映画「十三人の刺客」をみた

     自然光、暗い室内、モノクロに近い映像と、最近の時代劇がつまらなくなった原因をほとんど解決している映像がすばらしい。
     道中、刺客側、明石藩側ともに大きな事業を行うのだが、お互いに相手の行動を知ることができないという設定は無理があるように感じた。ので、ちょっと映画途中で現実に引き戻された。
     もっとも残念で、気持ちが現実に引き戻されたのはラストシーンだ。
     物事が一応の終焉を迎えて、ある人物が生き返る設定になっている。だけど、この人物、生き返る理由がよくわからない。たぶん、彼を生き返らせることによって、侍家業がむなしいことを言葉で説明したかったのかもしれないが、これまで映像でこれでもかこれでもかと侍の生き方を描いたわけで、それをいまさら言葉で説明されても、ただの蛇足である。
     もちろん、これほどの内容と映像を撮る三池監督がそんな初歩的なことに気がつかないわけがないと思うわけで、監督の上の役職から、つまらないラストシーンを押し付けられたんだろうなあ。
     決着がついて、ある人物一人が何もいわず焦土の中を静かに帰れば、観客おのおのに物語を預ける形になってすばらしい映画として納得できたんだが。いやはや、よりによって最後の最後にこんなつまらない映像を挟み込むとは。名画を生み出すというのは針の穴を通すような行為なんだねえ。
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    グブリー川平(かびら)
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