子供時代を思い起こさせる、映画『泥の河』

 なんの事前知識も持たずに観た小栗康平監督映画『泥の河』(1981年公開)。
 4:3、モノクロ。しばらく終戦直後に撮られた作品だと思い込んでみていた。なんと1981年公開とは。
 藤田弓子の声が可愛い。藤田の入浴シーンにドキッとした。
 ある時代のひとときを切り取った風景写真のような作品。
 カニの死と売春を同時に描くシーンは死と生と性が重なって切ない。

2014年3月に観たおすすめ邦画

2014年3月に観たおすすめ邦画
3月に見た邦画は44本。

アニメ映画『時をかける少女』(2006年公開)
 パッと見、影を描かず手足の長い女子高生描写をなめてかかると、野球シーンの身体動作の表現に驚く。原作の構造を守りながら現代風の味付けに成功している。(3/1掲載)

『一命』(2011年公開)
 『切腹』(3/7掲載)のリメイクということで批判する方もおられるようだが、大人の事情なリメイクではなく、ちゃんと意味がある作品になっている。
 まず、現代の映像技術の進歩が生きている。三池崇史による時代劇の光と影の使い方は一時代を築いていると思う。確かに決闘シーンが『切腹』に比べ少ないが、それを上回る竹光であることの前振りも効いていて、リメイク版だからといって物語に手抜きはない。
 時代劇、浪人もの、人を切らないという共通性から『雨あがる』(3/6掲載)もあわせ三作品を見比べることをおすすめする。

『砂の女』(1964年公開)
 名作なので何もいうことはないのだが、やはり砂に埋れる岸田今日子の女体は、もう現代アートとしか言えないレベルの表現。ファンタジィーのようなミステリーのようなSFのような摩訶不思議な物語に人の業のようなものすら感じられる。(3/13掲載)

『疑惑』(1982年公開)
 冒頭から登場する桃井かおりの悪女役がもうはまり役で目が離せない。裁判により事実が明るみに出るのだが、周辺の人達の心理が暴露され始め、物語は意外な展開に。落ちもちゃんと準備されていて、映画として観客を引っ張る力は見事。さらに桃井かおりと弁護士役岩下志麻の対決名シーンまで準備されている。時間を忘れさせてくれる映画だ。(3/17掲載)

『冷たい熱帯魚』(2010年公開)
 これはもう園子温とでんでんによって、演技は虚構という映画すら上回れることを証明した、ということに尽きると思う。エログロだと敬遠せずに一度は見ておいたほうがいいと思う。さすがに二度見る必要はないけど。(3/19掲載)

『ちょんまげぷりん』(2010年公開)
 スーパーの前で佇む侍という描写で笑った。つかみはOK。ともさかりえのシングルマザー役が自然でいい。
 神は細部に宿るというけれど、細かい描写に手抜きはない。時間が経つと髷のそり際に毛が生えてきている。ものを指し示すときは扇子で指す。現代生活を武士言葉で表現。など、うまいと思わせる。
 侍が現代社会に現れることによるドタバタ劇だと想像しそうだが、そこだけにはとどまらない。時代が離れた異文化交流であり、現代社会批判であり、相互理解でありと表現していることは深い。
 物語は侍の江戸時代に置かれていた境遇が、ちゃんと落ちの前振りとして使われていて納得できるし、ラストも抑えた演出で爽やかに終わる。(3/27掲載)

『リリィ・シュシュのすべて』(2001年公開)
 とにかくつまらない。物語、登場人物、映像表現、すべてが「自然でしょ?」といっていて、うんざりする。まあ、この作品を高く評価している人もいるようなので、自分の目で確かめてみてくださいとしか言えないわけだけど、ほんと、つまんないよ。(3/25掲載)

淡白な法廷劇、映画『ゆれる』

 ネットで評判がいいようなので見てみた西川美和監督映画『ゆれる』(2006年公開)。
 じっくりと撮ったと思わせる安定した画面は感情移入しやすくて、すぐに映画の中に入っていけた。
 人間関係を映像だけで見せるので、これはホームドラマか?と思わせておいての法廷劇へと意外な展開をみせる。
 この映画を見ながら思い出したのは映画『疑惑』(1982年公開)だ。裁判に関わる人間関係や性別に違いはあるが、裁判によって明かされる事実と二人の演技派俳優が出ている点で類似性が見られる。
 そこで『ゆれる』の感想なんだが、「動機は嫌がらせなの?」という点がつまらない。裁判が心情発露の情緒的な部分に収斂してしまい、事実の究明という裁判劇の面白みがなくなっている。
 さらに香川照之の性格設定と演技(香川はミスキャストの気がする)がそんなことを犯すような性格でもないしそうゆう風にも描かれてないので、裁判の行方にドキドキ感がない。橋の上で悔やむだけという演出も、これまでの描き方が自然なだけに興ざめ。
 ま、ぐだぐだ書いてもしょうがないので、『疑惑』と見比べると違いは一目瞭然だと思う。

女優は怖い、アニメ映画『千年女優』

 これも映画の宣伝は覚えている今敏監督アニメ映画『千年女優』(2002年公開)を見た。
 絵は『スチームボーイ』や『AKIRA』を思い起こさせる。殺陣のシーンで、画面が揺れる効果にびっくりした。
 思い出の中に取材者が狂言回しとして登場する。虚構内虚構の虚構、虚構から虚構への綱渡り的めまぐるしい場面展開がすごい。古い邦画が好きならパロディも楽しめる。
 千代子が時空の旅の最後を知ってしまって発する言葉が意味深で、女優は怖いなあと思わせる。
 大人で未見ならこの機会に。

フィンランド版猫が好き、映画『かもめ食堂』

 公開時、CMを覚えている荻上直子(おぎがみなおこ)監督映画『かもめ食堂』(2006年公開)を見た。
 小林聡美が樋口可南子に見えてしまう。もたいまさこの登場シーン、海岸に座っているだけで笑える。すごい存在感。
 料理をつくるシーンが多い。音楽がほとんどかからない。室内の声に少しホールエコーがかかる。自然光での撮影。
 物語は悠揚迫らぬ展開。料理映画、群集劇、ファンタジーとも言える作り。フィンランドが舞台という点で俗を切り捨てている。恋愛関係、肉体関係は全く出てこない。
 小林を愛でるなら映画『転校生』(1982年公開)と続けてみるといいかも。

キャラデザインが幼い、アニメ映画『機動警察パトレイバー the Movie』

 タイトルだけは知っていた押井守監督アニメ映画『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年公開)を見た。
 メカデザインは素晴らしい。メガネ、ヘリのフロントガラスに反射する光。光学カメラでとらえたような映画的表現が取り入れられている。ノイズ混じりに起動するレイバーのコンピュータの描き方もさすが。何気ない風景描写も健在。押井風に言えばダレ場。笑いもある。『うる星やつら』的表情とデフォルメ。
 物語全体の構成としては、バイオレンス、謎解き、バイオレンスと強弱が付いている。前半部、レイバーが警察でどのように使われているか描写して欲しかった。格闘、水没、で謎解きに入ったので、映像的にダレた。
 最も気になったことは、主人公たちのキャラが幼いことだ。観客集客のために対象年齢のためあえてそうしたのか。謎解き中は、危険にあうこともなく、女の相方も役に立っていない。メカデザイン同様、人物もクールに描いたほうが良かった。

薬師丸ひろ子のヌルヌルした演技が見れる、映画『Wの悲劇』

 あちこち記憶にある場面が出てくるが、通しで最後まで観たのは初めて映画『Wの悲劇』(1984年公開)。
 爆笑問題の太田光がラジオで発言するような、劇団内部のドロドロした関係や、自意識異常な劇団員が描かれていて面白い。
 映画冒頭で、薬師丸ひろ子がセリフの練習をするシーンがある。そこは見ていて少し照れるが、そこを乗り越えれば後は劇中劇として感情移入できる。
 世良公則が出ている。そういえば全くテレビに出なくなったけど、俳優業はやっているのか?
 蜷川幸雄がそのまんまで出ている。芝居なのか本気なのかわからない。
 「ダメよダメダメ」と三田佳子が言う。日本エレキテル連合の元祖は三田だった。
 舞台と映画内現実がリンクし入り乱れる作りは良く出来ている。
 薬師丸の所作がヌルヌルしていることに気づいた。身体の使い方が普通とちょっと違う。
 「みうらじゅんのサントラくん」でも指摘していたが、今、こういう映画のヒロインとヒット曲という形態がなくなったなあ。みんなが邦画に憧れる、いい時代だったんだ。

ともさかりえ殿が適任でござる、活動写真『ちょんまげぷりん』

 いやはやこれまでともさかりえ殿のこと、心の片隅にでも幼く書き付けておくこともせず、お詫び申し上げます候。この度、ともさか殿がご出演果たされました活動写真『ちょんまげぷりん』(2010年公開)ご拝見申し上げ候なれば、そのまっこと日々の繕いごと毎日お屋敷でお見かけする所作のごとく天然流。拙者、日常の些事も忘れ活動写真に没頭したる姿たま至る。この活動写真、士農工商穢多非人、すべての人が拝観すべきと拙者は御注進申し上げ候。

近親相姦?アニメ映画『コクリコ坂から』

 ジブリ作品を映画館で見たのは『紅の豚』が最後かな。宮崎吾朗監督『ゲド戦記』はすでに見ている。主人公の平常時と驚いた表情の差が大きくて笑って観た覚えがある。そんな適当なジブリ作品鑑賞態度で『コクリコ坂から』(2011年公開)を見た。
 台所内の移動シーン、歩いている姿が不自然。合唱シーン、口の動きが揃っている。など、ジブリとして絵の力は後退。
 エンドロールにかかる曲はいいのだが、映画の中でかかる当時の曲は同時代性の表現と主人公の精神性の表現として使っているのかもしれないが、効果を上げているとは思えない。その挿入歌が物語に絡んでくるわけでもないのだから、これまでどおり久石譲で良かったのではないか。
 『リリィ・シュシュのすべて』は精神の腐った連中しか出てこない。かと言って『コクリコ坂から』の若い男女がただ歩くだけというのも現実離れしているし。若い男女はいろいろするよねえ、いろいろ。
 思春期映画は苦手だとずーっと言っているけど、もう少しニュートラルに描けませんかねえ、若い連中を。
 あ、『コクリコ坂から』は少し踏み越えれば近親相姦なわけなんだから、過激といえば凄まじく過激な内容なわけだ。『リリィ・シュシュのすべて』の対比と考えていたけど、精神的縛りはその上をいっている。前半は明朗快活な青春学園ドラマ、後半は泥沼の愛憎劇という『女殺コクリコ坂地獄』みたいなジブリR18作品が見たい。

頑張っているだけに残念作、アニメ映画『王立宇宙軍オネアミスの翼』

 前から気になっていてやっと見ることができたアニメ映画『王立宇宙軍オネアミスの翼』(1987年公開)。
 出だしのデッサン画のうまさに驚く。メカニックデザインも素晴らしい。これは久しぶりの傑作か!と胸踊らせるも、時間の経過とともに気持ちは萎えていく。
 まず、冒頭での物語提示がないので、見る側は困る。別世界を描きたいのか、男の成長物語なのか、恋愛物語か。映画結末に関係するサスペンス映画なら謎のままでいいのだが、この作品の場合は構成上のミス。ドキドキして先が読めないのじゃなくて、退屈で迷走している感じ。
 メカニックデザインは素晴らしいのだが、風俗習慣のデザインはやり過ぎでちょっと無理している。
 音楽がうるさい。坂本龍一、こんなに映画音楽下手だったっけ。
 なかなか転がらない物語でも、最後の最後に緊張感が高まる。やっとなんの物語かわかった。のらりくらりしていた男も成長する。
 後、主人公の声が森本レオだということに興ざめ。違和感ありすぎ。

海の中ではブリュンヒルデ、アニメ映画『崖の上のポニョ』

 今更だが、宮﨑駿のトンデモ作品と噂されるアニメ映画『崖の上のポニョ』(2008年公開)を見た。
 自宅への峠道を軽(と思われる)で暴走する、ライトによるモールス信号を高速で打つ、そんなリサがすごい。すごくいいキャラクター、スピンオフしてリサの物語希望。
 コナン以来か、空の次は水の表現。イメージの爆発がすさまじい。行動を起こす前のための表現がすごい。ここまで来るともう伝統芸だね。相変わらず動きの所作がうまい。
 物語としては、前半部はグイグイ牽引するも、海面上昇以降は失速気味。リサも物分かりが良くなっている。海の底に沈んだのになぜか大団円。ヒトは滅びたほうがいい、という宮崎の思想がちゃんと貫かれている。

岩井俊二の駄作、映画『リリイ・シュシュのすべて』

 まとめサイトから得た情報で見ることになった映画『リリイ・シュシュのすべて』(2001年公開)。いやはやなんとも、
 奇妙なで出し。掲示板への書き込みと思われる文章の羅列。サスペンス、SF、猟奇ものといろいろ思わせるのだが。
 何度も出てくるイメージ映像。刈り取り前の田んぼ?ヘッドフォンをかけ立つ少年。野外はサラウンド情報の宝庫。オーディオマニアに野外でのヘッドフォンは理解できないし、ダサい。ビクターから金をもらっているからか?
 夜の自転車シーン、ライトを当てているのがまるわかり。突然小遣いを渡す親登場。なんの意味があるのか理解不能。この辺りから視聴態度がなえる。
 なんで甘えているクソみたいなやつばかり出てくるのかなあ。小動物の生態観察映画として見ればいいのかなあ。
 三者面談の教室内、逆光のシーンはうまい。シャンプーを選ぶシーンは笑った。唯一まともな映画的表現。
 とにかく映画全体の作りといい「自然な撮り方」というのがみえみえで作為的でキモい。
 元コンディション・グリーンのカッチャンが出ている。シジャーは浜に跳んできません(笑い)
 岩井の名前は知っていたけど、映画館でお金をとっていながらこのレベルの映画を見せる監督だったんだ。
 坂上忍は技術も才能もないから許せるけど、岩井は名もあり技術もあるから厄介であり悪質。
 いちいち画面への集中力をそぐ掲示板書き込み風映像は思わせぶりなだけで回収はしないの?ただ邪魔なだけ。この映画の原作に岩井も噛んでるみたいだが、ネットの書き込みを使った小説はとっくの昔に筒井康隆がやっとるわ。
 この映画は駄作というレベルを超えて、この映画を見てしまい最後まで見なければと努力している自分に嫌気が差す。監督だけ自己満足の自慰行為的作品。

ThinkPad T60にWindows7をインストールした

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 ThinkPad T60にWindows7 Home Premium SP1 32bit DSPをインストールしてみた。その手順を書いてみる。

 事前準備。xpだとACHIや有線LANのドライバを準備しておく必要があったが、7は必要ない。

1、7をインストールする。Windows Updateは後でまとめてやるので自動更新は停止。

2、LenovoサイトよりSystemupdate4(systemupdate505-02-14-2014.exe)をインストールする。再起動後、Systemupdate4を実行する。好みの問題だが、必要なドライバなので、全部チェックを入れて、インストール。

3、ビデオドライバATIドライバWindows Vista(79d533wj.exe)をインストールする。正常にインストールできなかった可能性がある、というメッセージが出るが、そのまま正常インストールを選択。C:\DRIVER\WIN\の中にあるsetupを実行。ATIドライバをインストールする。

4、タッチパッドドライバSynaptic ThinkPad Ultra Nav Driver(6hgx79wj.exe)をインストール。タッチパッドでのスクロールが可能となる。

5、IntelワイヤレスLAN(8aw217wj.exe)をインストール。その後、インテルダウンロードセンターで最新版に更新する。

6、Windows Updateを実行する。
更新プログラムの中の一個が失敗した場合(エラーコード8024200D)は、WindowsサポートセンターよりWindows6.1-KB947821-V32-x86をインストールして実行する(OS種類により選択)。更新プログラムKB947821がダウンロード、インストールされる。

感想
 LenovoのSystemupdateの出来が中途半端。必要なドライバが揃わないので、後で手動でインストールしなければならない。それに最新版が揃っているわけでもない。
 Windows7のインストールは速い。最初からACHI、有線LAN、オーディオにドライバが当てられるのはありがたい。が、Windows Updateは150個以上の更新プログラムがあって大変。2時間以上かかった。SP2の発売が必要。

PRIMERGY TX100 S3でスリープは使えない

「PRIMERGY TX140 S1 / TX120 S3/ TX100 S3 (2012年5月発表モデル)ご使用上の留意・注意事項」というPDFを見つけた。
 ラジ録2を使うならスタンバイできるかどうかは重要な点なので調べてみたら「12.Windows OSにおけるスリープ状態について本装置では、Windows OSにおける[スタート]-[コントロールパネル]-[電源オプション]から“コンピュータをスリープ状態にする”の設定がご使用になれません。」と書かれていてやっぱりと思った。
 Xubuntuをインストールしてもスタンバイが選択できないのは気づいていた。TX100 S3にWindows7をインストールしてradiko録音専用機にするのは諦めた。

身体欠損による差別、映画『砂の器』

 ハンセン病患者が長い間差別され続けたのは身体欠損を生じるからである。人は身体欠損者に厳しい。一本足のからかさ、一つ目小僧、顔のないのっぺらぼう、幽霊は基本的に足がない。妖怪、魑魅魍魎は身体欠損者の暗喩だ。ヤクザは自ら指を詰めることで、積極的能動的身体欠損者になり、差別される側であることを表明する。
 前置きはこのぐらいにして野村芳太郎監督映画『砂の器』(1974年公開)を見た。
 日本の昔は本当に暑そう。海岸のゴミがすごい。
 容疑者と刑事が偶然出会う。他人の名前をすぐ教える。紙吹雪の女が唐突。雨の日に蓑を着ている人がいることにびっくり。旅館の女将の記憶力がすごい。コンサートと容疑者の子供時代の回想が長い。ピアノシーンがちょっと、どうやって音楽家になれたのか?字幕の説明が入る。
 まじめに作ってある映画なんだけどご都合主義な部分もある。最大の問題は、容疑者と捜査する刑事が一度も絡まない点だ(電車の中、スナックで偶然出会うだけ)。絡まないことによる客観的第三者からの表現というのが目的だと思うのだが、感情移入度は落ちる。あとは、容疑者の焦りが感じられない。政治家との面会場面で前振りもあるけど、後半部の長い謎解きが行われても「それが殺しの動機だったんだ、へー」という軽い気持ちにしかならない。取り扱っている内容は日本社会の恥部を扱っていて真面目なんだけど、映画としての出来は普通。

原作を読む、筒井康隆著『時をかける少女』

 筒井康隆著『時をかける少女』を読んだのは何度目だろう。
 テレビドラマ(NHKの「タイムトラベラー」など)、映画、アニメ映画『時をかける少女』と何度も映像化されている作品なので、原作にあたってみたくなった。
 谷俊彦の挿絵がなつかしい。あの頃のSFは挿絵がうまかったなあ。
 浅倉吾郎の体型がずんぐりむっくり。
 理科の先生が診療と注射。←当時でも医師法違反なのでは?
 吾郎の家が浅倉荒物店。←映画では醤油屋(大林信彦版)。
 トラックに轢かれそうになる。←アニメでは電車。
 一日、時間が巻き戻っていることを二人に相談する。後に先生にも相談する。
 時間だけでなく、空間移動についてのうんちくもある。
 タイムリープすると同一人物を「かの女」と表現。
 時空間移動能力に困っている。
 未来社会が語られている。
 久しぶりに読んでみると、物語が短いのにびっくりした。映像化が何度も行われていることを考えると、物語原型として途中にいろんなアイディアを盛り込めるよく出来た構造なのだろう。記憶を消される悲しさと、また会える希望が担保されている点が、読み手の心を打つ。

時代劇より遠い物語、映画『青春残酷物語』

 大島渚監督作品を何かみたいなあと思っていたら映画『青春残酷物語』(1960年公開)を見た。
 昔の映画は女の扱いが荒い。人の撮り方がドライというか乱暴。これがヌーベルヴァーグということなのかなあ。
 説教臭いセリフ。医者の説教が大島渚の口調に似ている。
 残念だけど出てくる人物の誰にも感情移入できない。
 学生運動って何がしたかったのかなあ?陸上や体操、野球では足りなかったのかな(笑い)。時代劇より遠い物語に感じる。
 右上に黒丸が出るのを久しぶりに見た。
 だらだらしている男女もラストはスッキリ終わる。

大人のファンタジー?映画『うなぎ』

 当時、海外で賞をとったということでニュースにもなった今村昌平監督映画『うなぎ』(1997年公開)を見た。
 冒頭、物語の展開が早くてびっくりした。出だしは「なんだ?」と思わせて映画への吸引力最高。と、思っていたら、うーむ、あとは退屈。
 役所広司の周りに多くの人が訪れるのだが、風景としての人物で、あまり物語に絡んでこない。役所の性格描写はよく描かれていると思うが、相手役の清水美沙やその母親、浮気相手など悪人なのか微妙。
 『赤い橋の下のぬるい水』にも役所、清水の二人で奇妙な物語を演じていた。清水は『赤い橋の下のぬるい水』よりも脱ぎっぷりが少し良い。今村昌平はこういう物語が好きなんだねえ。
 映画冒頭部分の暴力シーンをもっと拡大したバイオレンス猟奇ものを撮ると素晴らしかっただろうなあ。

ThinkPad T60をSSD化+Xubuntu

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 シリコンパワー 32GB 2.5インチSSD V55が手に入った。台湾製。早速T60に取り付けてみる。

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 上の写真がHDDを取り外したところ。精密プラスドライバがあれば10分くらいで作業は終わる。
 その後、Xubuntu13.10をインストールしてみた。起動、ブラウザ表示など作業全般できびきびした感じが体感できる。四千円の投資で作業効率が上がるのなら、安い。サポートの切れたWindows xp機の次の使い道としてSSD化+Xubuntuはおすすめ。

映画内虚構の作りこみが楽しい、アニメ映画『サマーウォーズ』

 細田守監督アニメ映画『サマーウォーズ』(2009年公開)を見る。
 冒頭、映画内虚構、つまりネット世界が描かれるのだが、デザインにびっくりした。物語設定説明シーンとロールを交互に挟む作りもうまい。
 細田節とも言える簡単そうに見えて作りこんだ絵も健在。散らかった食卓を片付けるシーンなど細かいなあと感心する。
 物語と入念な描き込みとで満足したかといえば、そうでもない。正直なところ誰の物語なのか中途半端な作りになっている。問題解決の主人公が最後の最後に入れ替わるのは納得出来ない。だってあの人はネット上の問題解決に何ら関わってないので、すごく唐突な感じがして、拍子抜けした。『時をかける少女』『おおかみこどもの雨と雪』と見比べると『サマーウォーズ』はストーリー展開を作りこみすぎた感じがする。高校生の女子か男子か、どちらか一人の物語に重点を置いて描いたほうがすっきりしたと思う。

外で女を作っているお父さん必見、映画『鬼畜』

 子供三人連れた女が印刷所を尋ねる場面から始まる野村芳太郎監督映画『鬼畜』(1978年公開)を見た。
 昔の映画は夏がものすごく暑苦しい。あの頃は映画のように良く汗をかいたもんだ。
 さてその後、何が始まるのか。身から出た錆とはいえ怖い。岩下志麻がギスギスしている。メロドラマのようだが心の弱さは深刻。
 身に覚えのあるご主人は画面を正視できないのでは?
 旦那が外で女を孕ませている奥さんは必見。
 子供の頃、父親と継母の行動が変だと感じたことがある人、必見。

早く押し倒せバカ!映画『モテキ』

 大根仁監督映画『モテキ』(2011年公開)を見た、二度目。テレビドラマは第3回まで見たかな。
 思春期ものは本当に苦手。恋愛の半分は押し倒せば解決するんだよ、早く押し倒せバカ!と思ってしまって、展開にイライラするし、待てない。恋愛過程を描くのが音楽文学映画etc芸術作品であるわけだから、見る資格はない。
 長澤まさみに会えるんだったらそりゃ踊りたくもなるわな、と、ミュージカル嫌いでもこの映画の作りは許せる。
 仲里依紗が男女間について「構造は同じなんです」はいいセリフ。
 真木よう子が恋愛関係として絡まないのは拍子抜け。
 最後まで見れるのは成長物語といえば成長物語になっているから。
 いつでもどこでも「通信」している人々が病的に見える。精神や意識、集中力を分散させることは非効率だと思うのだが。脳が分散系だからその構造が表に出ているのか。現代の分散系が勝つか、旧世代一点集中が勝つのか。
 エンドロールが楽しい。

でんでんが映画という虚構を乗り越える、映画『冷たい熱帯魚』

 園子温監督映画『冷たい熱帯魚』(2010年公開)を見た。二度目。
 すごいとしか言い様がない。エログロ、猟奇殺人を描いているからすごいと言っているのではない。
 現実の殺人事件を映画という虚構が描きながら、その虚構の中のでんでんの演技と園の映像表現が、映画という虚構をはみ出しているため「でんでんって、ほうとうにこういう人なんじゃない?」と次第次第に思われはじめて、虚構の中から出られなくなる。灰や人肉を山に捨てるシーンでのでんでんの説教はまさに虚構を逸脱している。
 二度目の鑑賞で気づいたこと。残虐場面と、退屈そうにしている他人戯れる人を交互に撮る。緊張と弛緩を交互に挟むことで画面からなかなか目が離せない。
 駐車場に車を入れるとき、建物より遠くに止める。関係性がまだ構築できていないことの比喩的表現か?
 ま、兎にも角にも未見なら一度は見るべき。二度見る必要はないけど。

 余談、邦画の表現で欠点だと思われる点。1、ナイフを刺すシーン。刺してないとすぐわかる。もう少し何とかならんか。洋画『キック・アス』などではちゃんと描けているのだからできないはずはない。2、雪のシーン。綿埃や発泡スチロールなのがまるわかり。これも興ざめする。まだ決定的表現が見つかっていないのか。CGでも無理なのか。
 余談、今日のニュースで、渋谷のバカラ賭博場が摘発され、その部屋の契約者が駐日大使らしい。これって映画『アウトレイジ』の設定そのまんま。

時間軸の構成を間違ったのでは?映画『八日目の蝉』

 以前にも見ようとしたけど、映画冒頭で挫折した『八日目の蝉』(2011年公開)を最後までちゃんと見た。
 うーむ、以前の判断は正しかったようで退屈でした。
 まず、二人の主人公、永作博美と井上真央に感情移入できない。永作は自業自得だし、井上は自分の置かれた環境を受け入れてさばさばしている。まあ、最後に心内を露呈するのだけど、それにしても、映画の中でそれが描かれているとは言えない。だから感情移入できない。
 最大の難点は、親としての永作とその子供の井上の人生が交互に描かれるわけだが、それが集中力をそいでしまう方向に向かっている。素直に、時間軸通り、親の代、娘の代と親娘二世代物語として描いたほうが良かった。
 小池栄子、劇団ひとりに違和感あり。まあそういうキャラ設定なんだけど、あまりうまくない。
 どんなに技術が進んでも雪のシーンは偽物とわかる。
 スロー映像に洋楽をかぶせる。その後も洋楽が出てくる。なんか意味があるのか?
 乗船場での井上の歩き方がわざとらしい。
 すぐに逮捕しない。
 「その子はまだご飯を食べてないんです」泣かせるためだけに書いたセリフだということが見え見え。
 写真店の陳列にはカラー写真が飾られているのに、重要な写真がモノクロ(と思われる)。その場で、現像するという盛り上げをするために後付で加えたシーンだったのかな。
 小池の告白あたりから少し面白くなる。だけどもう一時間以上過ぎているんだよねえ。
 まあ、結局、ぐだぐだと書いてしまったけど、そういう見方をしてしまうほど映画鑑賞中暇だったというわけ。
 同じ子育て物語ならアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』と見比べてほしい。演出、構成、狼に仮託したものは何なのか?違いは歴然だと思うはず。
 エンドロールを見ていたら、またもや助成金を受けている。そりゃ、つまらなくなるはずだ。
 最後に良い点を。学食の中のざわめきがサラウンドする。

桃井・岩下が最高な法廷劇、映画『疑惑』

 いやー何の予備知識も持たずに見た原作松本清張、野村芳太郎監督映画『疑惑』(1982年公開)。
 面白かった。あっという間に見てしまったと感じさせる映画は久しぶり。
 奇妙な男女から始まる出だし。この時点で、もう引き込まれる。嫌味な女役の桃井かおりがうますぎる。鏡を持っている看護婦に文句を言う演出演技にはじまってどんどん女のいやらしさが増幅する。そこに対照的な女登場。弁護士役の岩下志麻。これがまた桃井と対照的に冷静、いや冷徹とすら思わせる演技がうまい。この二人の対比が相乗効果で、見ているだけで飽きない。また脇役もちゃんとキャラや役割設定ができていて、年老いたスナックのママに裁判長が年齢を尋ねるシーンに笑った。
 事件が起こり、観客にも真理は示されないまま、法廷劇へと突入。証言台に立つことで、その人物像や被告、警察の捜査、新聞社の思惑、弁護士の私生活などなど、被告人を取り巻く人々の心理まで明かされていく。
 物語として最後まで筋が割れない作りになっているし、ちゃんと納得できる判決につながる前ふりもあって、いやーよくできているなーと思った。
 ラスト、桃井VS岩下の名場面も準備されていて、いやはや、最後まで目が離せない映画だった。未見なら騙されたと思ってぜひ!

三国に惚れる女のキャラが独特、映画『飢餓海峡』

 これは一度見ているなあ、映画『飢餓海峡』(1965年公開)。
 モノクロ、W106方式とアピールしている。当時乱立していた映画のアスペクト比、上映方式の一つ。新技術、右肩上がりの産業ではありがちな主導権争いかなと思ったら、16ミリを35ミリにブローアップする方法のことなんだとか。残念ながらその効果は理解できなかった。ソラリゼーションも時々使われている。音楽は冨田勲。
 三國連太郎に惚れる女(左幸子)の情に厚いキャラ設定がすごい。三国の爪を大切に保管していて、その爪片で自分の顔や首筋をなぞって興奮する。こんな演出は初めて見た。タレントの眞壁かをりがボタンを顔などで転がす癖がある、という話をしていたことを思い出す。
 これから起こる行動をセリフで言ったり、証拠の爪を科学的に調べない、証拠の灰を容疑者に返す、など現代の感覚からするとかなり?な部分もある。
 警察幹部が「お茶にしよう」と休息を告げると、茶道のお点前の映像に切り替わるシーンは笑った。警察の中で本格的すぎる。
 高倉健の若いころはカミソリのように切れる顔立ち。
 個人のキャラが凄く良く描けているし、真実がどこにあるのかも見方によって変化していくさまは、考えさせられるけども、容疑者の追い詰め方が現在の目からすると、別世界のようで感情移入が難しかった。
 60年代邦画の傑作と上げる人もいるけど、そこまでの作品とは感じられなかった。

すさまじい様式美、映画『怪談』

 一部見覚えがあった小林正樹監督作品映画『怪談』(1965年公開)。
 オムニバス形式。「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」。音楽は武満徹。ワイドアスペクト比の高画質にびっくりする。以前書いたように映画『妹』の高画質にびっくりしたが、デジタルリマスター技術の進歩は目を見張るものがある。フィルムのノイズや画像のブレが全くなく、映画を見ているという現実から「昔の作品」を知る情報がない。なので、現在制作された映画と過去の作品が全くの等価として見ることができる。これはすばらしい。過去の高画質作品を見るという行為が、また別な意味を持ち始めている。
 絵は文句なく素晴らしいが、音はモノラル。アナログノイズも残っている。
 生活感のない映像。作られた舞台美術であることはわかっているのだが、独特で幻想的アンドすさまじい様式美。
 映画芸術のために会社を倒産させるとは、あっぱれ!

女優は美人すぎても、、映画『女殺油地獄』

 五社英雄作品が見たくて選んだ映画『女殺油地獄』(1992年公開)。古典として知っていて何度も映画化されているはず。しかしタイトルすごいね。おんなごろしあぶらじごく。
 横たわる女から撮る緊張感の高い導入部。樋口可南子、藤谷美紀共に美人だねえ。藤谷は芸能界復帰してもらえんもんかねえ。岸部一徳はどの映画でも脇役としていい味出している。
 油売りが舞台の物語は初めて。
 ドスでふんどしを脱がす演出にびっくり。
 樋口、美人すぎてあんまりエロくない。『砂の女』と比べると一目瞭然。
 なぜそんなに堤真一がモテるのか。わからん。
 しっとりじっくり撮れていて実に安定した作り。
 樋口、綺麗すぎて最後の修羅場(油場?)がドロドロしていない。前半はきれいな清楚な女でいいけど、徐々に乱れて狂乱していかないと、堤の行動にあまり説得力を感じない。もしくは堤をもっと悪人にするとか。
 よく出来た映画だけど、監督の腕が良すぎて絵も俳優も綺麗すぎる。

頑張っているけど微妙、映画『五条霊戦記 GOJOE』

 石井聰互(そうご)こと現在石井岳龍(がくりゅう)監督作品『五条霊戦記 GOJOE』(2000年公開)をみた。変わった名前、改名しても読みにくい監督名という印象だけで見てしまった。
(音)
 出だしサラウンドする。ドラのゆっくりとした連打、打楽器がぶっといサウンド。武士の動きに合わせた武具のノイズ。音はいいけど、ちょっと出すぎかな。
(絵)
 シンメトリーな画が多い。広大な風景よりも狭いクローズアップが多い。説明よりもイメージ先行。
(物語、全体)
 受け身が全くない殺陣がシャープでスピード感がある。弁慶役隆大介と遮那王役浅野忠信の対決になると普通の殺陣になる。なぜか隆の刀だけが何度も折れる。
 鬼の正体がわかるあたり、森のなかに入る辺りから「あれあれ?」な展開になる。二人の対決がなかなか始まらず引き伸ばしでダレる。
 浅野の手下がほとんど物語に絡んでこない。だけど、意味ありげに出てくる。
 浅野は冷徹で不気味な存在としてキャラも配役もいいとおもうけど、隆は生活感もないしそれほど強そうでもないし中途半端で感情移入できない。二人が対決しなければならない理由も「それだけなんだ?」だし、映画冒頭で手に入れた刀も役に立たないし。あっちこっちがいまひとつで残念。

スポ根と宗教の宣伝?アニメ映画『伝説巨神イデオン 発動篇』

 いやはや『伝説巨神イデオン 発動篇』(1982年公開)まで見るはめになってしまった。
 接触篇が説明だとすれば、発動篇が描きたかったことなのだろう。物語の展開が急激でストーリーは追えないが、見続けることはできる。「BSアニメ夜話」で評価されていた魂だと思われる裸の比喩表現、見たんだけど、だから逆に子供っぽい。大戦終了後は、宗教団体から金でももらっているのか?と勘ぐりたくなるほどのつまらなさ。さらに実写もはめ込まれていてもうぐちゃくちゃ。

 接触篇、発動篇と見た感想は、悪くいう気はないけどそれほど評価すべき作品でもない。内容が複雑で深くて子供にはわからないという評価のようだが、逆だろう。大人が見てこの映像、音、キャラクター、誰に感情移入するというのだろうか。大人を満足させるレベルには達していない。もし、TVアニメを見ていないと理解できないとすれば、単体映画として失格だ。
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グブリー川平(かびら)
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