしてか?
 物理的に拘束されていないのに先生が誰も逃げない。監視しているのは実質三人。一人はトマトや卵を投げるという稚拙な演出と演技をしているだけ。数的優位は先生の側なのだが、なぜ逃げない?
 何で自転車が爆発する?仕掛けは?いつ準備した?全く説明がないし映像もないしすべて後付。手抜きすぎる。それとも手抜きであることも気づいてないのか?製作者として幼稚過ぎる。
 どうして一般住宅の中にこんな地階がある?
 夏帆が大和田獏にレイプされるシーンで、何で三人の男子生徒がいる?これもあとづけ。ただただつまらない。
 最大の疑問であり人物描写が全く出来てない点なんだが、何で野村周平は夏帆の恨みを晴らすのか?どうして?自殺を見たら晴らす?何だそれ。ちゃんと描け!
 どの駄作にも共通する点。警察が動かない。捜査しない。捜査の手が伸びない。警察って交通整理と自転車調べるひとたちだと勘違いしていない?最初の事件が発生して24日間、警察が学校関係者を取り調べないんですかあ?日本の警察はそんなにバカですか?高橋和也が刑事なんだから連絡入れたらその時点で全て終わるだろうバカ!
 この映画は冒頭の映像の後、時間を遡る形式になっている。「44日前」などと字幕表示される。なんだけど結局最後まで映画をみても、この表示に何の意味もないし、そもそも回想形式にする必要が全くない。普通に時系列で物事を表現したほうがわかりやすい物語。製作者は自分の腕に酔っちゃうのかな。冷徹に観察する習慣つけたら。
 ラスト、夏帆の体育館でのダンスがものすごい蛇足。映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(7/21掲載)が蛇足付き邦画ナンバーワンだったが、『パズル』が抜いたな。
 少ない良い点を上げると、大和田による夏帆レイプシーンはよい。意外な取り合わせと熱演で魅せる。
 高橋と八木さおりの格闘シーンで、八木が高橋の包丁を口で真剣白刃取りする演出は良い。ナイスアイディア。
 洋画『SAW』なんかを観て影響受けてるんだかしらんが、エログロ表現で脚本のあらを隠そうとしてもダメだから。物語が成立していないのにどんなに後から頑張ってもダメなものはダメ。登場人物をバカに描くと映画も馬鹿な駄作に観えるだけ。それと、もっと過去作品を観て勉強した方がいいと思う。何度も繰り返されている稚拙なミスが多すぎる。

成海璃子13歳はいくらなんでも、映画『神童』

 萩生田宏治監督映画『神童』(2007年公開)を観た。中途半端でつまらない。
 物語がものすごく中途半端でいろんなことが尻切れトンボで終わる。
 成海璃子と松山ケンイチとの出会い。成海の性格設定として分からないでもない演出だけど、ぬいぐるみは何なんだ。成海に手を握られてぬいぐるみを渡されると、音大の試験に合格する件はファンタジー風でもありホラーぽくもあり、何か成海に特殊能力があるような描き方だけど、その後は何もなし。何だったんだ。只のお守り的意味?
 成海の家に届いた催促状の文字がでかすぎる。安売りのビラじゃないんだから。
 成海と松山は良い中になるかと思えばそんな進展はないし、貫地谷しほりが出てきて恋愛歳の差バトル勃発かと思いきやそれも外野の意味深な言葉だけで具体的な映像はない。
 難病ものかと思えば、後半に症状が出てくるだけで彼女の演奏には何ら影響が見えない。
 練習をしない駄々をこねる天才の成功物語かと思えば、ありえない偶然に外国人ピアニストに見いだされるだけで、それ以降の進展も見せない。
 ラストは、松山と借金のかたに取られたピアノを見つけてめでたしめでたし。なわけないだろう。グダグダしてないで病院の耳鼻科にまず行け!成海。
 とまあ物語は転がらずに二時間もあるので飽きる。さらに映像としてものすごい違和感がある。成海の年齢13才。えー!中学校で成海、熟れ過ぎ。他の生徒が子供過ぎてものすごい違和感。わかるよ、中学ぐらいの男女の成長差。だけどさあ、神童なのはボディの熟れ加減じゃなくて、ピアノの技術でしょう。実年齢15歳。周りの男子生徒をもう少し何とかするとか、気になって全然感情移入できない。
 ちょっと珍しいのは、邦画にめくらの映画は多いし、名作もある。例、映画『箱入り息子の恋』(7/26掲載)『はなれ瞽女おりん』(8/16掲載。)。つんぼ(難聴?)が出てくる邦画は初めて観た。オーディオ部分の演出は多いし、口パク、楽器の吹き替えもそれほど違和感はない。

補欠から見た高校野球、映画『ひゃくはち』

 森義隆脚本編集監督映画『ひゃくはち』(2008年公開)を観た。素晴らしい。
 優勝候補京浜高校の補欠部員二人、斎藤嘉樹と中村蒼が主人公。甲子園出場が目標であることに変わりはないのだが、レギュラーではない。20人の中に選ばれてベンチ入りすることが目標。徹底的に補欠部員からみた高校野球を描いている点が素晴らしい。
 寮の屋上、洗濯機の中のクッキー缶の中に隠しているのはタバコ。練習を終え、雑事を終えると一服する。普通の映画なら不良の記号としての喫煙だけど、この映画の喫煙は本当に一服なのが素晴らしい。新人女性記者が指摘すると、出場校の半分は喫煙者だという受け答えも笑える。
 映画途中で監督に言わせる「グランドは生き残りをかけた戦場」というセリフが、これまたちゃんとした前フリとしての機能を果たしていて、この後起こる展開を暗示している。予想できなかったああ。素晴らしい。
 演出も野球が好きなんだなあと感じさせる場面多数。子供にグローブをプレゼントするとグローブの匂いをかぐ。記者会見のパフォーマンスはやらせ。野球部の監督、スカウト、記者は裏でつながっている。中学生が練習に参加するも才能がある者との歴然とした差を見せつけられる。大晦日の鐘の音を聞きながら硬球の縫い目のうんちく。
 泣き笑いの場面も準備されている。対戦相手のサインを解読した手柄を、弁護士になるために野球部をやめる選手に譲る。この選手が演説調で説明するのもおかしいのだが、監督の竹内力から念を押されて「じっちゃんの名にかけて」「おまえのじっちゃんは知らんが」の返しは最高。さらに、この一連の場面が高校野球は情報戦でもあることを示している離れ業。すんばらしい。
 ここまででも良く出来ているのに更に意表をつく展開に。まさか、ライバルは一番身近なあの人物だったとは!
 ラストは前ふりをちゃんと回収した仕掛けが発動する。世間が素通りしがちな人物にちゃんと光を当て尚且つ奇跡など起きずに自分の仕事をちゃんとこなして終わる。見事!
 脚本から編集までやり遂げるとは森恐ろしい才能。矢口史靖を思わせる調査と完成度の高さ。
 この作品を見ることになったきっかけはTBSラジオ「伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう」でTBSアナウンサー山内あゆが紹介していたから。映画関係者の情報も語られていて聴く価値あり。

どんよりしたくまきりあさ美、映画『禁断の女子刑務所』

 旭正嗣監督映画『禁断の女子刑務所』(2010年製作)を観た。誰に向けて作っているのかさっぱりわからない。
 料理を作っている女(くまきりあさ美)、部屋の中を探しもので動きまわる男。男は覚せい剤を探している。女が黒いセカンドバッグのようなものを手渡す。中には透明な袋の中の白い粉。女に外の様子を伺わせる。男、その窓の方から外に出る。しばらく間があって、チャイム、警察、家宅捜索、くまきり、男の罪を自らかぶる。
 という一連のシーンの緊張感のなさは見ていて呆然とするほど。なんていうか、普通、踏み込む前の刑事とかを撮って、捜査の手が迫ってますよ。捕まるの逃げるの?とかっていう演出しない?カメラが部屋の中から一歩も外に出ないんだよねえ。この冒頭の数分間で「そいう作品」なんだということが分かる。予想通り、後半では病院からの脱走シーンを描かない。面白くなりそうな部分を切るってどういうセンス?
 で、鳴成刑務所に収監されるのだけど、解放寮?という場所らしい。実際にあるらしいのだけど、初耳で、映画の中で登場したのを初めてみた。
 で、これが和室に布団並べて寝ているんだけど、ただのホテルか旅館の一室にしかみえないんだなあ。セットを作りこむのを避けるためとしか思えない設定。
 夜なのに電気がついているし、看守が制服なのに白いスニカー、など、映像全体に醸し出すチープさから、これらのことが実際に行われていることなのか、それとも映画的な作りなのか判断に迷うところ。
 それに比べ、入寮時の身体検査で耳のピアスの穴の数を記録するとか、自慰行為のための器具の製作、色鉛筆の芯を削って化粧品の代用にする、ミシン作業の手順など、女子刑務所生活マニュアルみたいな部分は細かく描かれる。
 入浴シーンなどのポロリもあるが、この映画全体に流れるどんよりしたやる気の無さ、映画の内容もそうだが映画の作り手側のやる気の無さと相まって、ポロリが全然うれしくない。何か萎える。
 最大のどんより感は主人公のくまきりあさ美。演出なのかなあ、演技を抑えるように言われているのか、兎に角、終始無表情で能面のような顔を晒している。長い間、若い女優を撮り続ければ一瞬でもキラキラと光るショットが現れるものなんだが、それが一切、全く、全然、ない、皆無。
 三度目の逮捕でも「後悔していない」という。うーん、いい話に落とし込もうとしているけど、成長物語になっていない。
 この映画は観客をどんな風に想定して製作されたのか全くわからない。刑務所収容女子を観て興奮するという客がいるのか?マニアック過ぎて想像すらできん。
 邦画には『女囚701号さそり』(9/27掲載)という名作があるんだからさあ、盗むとかパロディにするとかこのショットだけは絶対に負けない一矢報いる部分を作るとか、そんな気概はないんですかねえ。

ポロリなしなら目合(まぐわい)はこう撮れ!映画『悪人』

 李相日監督映画『悪人』(2010年公開)を観た。一応最後まで観れる。
 海に面した街に国産スポーツカーに乗る茶髪の兄ちゃん妻夫木聡の設定が実にうまい。ありそう。また、周りは田んぼ、道路沿いに建つ紳士服店が深津絵里の勤務先。これも実にありそう。この二人の設定が違和感なくて映画に入り込める。うまい。方言も効果的。樹木希林が通うはいはい学校、いやーもう本当にこういう場面あるある。
 物語は、妻夫木が殺人を犯してしまい、出会った深津と逃避行、というだけの話。なんだけど、二人に関係する周りの人々の撮り方もまたうまくて、感情移入を邪魔しない。
 会話の基本は性悪説。満島ひかりの二人の女友だちは腹を割って話さずに陰口ばかり。大学生の岡田将生は女を下に見ているし、その家族についても笑っている。
 撮影や編集は落ち着いていて丁寧。事件現場の警察消防の関係車両の数もケチってないし、妻夫木の仕事場で重機が入り家を壊しているし、長崎の妻夫木の家から佐賀の深津の家に場面転換するとき、どちらもちゃんと雨の風景でつないでいる。幻覚を見ている柄本明が傘によって現実に戻るシーンもつなぎとしてうまい。各場面、基本に忠実で手抜きはない。
 手抜きはないといえば、やはり、妻夫木と深津の目合(まぐわい)シーン。おっぱいポロリはないけども、手荒に後背位から攻め立てる場面は息詰まる。ヌードがなくてもちゃんと盛り上げることができる良い見本。
 全く余談だけど、YouTubeに外国映画の目合撮影現場の動画が上がっていた。ベッドで裸の男女が談笑している。デジタル表示のカチンコが消えて、スタートの声がかかると、まぐわっているんだよねえ。瞬間芸というのか一瞬で演技に入れる俳優ってやっぱりプロ。
 演技で気になるのは満島ひかり。本当に尻軽で自己中心的で性格悪そうな役がぴったりはまっている。蹴飛ばされて橋の欄干に頭をぶつけながら車から落ちるシーンは本当にやっているとしか見えない迫力。その後も、死ぬまで嫌味というのは役者としてあっぱれ。
 気になる点は、妻夫木の自首シーン。深津を乗せた車を路駐で自首するのは、不自然。帰ってくるのが前提の設定にみえる。
 大学生の岡田は満島の父親役柄本明に狙われるんだが、そんなに悪いかなあ。もちろん性格は悪いけど、岡田が犯人ではないことはすでにわかっているし、出会い系で知り合った男がいたことも柄本は知っているわけで、まず憎むべきは妻夫木のはず。この辺の心理状態が不自然だし説明もなく一方的。
 岡田の友人で状況を冷静に観察している永山絢斗が役として不要。面構えもいいし性格設定もいいのに物語には関係してこない。なんか、もったいない。
 落ちていく男女の逃避行、結末も性悪説でよい。と、思ったら映画はまだ続く。灯台以降は蛇足。
 タクシー運転手のでんでんが深津に向かって「私がボディーを透明にしてやろうか?」(映画『冷たい熱帯魚』3/19掲載)なんて言ってくれたらもっと怖い映画になるのだろうなあ。

今日から中川安奈の「音楽遊覧飛行」再放送

今日から中川安奈の「音楽遊覧飛行」再放送
 10月20日(月)17:20~NHK-FMで中川安奈が担当していた「音楽遊覧飛行」が再放送されるようです。
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